錦織選手は“挑戦者”として臨んで 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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一番相性のいいグランドスラム

調子を上げてきた錦織にとって、全米OPは一番相性のいいハードコートのグランドスラム 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 8月31日に開幕する全米オープン(以下、OP)の展望をお届けします。今回は日本選手の展望です。

 今大会、男子で本戦にダイレクトで出場するのは錦織圭選手(日清食品)です。
 去年の全米OPは準優勝。それ以上の成績というと優勝しかないので、さすがに簡単ではないでしょうし、ディフェンドしなくてはいけないポイントも多くて大変ですが、今年の彼は、あまりディフェンドを意識せずにプレーできています。全米OPは一番相性のいいハードコートのグランドスラムなので、期待できますね。

 今年の全豪オープン(1月〜2月)と全仏オープン(5〜6月。以下、OP)では、第1週はいい戦い方をしていましたが、第2週に入ってからのギアの上げ方が難しかったのかなと感じました。この2大会で錦織選手が敗れたのは、スタン・ワウリンカ選手(スイス)とジョー ウィルフリード・ツォンガ選手(フランス)。強豪とはいえ、ツォンガ選手はランキング的にも少し下でしたし、どちらも錦織選手が普通にできれば勝てるんじゃないかという相手でした。
 そこで、少し受け身になるというか、チャレンジャーになりきれないところがあったのかもしれません。そこのところの気持ちの持ち方は、決して簡単ではないと思います。

気持ちの持ち方次第

2014年の全米OPでは決勝でマリン・チリッチ(クロアチア)に破れ準優勝に終わった 【写真:ロイター/アフロ】

 去年の全米OPは故障明けで、出られるかどうかさえわからないところからのスタートでした。失うものはない状態、自分への期待もゼロだったと思います。そこからだんだん調子が上がっていって、という勝ち上がり方でしたから、気持ち的には楽なところもあったと思います。

 今回は前哨戦で小さな故障はありましたが、そのことで逆に2週間、全米OPに向けての準備ができました。体調も戻り、調子を整えて大会を迎えていると思います。ただ、万全の状態で迎える大会というのは、逆に気負いもあるでしょうし、当然、プレッシャーもあると思います。

 そう考えていくと、気持ちの持ち方次第なのかなと思います。グランドスラムでは初めての第4シードですが、気持ちとしてはチャレンジャーになる必要があるでしょう。「勝てる」と信じながらも、挑戦者として臨む、それが一番パフォーマンスが出しやすい精神状態ではないかと思います。

すべてを味方につけて

奈良選手には「ドロー運も含め、すべてを味方につけて突き進んでほしい」 【写真:ロイター/アフロ】

 女子は奈良くるみ選手(安藤証券)と土居美咲選手(ミキハウス)が直接本戦に出場します。
 全米OPの奈良選手といえば、一昨年、予選を勝ち上がって一気に3回戦進出を果たした活躍が思い出されます。全米OPは彼女の躍進が始まった大会と言っていいでしょう。いつもいい成績が出せる大会というのは、その会場に行くだけで、すべてがうまく回るような気がするものです。
 また、彼女はテンポの速いテニスを目指していますが、全米OPの球足の速いハードコートは自分から攻撃していくテニスがイメージしやすい環境だと思います。今回も期待していいと思います。

 このところグランドスラムではドロー運に恵まれず、少し苦しんでいますが、上の選手を破るにはもう少し何かが必要なのかもしれません。一方で、今の彼女にはランキング下位の選手には確実に勝つイメージがあります。ドロー運も含め、すべてを味方につけて突き進んでほしいですね。

フットワークがキーになる

土居選手はフットワークがキーになる 【写真:ロイター/アフロ】

 土居選手は今年、すごく充実している様子がうかがえます。特に全仏OPの前後から頑張りが目立ち、北米のハードコートでもスタンフォード、カナダと続けて予選を突破して本戦でプレーしました。おそらく、今の彼女は「こういうポイントの取り方をしていけばいい」というのが見えていて、自信を持って自分のテニスができているのだと思います。
 気持ちも充実し、精神的に安定しているように見えます。軸になるプレーがしっかりできているからこそ、こうして自信を持って戦うことができるのでしょう。彼女もハードコートは好きなサーフェスだと思うので、ビッグフォアハンドを生かしてほしいですし、そうするためにはフットワークがキーになると思います。好調なだけに、今大会はいつも以上に期待しています。

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■全米オープンテニス
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