ホープから“大人”のテニス選手へ 17歳・大坂なおみに訪れた変化の時
試合中に見せる“日本的”な所作
身長180センチから繰り出すパワフルなプレーが持ち味ながら、時には繊細さや謙虚さものぞかせる 【末永裕樹】
コート上の彼女の姿やパフォーマンスも、そんな内面を映し出すような一面がある。サービスは、既に女子テニス界でもトップクラスのスピードを誇る。フォアのストロークも、スイングスピードやショットの速度は超一流。しかしコースが読みやすいのか、スピードの割にはエースやウイナーになり難い。「コート上の私は、楽しい時と怒っている時しかない」と本人も認める程に感情の起伏が激しく、それがプレーの振れ幅の大きさにもつながっている。もちろん、それらは本人も自覚している課題であり、だからこそ「コート深くに踏みこんで、安定感あるショットを打ち続けることが最近取り組んでいるテーマ」だという。
最近感じている成長点
「リスクを冒してでも攻めるべき場面と、慎重につなげる局面の判断ができるようになった」
「必要ない場面で、無理にウイナーを取りにいかないようになった」
それらが、最近感じている自身の成長点。若さの特権的な荒々しさを、17歳も半ばに差し掛かった頃から、徐々に制御する術を体得しだした。彼女は今、少女から大人への移り変わりの季節にいるようだ。
そのような大坂の視座は、出場大会の選び方にも見てとることができる。今年の大坂は、テニスのトーナメント群で最もグレードの高い“WTAツアー”に予選から挑戦し、多くの上位選手と戦ってきた。通常、選手はランキングポイントを手堅く獲得するためにも、背伸びして上の大会に挑戦するのをためらうものだ。だが彼女は「だって最終的に戦っていくのはWTAツアー。それ以下の大会は、ステップでしょ?」と、上昇志向と信念にブレがない。
そんな彼女の気になる今後だが、今季は既に17歳での出場上限の16大会に出ているため、10月の誕生日(16日)まで公式戦はしばしお休み。
「誕生日までは、しばらく練習。そうしてようやく、18歳。イエーイ!」
テニスの世界で“大人”と認められるその年齢の訪れを、大坂なおみは、心待ちにしている。