２０１５年の中学軟式球界の３年生たちを見渡したときに、『ポスト清宮』と呼べるまでの超怪物、心技体がハイレベルでそろったタレントは存在しない。
　しかしながら、例年以上に粒ぞろい。体も発育途上にあるということを加味すれば、非常に楽しみな世代だと言えるだろう。

　サイズと左打席からの飛距離の点で『清宮』に迫るのは、東京・品川区立富士見台中の田中祐樹だ。今春の時点で１８８センチ・９２キロ、中学通算３０本塁打、２年秋の都大会では特大の場外弾も。期待された全国大会出場はならなかったものの、硬式球ほどの反発力がない軟式球をここまで飛ばす打者もそういないとあってか、高校の強豪校から複数の触手が伸びているという。

　世代を代表する右のスラッガーは東京・駿台学園中の山本將太と、長崎・佐世保市立日野中の長尾竜聖だ。山本は春の全国大会で、長尾は夏の全国大会で長打を連発。山本は今夏の全国出場を逃がすも、都大会で左中間フェンス直撃打も放っている。長尾は夏の全日本少年大会ではサヨナラ打など勝負強さも発揮して全国準優勝に貢献。また、二塁送球のタイム・強さ・正確性で山本の右に出る捕手はいないと思われる。

『清宮』というよりは『ポストイチロー』。身体能力と攻守のセンスで存在感を示すのが、宮崎県の椿原塁だ。門川町立門川中の「１番・ショート」で今年の全国大会「春夏連覇」を達成。三遊間やハイバウンドなど難しい打球も軽快にさばく様はすでに絵になっている。５０メートルを６．３秒で走る脚力や走塁の判断力もピカイチ。コースに逆らわず広角に打ち返す技術もある。あくまでも噂（うわさ）の段階だが、１０月にアジア選手権に挑む史上初のＵ−１５“軟式”侍ジャパンでも主将を務める可能性がありそうだ。

（取材・文＝ＢＢＭ）