棚橋が中邑下し8年ぶり2度目のG1制覇「新日本プロレスの中心に戻りました」

高木裕美

8年ぶり2度目のG1制覇を達成した棚橋。武藤、蝶野のレジェンドの祝福に喜びを爆発 【横田修平】

 新日本プロレスの真夏の祭典「G1 CLIMAX 25」最終戦となる16日の東京・両国国技館大会では、超満員札止めとなる1万180人を動員。史上最大となる28日間、19大会の激闘を締めくくった。
 メインイベントの優勝決定戦では、Aブロック1位の棚橋弘至とBブロック1位の中邑真輔が激突。30分を超える死闘の末、棚橋がライバル対決を制し、07年以来となる8年ぶり2度目の優勝を飾った。

ハイフライフロー2連発で熱戦に終止符

ライバル中邑との30分を超える死闘を制した棚橋 【横田修平】

 25年前、第1回大会の決勝を争った蝶野正洋と武藤敬司がリングサイドで見守る中、「極みの夏」は不動のエースの優勝で飾られた。
 中邑とは過去16戦し、8勝7敗1分と勝ち越している棚橋は、中邑が爆弾を抱える左腕をあえて狙わず、ドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールドでヒザに攻撃を集中させる。さらに場外へのハイフライアタックで飛び込むと、25分にはハイフライフロー2連発を決めるも、カウント3ならず。驚異的な粘りを見せた中邑が、ランドスライド、飛びつき式腕十字固め、三角絞めとたたみかけ、ボマイェを炸裂。しかし、棚橋もこれをしのぐと、ハイフライフロー、ドラゴンスープレックスからのハイフライフロー2連発で熱戦に終止符を打った。

うれしさのあまり優勝旗を折るハプニング

喜びすぎて優勝旗を折ってしまうハプニングも 【横田修平】

 8年ぶりの栄冠をつかんだ棚橋は、大観衆の観客と共に喜びを大爆発。うれしさのあまり、優勝旗を折ってしまうハプニングに見舞われたものの、「こんな出来事、100年に一度」と、心は折れず。「誰が何と言おうと、オレが新日本の中心です」と、改めてエース宣言をした棚橋は、「この勢いをつないでいけば、自ずとベルトもついてくる」と、2月に失ったIWGPヘビー級王座再戴冠への決意を新たにしつつ、「今の時点ですべてが最高。でも、さらに満足しないで上を目指す」と思いを語った。
 一方、2年連続で準優勝に終わった中邑は「燃え尽きたでしょう。リングの上に全部、全部ありました」とだけ、言葉を残した。

オカダが前王者AJに屈辱のフォール負け

IWGP王者オカダは前王者AJに屈辱のフォール負け 【横田修平】

 セミファイナルでは、“レインメーカー”オカダ・カズチカ&マット・ターバン&マイケル・ベネットwithマリア・ケネリス組vs.AJスタイルズ&カール・アンダーソン&ドク・ギャローズ組が対戦。
 外国人初のG1王者の栄冠をあと一歩で逃したAJは、7.5大阪城ホールでIWGPヘビー級王座を奪われたオカダに対し、序盤から闘志全開。途中、マリアのお色気戦法に惑わされ、思わず二ヤけて腰を振ってしまう場面もあったものの、オカダのレインメーカーを徹底的にブロック。大阪でも見せた、逆さ押さえ込みからのスタイルズクラッシュで3カウントを奪い取った。
 敗れたオカダはノーコメント。直前には天龍源一郎の来場を受け、11.15両国での天龍の引退試合の相手に決まったオカダだが、大先輩に引導を渡す前に、因縁の宿敵がまたも目の前に立ちはだかった。

KUSHIDAがリコシェにリベンジし初防衛

リコシェにリベンジを果たしKUSHIDAがIWGPジュニア初防衛に成功 【横田修平】

 IWGPジュニアヘビー級選手権王者のKUSHIDAは、昨年の「BEST OF THE SUPER Jr.」覇者のリコシェを下し初防衛に成功。1年前のリベンジを果たした。
 KUSHIDAは屈指のハイフライヤーであるリコシェの空中技やパワーに大苦戦。シューティングスタープレスは食らいながらも、450°スプラッシュをかわして自爆させると、ホバーボードロックでとらえてギブアップを奪った。
 超満員の両国を体感したKUSHIDAは、「SUPER Jr.の決勝を両国に持っていいく」と改めて決意。短期間でカイル・オライリー、ケニー・オメガ、リコシェの3トップを破った自信を胸に、必ずやジュニアとヘビー級の立場を逆転させると約束した。

レッドラゴンがジュニアタッグを初戴冠

カイル・オライリー&ボビー・フィッシュのレッドラゴンがIWGPジュニアタッグ初戴冠 【横田修平】

 IWGPジュニアタッグ選手権試合では、カイル・オライリー&ボビー・フィッシュのレッドラゴンが、マット・ジャクソン&ニック・ジャクソンのザ・ヤングバックスを破り王座を初戴冠した。
 ヤングバックスは、セコンドのコーディ・ホールを利用し、オライリーを会場の外へ連れ出すという暴挙を強行。孤立したフィッシュのダメージは大きく、ベルトで殴打された上に合体のインディーテイカーを食らって追い込まれる場面もあったものの、兄弟の絆を超えるチームワークで奮起。ニックをとらえ、フィッシュの雪崩式フィッシュアローから合体のチェイシング・ザ・ドラゴンでトドメをさした。
 ベルトを手にしたオライリーは「誰の挑戦でも受ける」、フィッシュは「ずっと王者であり続ける」と、今後も防衛を続けると訴えた。

オカダが天龍の引退試合を受諾

オカダは両国に来場した天龍の引退試合を受諾 【横田修平】

 11月15日に東京・両国国技館で引退する天龍源一郎の引退試合の相手が、“レインメーカー”オカダ・カズチカに正式決定した。
 天龍は16日に同所で行われた新日本プロレス「G1 CLIMAX 25」の休憩中に来場。オカダのマネージャーである外道に返答を迫るも、外道は「答えはNOだ」と拒否。だが、そこにオカダ本人が姿を現し、天龍の挑発に対戦を受諾した。

 オカダは12年&13年に2年連続でプロレス大賞MVPを受賞した際、過去に連続受賞を達成した先輩レスラーの名前を引き合いに出し、「猪木、鶴田、天龍はオレと同じ時代じゃなくて良かった」と発言。これに対し、25年前(1986年〜88年)に史上初に3年連続受賞を達成していた天龍が激怒し、引退試合の相手として指名していた。しかし、オカダは「G1があるから」と返答をせず。業を煮やした天龍が、直接会場へ現れ、代理人の外道に詰め寄った。

 天龍の前に現れたオカダは、「天龍さん、引退されるそうですね。お疲れ様でした。天龍さんにひと言だけ言わせてください。僕と同じ時代じゃなくて良かったですね」と、あえて天龍を激怒させたセリフを繰り返してみせると、天龍は「おい、あんちゃん。吐いたツバは飲み込ねえぞ、この野郎!」と爆発。これにオカダは「天龍さん、11月15日、どうなっても知らないですよ。それでもいいなら、やりましょう」と、ついに引退試合の相手を受諾。天龍も「その日まで楽しみにしておくよ」とオカダの心意気をたたえると、リング上でにらみ合った。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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