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バレーW杯5位に終わった全日本女子
ここから這い上がるために重要な軸

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米国戦、重要な場面で木村はアップゾーンに

米国に敗れ悔しがる全日本女子。最終的には7勝4敗の5位でW杯を終えた
米国に敗れ悔しがる全日本女子。最終的には7勝4敗の5位でW杯を終えた【坂本清】

 2敗で迎えた米国戦に勝てば、まだかろうじてワールドカップ(W杯)でのリオデジャネイロ五輪出場権を獲得できる可能性が残されていた。


 コンビやサーブで精彩を欠く米国から第1セットを取った時点では、そのわずかな可能性が広がったように思えた。世界ランク1位、昨秋の世界選手権の王者である米国にこの崖っぷちの状況で勝利を収めれば、チームは一気に乗るはずだ。最終日の中国にも、勝てるだけの勢いや自信を得るかもしれない。


 だが、淡い期待は無残に砕かれる。


 第2セットと第3セットの間、これまでならば新たなセットの開始を促すホイッスルがなる間際まで組まれている円陣が、早々とばらける。第3セットからコートを離れた木村沙織が言葉を発することなく誰よりも先にアップゾーンへ移動し、後の選手が続く。セットカウント1−1、まだまだ逆転は可能であるはずなのに、「行ける」「ここから」、当たり前のようにアップゾーンから聞こえていた声も聞こえない。


 これまでとは、確実に何かが違っていた。思うようなプレーができなかった歯痒さや、途中交代の悔しさをにじませるのは、決してとがめるべきことではない。眞鍋政義監督も「木村の貢献度は大きい」と称し、選手たちも「沙織さんが背負うプレッシャーは比べ物にならない」と言うように、ロンドン五輪を終えたチームのキャプテンとなって以降、チームをまとめるためにと、木村はエースとしてだけでなく、これまで以上のプレッシャーを背負い続けて来た。


 それだけのものに太刀打ち、さらにステップアップを望むための試練とはいえ、少なからずその重責が、プレーに影響することもあったはずだ。


 誰が出ても同じように戦えるチームを目指してきたとはいえ、どんな時でも相手チームからすれば木村は常にサーブのターゲットとしてつぶすべき選手であり、たとえ数字上は不調と取れる結果でもコートにいるだけで嫌な存在。


 間違いなく、このチームの軸は木村だった。チームにとって、最後の可能性が残された場面こそ、数字上の結果にかかわらずコートに立たせるべきではなかったのか。たとえ崩れても、負けても、チームの軸なのだから、と。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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