ICCで分かれた本田と長友の明暗 新シーズンの動向が注目される2人の今
良いところなく連敗したインテル
ミラン戦で先発した出場した長友だったが、若手中心のチーム構成だったこともあり、不完全燃焼に終わった 【Getty Images】
ロベルト・マンチーニ監督は若手の中で長友がどれだけリーダーシップを取れるかを再確認したかったのかもしれないが、この状況では彼自身としては得意の攻撃参加を見せる回数は自ずと限られる。前半は0−0で終えたものの、不完全燃焼感が色濃く残る展開だったはずだ。
後半立ち上がりも同じ陣容だったが、約15分が経過したところでキャプテンのラノッキアやエルナネス、イカルディら主力級のメンバーが一気に登場。長友としても慣れ親しんだ選手たちとのプレーでオーバーラップする回数は増えた。後半24分、26分には立て続けに左サイドからシュートも打ちに行き、得点への強い意欲を示していた。この初戦は結果こそ出なかったが、彼は彼なりにできることを最大限やったと言える。
だが、中1日で迎えたレアル戦はベンチスタート。この日の彼らは中盤ダイヤモンド型の4−4−2。主力組がズラリとスタメンに名を連ねる中、左SBにはCBを本職とするフアン、右SBにはバルセロナから加わったモントーヤが入った。マンチーニ監督は爆発力のあるレアル相手ということで、守れるフアンとボールを持てるモントーヤを起用したのだろう。彼らはまずまずの動きだったが、インテル自体のチーム完成度が今一つで、攻めの迫力を強くは押し出せなかった。
結局、長友がピッチに送り出されたのは、0−2でリードされていた後半37分。それも与えられたポジションは1つ前目の左MFだった。得意のドリブル突破でチャンスメークを試みるも、流れは完全にレアルにいっていて引き戻せない。終盤にはハメスに豪快な直接FK弾を決められ万事休す。中国でのインテルは2連敗と良いところなく終わった。
「今はまだチームを作っている状態なんでね。中1日で試合があって同じメンバーではなかなかプレーもできないし、若手もたくさんいたりと難しい状況ではありますけれど、監督も『結果よりもまずは自分たちのサッカーを見つめながらやっていこう』と。結果は気にしなければいけないけれど、気にしてもしょうがないんで」とレアル戦後の長友は歯切れの悪い口ぶりだった。
移籍報道は「全然気にならない」
移籍報道も加熱するが、長友は「それほど気にしていない」と語る 【Getty Images】
「前をやったり、3ボランチの右をやったりもしましたけれど、中盤の選手がどういうボールをもらいたいのかという気持ちも分かるだろうし、経験という意味では良かったんじゃないかと思います」と本人は努めて前向きに振る舞っていたが、このままインテルに残留しても「ユーティリティーな便利屋」と位置づけられる可能性は大いにあるのだ。
「チームのために戦っているという犠牲心は監督の心にも届くと。僕が逆の立場で監督をしていたら、そういう選手を使いたいなと思うし。そういうプレーができていると自分のパフォーマンスも良いってことなんじゃないかな」とインテル愛の強い彼は自分に言い聞かせるように話したが、やはり現状はかなり厳しいと言わざるを得ないだろう。
中国遠征後には移籍先が本決まりになるという見方もある。長友自身はガラタサライやジェノアなどへの連日の移籍報道について「全然気にならないです。僕は自分が今、やるべきことに集中している。どうなるかは神のみぞ知るなんで。インテルにまだ縁があるんだったら残るし、他のチームに縁があるならそっちに行くし。何が起こるか分からないですからね。移籍市場は」と、どう転がっても受け入れる覚悟を決めているようだ。「もちろん選手である以上はフルでできる環境が一番いい」とも発言しており、そういう新天地を見いだせるなら、決断した方が本人にとってもプラスかもしれない。
ある意味、今回の中国ラウンドで明暗が分かれた本田と長友。ただ、1カ月後の新シーズン開幕時に2人の状況がどうなっているのかはまだハッキリしない。今後の両クラブの戦力補強や移籍も含めて、彼らの動向をしっかりと見極めていくことが肝要だ。