短距離界に現れた新星・サニブラウン 世界陸上は「出るだけで終わらせない」

折山淑美

世界ユースでの2冠&“ボルト超え”で注目度が一気に高まった高校2年生のサニブラウン 【スポーツナビ】

 6月に行われた陸上の日本選手権(新潟・デンカビッグスワンスタジアム)で、高校2年生ながら男子100メートル、200メートルでともに2位になって注目されたサニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大城西高)。父親はガーナ人、母親は短距離とハードルでインターハイに出場経験があるという血筋で、今年に入ってからはしなやかで大きな走りで自己記録を一気に伸ばしている逸材だ。

 そんな彼が7月にコロンビア・カリで開催された世界ユース選手権で100メートル10秒28、200メートル20秒34と、ともに自己ベストで2冠を獲得。特に200メートルでは22日に開幕する世界選手権(中国・北京)の参加標準記録(20秒50)を突破するだけではなく、“人類史上最速の男”ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が保持していた大会記録を更新し、「ボルト超え」と注目度は一気に高まった。

 8月3日には、日本人史上最年少での世界選手権代表にも選ばれ、大舞台での活躍にも期待がかかる。
 そんなサニブラウンに、世界ユースからの帰国後、初練習となった7月25日の公開練習の時に話を聞いた。

バラバラにならなければタイムは出る

世界ユースでは100メートル、200メートルと自己ベストを更新して優勝 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

――世界ユースから帰国後、日本ではすごい騒ぎになっていてビックリしたのではないですか?

 ここまでとは思わなかったですね。世界ユースには誰も取材に来ていなかったので、(公開練習に)来てもせいぜい5社くらいかと思っていました(笑)。

――世界ユースでは2冠を達成しましたが、走りに満足していますか?

 100メートルは準決勝、決勝ともにスタートで低く出過ぎてつまづいてしまったけど、そこからの修正がうまくできて自己ベストにつなげられたのは良かったと思います。
 200メートルはスタートからの加速がしっかりでき、コーナーの抜けもうまく出られたので良かったです。

――世界ユースの200メートルのラストは、日本選手権のような暴れた走りにはなっていませんでしたね。

 最後まで腕振りもできましたね。準決勝の時に少し意識して走ったので、決勝もそんなにバラバラせずに走れると思っていました。それに思ったより最後まで脚も回りましたし。

――世界ユースへ行く前に、何か修正をしたのですか?

 それはないですね。やっぱり前に人がいるとそこで少し追ってしまうので、バラバラになってしまうというか。でも今回はカーブを抜けた時にはひとりだったので、自分の走りができたから、バラバラにならなかったのだと思います。

――そんな走りができたことは、かなり自信になったのではないですか?

 バラバラにならなければタイムが出るというのが分かったので、いつでもそんな走りができるように意識していきたいなと思います。

試合に出るたびに自信をつける

レースを走るたびに自信をつけているサニブラウン。まだまだその成長曲線は上を向いている 【スポーツナビ】

――昨年の日本ジュニアの200メートルと国体の100メートル(ともに10月)で勝ったという自信が、自分のものになってきた感じですね。

 そうですね。いろいろ自信がついてきて、試合に出たらまた自信がついて、ドンドン次へ、という感じです。

――世界ユースに行く前は優勝を狙っていたと話していましたが、それが目標になったのはいつですか?

 日本選手権で確実に自信がつきました。その前も(200メートルは)20秒73で走っているので戦えるかなと思ったけど、勝てるかどうかは分からなかったので。でも日本選手権では20秒57で走れたので、それなら優勝を狙いにいけるのではと思いました。

――そうなると今季の一番大きなキッカケは、シニアと走った静岡国際(5月)の20秒73ですね。

 そうですが、どんな条件でも20秒7台では走れると思っていたので。そこからどうなるかが問題でしたね。

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著者プロフィール

折山淑美

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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