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23年ぶり日本新へ、29歳で挑む世界陸上
走幅跳・菅井を成長させた“継続の力”

ようやくつかんだ初の世界切符

 陸上の世界選手権まであと9日に迫った。世界新記録をマークした20キロ競歩の鈴木雄介(富士通)や、5月の世界リレー選手権の400メートル銅メダルなど、日本勢の活躍が目立つ今季、30日に30歳を迎える物静かなジャンパーにも、期待が寄せられている。男子走り幅跳びの菅井洋平(ミズノ)だ。

第一線で活躍してきた男子走り幅跳びの菅井洋平が、30歳を目前に初の世界選手権に臨む
第一線で活躍してきた男子走り幅跳びの菅井洋平が、30歳を目前に初の世界選手権に臨む【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 今季は4月のマウントサック・リレー(米国)で自己新となる8メートル18の大ジャンプを見せ、世界選手権(22日開幕、中国・北京)の参加標準記録(8メートル10)を突破。6月の日本選手権を4年ぶりに制し、初の世界切符をつかんだ。五輪・世界選手権を通じて同種目で日本代表選手が派遣されるのは、2009年のベルリン世界選手権以来、実に3大会ぶり。23年間破られていない、8メートル25の日本記録更新も射程圏内に入ってきた。


 自らを「テンションで跳ぶタイプではない。ある程度自分の持っているものをしっかりと発揮できるように、ピークを合わせていく方」と称する、マイペースで職人気質の選手だ。社会人1年目の08年に日本選手権を初制覇してから7年。第一線を走り続けながらも、国際大会の標準記録が切れず、なかなか世界の舞台に立つことができなかったが、積み重ねてきた努力が今季、実を結びつつある。


「ずっと標準記録が自分の中では“壁”だったので、それが破れたことはすごく大きかったです。記録がしっかり出て、『やってきたことは間違っていなかったんだな』と。うれしかったですね」

大学でレベルの差を痛感

社会人になった今も、順天堂大の越川一紀コーチ(左)から指導を受けている
社会人になった今も、順天堂大の越川一紀コーチ(左)から指導を受けている【スポーツナビ】

「継続は力なり」

 菅井の生き様は、まるでこの言葉を体現しているかのようだ。


 陸上を始めたのは中学1年の時。小学校までは野球をやっていたが、「個人競技の方が自分に向いているかなと思って」と、迷わず陸上部を選んだ。そのころから、短距離と走り幅跳びに平行して取り組み、太田工高時代には、全国高校総体(インターハイ)で2年生6位、3年生4位と2年連続で入賞を果たした。


 大学は名門・順天堂大に進学し、走り幅跳び1本に絞って本格的に競技に取り組み始めた。しかし、最初の2年間は結果が出ず、歯がゆい日々だった。


「高校と大学ではレベルが全然違いました。大学1、2年で記録が低迷し、全く勝負できない時期でした。僕の競技人生の中で一番つらかった。それなりに結果がついてきた中学・高校時代があったので、結果が出なかったその2年間は少し長かったですね」

記録が伸び悩んだ時も、コツコツと練習を積んで成長を続けてきた
記録が伸び悩んだ時も、コツコツと練習を積んで成長を続けてきた【スポーツナビ】

 そもそも、大学で競技を続けたのも、自らの意思というよりは、大学から推薦の誘いを受けたから。進学後も「モチベーションはそこまで高くはなかった。(練習も)やらされている感覚に近かった」とは本人の弁。そんな中で、記録も結果も出なければ、落ち込むのも当然だろう。


 しかし、菅井には愚直に努力を続けられる才能があった。苦しくても「ただただ、出された練習をひたすらやるだけ」と、地道にトレーニングに打ち込んだ。その努力が成果として出始めたのは大学3年に入ってから。跳躍技術が少しずつ安定し始め、7メートル72を跳び、高校3年以来となる自己ベストをマーク。何か新しいことをしたわけではなく、「(今までの練習を)継続していて、だんだん自分のものにできるようになってきた」結果だった。

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