全米OP、女子選手を救う酷暑ルール 男子は棄権者続出も適用されず

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遅咲きのハレップが初の8強入り

初の8強入りを果たしたハレップだったが、酷暑の影響でけいれんを起こすなど、厳しい戦いとなった 【Getty Images】

 男女のベスト8が出そろったテニスの全米オープン第8日、女子では第5シードのペトラ・クビトバ(チェコ)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、フラビア・ペネッタ(イタリア)が準々決勝進出を決めた。

 そして女子でもう一人、セットカウント2−1(6−7、7−5、6−2)で8強入りを決めたのが第2シードのシモーナ・ハレップ(ルーマニア)。27日に24歳を迎える遅咲きの選手だ。かつては大き過ぎるバスト小さくする手術を受けたことで話題になったくらいだったが、2013年、いきなり6大会で優勝してスターダムにのし上がり、昨年トップ10に定着した。「プレッシャーは何もない」と言うのも、いまひとつ知名度がないためだろう。グランドスラムでは昨年の全仏オープンで決勝に進み、ウィンブルドンでベスト4に入ったくらい。この全米オープンだけ4回戦止まりだったのもあり、今回はどうしても勝ちたかった4回戦だという。

 対するサビーン・リシッキはドイツ出身。フロリダキャンプ育ちの強烈なサーブの持ち主で、互いに譲らぬ激しい打ち合いになった。

 リシッキが奪った第1セットは1時間3分かかり、ハレップが奪い返した第2セットは53分。その第2セットで、ハレップの脚、背中をけいれんが襲った。この日は気温30度を超す暑さで、炎天にさらされたコート上は40度を超えていただろう。

 そしてファイナルセットに入る前に、2人の選手がコートから消えた。酷暑ルールが適用されたのだ。このルールは、女子ツアーのWTAだけに適用されるものだ。酷暑指標(約30度)があり、それを超えると、選手の要望に応じて、第2、第3セットの間に10分間の休憩を取ることができる。このルールは男子のATPツアーにはない。

年々増す暑さ、東京五輪はどうなるか

 今大会は初日から好天に恵まれ、日中は強い日差しで気温30度を超す日が続いた。シーズン最後のグランドスラムになる全米オープンの厳しさは、ここまで半年以上も世界を転戦してきた選手の体力が低下しているところにある。今年の大会は途中棄権者が続出し、男子は1回戦だけで10名がリタイア、この日まで計14人が試合途中でラケットを置いた。猛暑続きの気候が影響したことは確かだ。

 一方の女子は2人だけ。この日、ハレップはどうにかルール適用のタイミングまで持ちこたえ、ファイナルセットに入ってから、今度はリシッキがけいれんで動きが鈍り、勝負が決まった。

 暑さに関しては、全豪オープンが男女どちらにも適用される大会独自の酷暑ルールを設け、指標(約40度)を超えた場合は、審判の判断で試合を中断、ショーコートは屋根を閉める決まりになっている。

 ウィンブルドンでは男子にも適用すべきだという話も出たが、記録の変遷を考えれば、できる限りプレー条件を変えたくないという考えがあるのだろう。しかし、温暖化の影響もあってか、年々暑さは増すばかり。5年後の夏、高温多湿の日本で開催される東京五輪はどうなるか。今から心配だ。

 なお、男子では第3シードのアンディ・マレー(イギリス)が第15シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)に敗れる波乱があった。アンダーソンは持ち前の強烈なサーブをコントロール良く決めた。鉄壁のディフェンスを誇るマレーに反撃の隙を与えず、4時間18分の熱戦を制した。29歳のアンダーソンはグランドスラムで初めての準々決勝進出。一方、第12シードのリシャール・ガスケ(フランス)は第6シードのトマシュ・ベルディヒ(チェコ)を逆転で下し、こちらは2年ぶりに8強入りを果たした。

(文:武田薫)

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