甲子園の主役は清宮だけじゃない! ドラフト候補、プロ注目の選手たち

松倉雄太

センバツ優勝投手とドラ1候補

春夏連覇を狙う敦賀気比のエース平沼。ピッチングはもちろん、4番としての打撃センスも評価は高い 【写真は共同】

 第97回全国高校野球選手権大会があす6日に開幕する。今年、全国の地方大会に参加したのは3906校。その中から49校が甲子園出場を決めた。
 地方大会の成績を見ながら、今大会の注目選手を探っていきたい。

 まずはセンバツ優勝投手の敦賀気比(福井)・平沼翔太(3年)。福井大会は3試合18イニングを投げて被安打10、奪三振16、失点3の成績を残した。失点はすべて決勝の福井工大福井でのもの。この試合では2回に守備の乱れもあって3点を先行される苦しい流れだったが、3回以降はこれまでの経験を生かしたピッチングを見せ、0を並べ味方の反撃へとつなげた。センバツ優勝校としてのプレッシャーを平沼をはじめナインは感じていたようだが、見事に勝ち抜いたのは立派だ。
 そしてプロのスカウトが注目する野手としてのセンスも平沼の魅力。福井大会では7打数2安打と打席数そのものが少なかったが、甲子園では「4番・ピッチャー」として魅了してくれるだろう。

 東海大相模(神奈川)の左腕・小笠原慎之介(3年)は今秋のドラフト1位候補にまで評価を押し上げている。神奈川大会では最速150キロを記録した。4試合27イニングで被安打13、奪三振30、失点わずか1と抜群の成績を引っさげての2年連続出場。捕手で主将の長倉連(3年)も、「球を受ける感触が変わってきた」と感想を話す。右の吉田凌(3年)とともに、昨年果たせなかった初戦突破とその先の全国制覇を目指す。

地方大会で光ったエースたち

初出場の大阪偕星。ドラフト候補にも挙げられる左腕・光田は甲子園でどんなピッチングを見せるのか 【写真は共同】

 地方大会で光る数字を残したのが遊学館(石川)のエース・小孫竜二(3年)。5試合34回2/3で40個の三振を奪った。石川大会決勝ではドラフト候補の金沢・竹田和真(3年)との投げ合いを1対0で制した。スライダーやフォーク、ツーシームなど多彩な変化球が武器で、粘り強さも持ち味だ。

 粘りと言えば大阪偕星(大阪)の左腕・光田悠哉(3年)。大阪大会準々決勝では、昨夏の甲子園優勝校である大阪桐蔭を2点に抑えた。捕手で主将の田端拓海(3年)も「完璧だった」と振り返る投球内容。140キロの直球と、キレの良い変化球を操り、ドラフト候補としてリストアップしている球団もある。初出場ながら甲子園でのピッチングが楽しみだ。

 下級生の注目投手は広島新庄(広島)の堀瑞輝(2年)。広島大会で6試合46イニングを投げ、被安打26、奪三振45、失点4の成績を残した。一昨年はエースに田口麗斗(現・巨人)がいたが、捕手の遠目塚彪(3年)は「将来は田口さんを超える投手になれる」と太鼓判を押す。2日目第2試合で対決する霞ヶ浦(茨城)を相手にどんなピッチングを見せるか。

野手では俊足オコエ、清宮の先輩

 野手の注目選手筆頭に名が挙がるのが関東一(東東京)の1番・オコエ瑠偉(3年)。6試合で25打数11安打、打率4割4分。盗塁も6回成功させた。50メートル5秒96の俊足を武器にセンター前ヒットを二塁打にしてしまう場面もあった。視察したプロのスカウトからも「驚いた」という声が多数上がるほどの脚力。甲子園のダイヤモンドを走りまくる姿が楽しみだ。
 さらにオコエの後を打つ3番・主将の伊藤雅人は6試合19打数13安打で15打点。打率6割8分4厘は今大会出場の主力選手の中でトップの数字だった。

 3番・ファーストの清宮幸太郎(1年)に注目が集まる早稲田実(西東京)。だが対戦相手が清宮との勝負を避けきれないのは、4番の加藤雅樹(3年)がいるからだ。西東京大会は6試合で19打数7安打、8打点。打率は3割6分8厘を記録した。打率5割、打点10の清宮の影に隠れがちだが、勝負強さと経験が光る。さらに捕手としても二塁送球1.9秒を切る強肩が魅力。6試合で28失点と投手陣が苦しんだが、加藤が支え続けたことが甲子園出場へとつながった印象を受ける。初戦は3日目第1試合で相手は今治西(愛媛)。清宮とともに加藤がどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみにしたい。

 清宮と並ぶ1年生スラッガーとして注目を集めるのが九州学院(熊本)の4番・村上宗隆。熊本大会では初戦第1打席でいきなりバックスクリーンへ満塁本塁打を放ち、強烈なインパクトを残した。今年は1年生の当たり年となるかもしれない。
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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