ペネッタがイタリア対決を制し初優勝 セレモニーで引退を表明=全米OPテニス
イタリア対決を制したペネッタ(右)が全米OP初優勝を飾った 【写真:ロイター/アフロ】
グランドスラムで初のオールイタリアン決勝は、その他でも異例の顔合わせだった。初めての決勝同士の対戦は全米オープンでは初めて、どちらが勝ってもメジャー初優勝の最年長記録となる。ペネッタが身長172センチ、体重58キロ、ビンチは163センチ、60キロと、パワーテニス時代としてはこれも異例な華奢な体格の対決になった。
物静かな探り合いから粘りのラリー戦へ
タイブレークにもつれ白熱の第1セットをペネッタが制した 【写真:ロイター/アフロ】
先にチャンスをつかんだのはペネッタだ。第5ゲームに15−40のブレークチャンスからグイグイと追い込み、ビンチはここで6本までブレークポイントをかわしたが、7本目についにブレークされた。ペネッタは一気に沈めにかかった。しかし、ビンチは第8ゲームの40−15から追い上げ、このセットで唯一のブレークポイントをものにしてブレークバックした。どちらも勝てるチャンスを信じた、粘りのラリー戦は迫力があった。そのままタイブレークにもつれ込み、短期勝負になればサーブ、ショットともに威力で優るペネッタが有利。左右に際どく打ち分けるビンチの集中力も限界が近づき、ペネッタが第1セットを奪った。
次世代へ転換する狭間の大会
前日にセリーナとの激闘を終えたばかりのビンチ。第2セットは一方的な展開となった 【写真:ロイター/アフロ】
今年のグランドスラムはすべて終わった。セリーナが全豪オープンから全仏、ウィンブルドンと制し、年間グランドスラムが話題になった最後の全米オープンは、イタリアのベテラン勢の対決という意外な結末――セリーナの全仏、ウィンブルドンの内容がよくなかったにもかかわらず、昨年活躍したユージェニー・ブシャール(カナダ)、ガルビネ・ムグルザ(スペイン)といった若手は伸び悩み、セリーナの不安定さに付け入ることができなかった。
決勝進出が初めて同士、まして1人は引退を決意しているベテラン対決になった今大会は、“セリーナ1強時代”から次世代へ転換する狭間の大会、そんな印象を受けた。イタリアのテニスは派手な選手こそ出てこないが、女子国別対抗戦のフェド杯では06年から4度もワールドグループ優勝を果たしている。ペネッタもビンチも、テニス協会の育成システムから育った選手だ。関係者の地道な努力が思わぬ形で花を咲かせた。
(文:武田薫)
WOWOWでは8/31(月)〜9/14(月)まで、全米オープンテニスを連日生中継という圧倒的なボリュームでオンエア。また、9/18(金)〜9/20(日)まで、錦織圭出場の「男子テニス国別対抗戦デビスカップ ワールドグループ プレーオフ コロンビアvs日本」をお届けする。
詳しくは、以下へ。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ