低迷レッドソックスに未来はあるか 問われる責任、迫る転換期

杉浦大介

首位ヤンキースとの寂しいシリーズ

昨年世界一のジャイアンツから鳴り物入りで加入したサンドバルだが、不振にあえぐ。補強にも失敗し、レッドソックスは最下位から抜け出せずにいる 【Getty Images】

 8月6日(日本時間7日)までニューヨークで行われたヤンキース対レッドソックスの3連戦は、随分と緊張感のないシリーズになってしまった。

“伝統のカード”の呼称も今は昔。ヤンキースはア・リーグ東地区の首位を快走しているが、再び最下位に沈むレッドソックスの低迷が真夏の夜のエキサイトメントを奪ってしまった。トレード期限に大補強を敢行したブルージェイズとヤンキースの対戦の方がむしろ話題になっているのだから、ライバル対決の往年の盛り上がりを知る者には寂しい限りである。

「ファンのために毎日勝利を目指してプレーする義務がある。その一方で、私たちは来年以降もこのチームでプレーするだろう選手たちの情報を得ていかなければらない。ベテラン、若手のどちらも同じこと。まずは守備面を向上させることがプライオリティーなんだ」

 ヤンキースとのシリーズ中には、ジョン・ファレル監督も将来を見据えた再建の真っただ中にいることを認める、そんなコメントを残していた。6日の試合を1対2で終えた時点で48勝61敗、ワイルドカードまで9.5ゲーム差。こんな状態では、現実的な路線を行くより仕方ないのだろう。

優勝候補に推されるも……補強選手の誤算

 今季のレッドソックスの前評判は高かった。オフにFAでハンリー・ラミレス、パブロ・サンドバルを、トレードでリック・ポーセロを獲得し、好守にテコ入れした。ブルペンにやや不安はあったものの、上原浩治、田沢純一の日本人デュオは健在。給料総額はチーム史上最高の1億8200万ドル(約227億円)に膨れ上がり、開幕前にはESPNの88人の記者のうち36人がレッドソックスの地区優勝を予想したほどだった(続くのはオリオールズの30人)。

 しかし……ふたを開けてみれば、今季のチームを支えるはずだった補強選手たちの大半は失敗に終わっている。

 オフにタイガースとのトレードで獲得した後、4年8250万ドル(約103億円)の新契約を与えたポーセロは防御率5.81と極度の不振。4年8800万ドル(約110億円)で獲得したラミレスも打率は2割6分に過ぎず、レフトの守備の拙さが盛んに指摘されている。

 5年9500万ドル(約119億円)の契約を結んだスイッチヒッターのパブロ・サンドバルは右打席では41打数2安打と苦しみ、左打席に専念してしまう始末。昨夏に7年7250万ドル(約90億円)で手に入れたキューバ人のルスネイ・カスティーヨに関しては、依然としてレギュラーの座すらつかめていない。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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