手探り状態が続く岡崎のレスター挑戦 チームの整備が進まず、起用法は未確定

田嶋コウスケ

初陣は2トップの一角に入る

レスターでの初陣に臨んだ岡崎。2トップの一角で出場し、3−1で勝利に貢献した 【Getty Images】

 岡崎慎司が加入したレスターは22日、英5部に所属するリンカーンとのプレシーズンマッチで本格的に始動した。クラブにとって今シーズン初となる実戦形式の試合は、前後半でメンバーを総入れ替えするというウオームアップ色の強い一戦となったが、3−1で順当に勝利。クラウディオ・ラニエリ監督を新たに迎えたレスターが、初陣を白星で飾った。

 ラニエリが採用したフォーメーションは3−4−1−2。だが、開始直後に敵にPKを取られてからは、キャンプからテストを重ねているダイヤモンド型4−4−2に移した。就任から間もないことから、まだ手探りの状態が続いているようで、3バックか、4バックか、フォーメーションもまだ定まっていない。

 そして、前半組として先発した岡崎は2トップの一角に入り、昨季11ゴールを挙げてチーム得点王に輝いたFWレオナルド・ウジョアとコンビを組んだ。放ったシュートは13分の1本のみだったが、33分には185センチの長身ウジョアへのロングパスに反応し、ポストプレーで落ちてきたボールに突進。相手DF2人と交錯してこぼれたところを、アルジェリア代表MFのリヤド・マレズが押し込み、先制点につなげた。「イングランドならでは」と言える激しい寄せに苦戦する場面もあったが、持ち味の豊富な運動量を生かして精力的に動き、味方からラストパスを引き出そうとトライを続けた。ゴールこそなかったものの、定位置確保に向けてアピールした。

混乱した新監督人事

さまざまな候補が挙がる中、新監督に就任したのがイタリア人のラニエリ 【写真:Action Images/アフロ】

 まずますの滑り出しを見せた岡崎だが、ここまで不確定要素が少なくなかった。まず移籍発表の4日後に、岡崎の入団を待ち望んでいたナイジェル・ピアソン監督が解任。昨夏の市場、そして今冬の市場の2度にわたって獲得に動き、定例会見の席でも「岡崎のことはよく知っている。マインツでのゴール記録が素晴らしい。われわれが彼に視線を向けているのはよく知られているはず」と興味を隠そうとしなかった。三度目の正直でようやく日本代表ストライカーを仕留めた格好だが、そのイングランド人は職を追われてレスターを離れてしまった。

 しかも、新監督人事にも混乱が見えた。英メディアでは、マーティン・オニール(現アイルランド代表)やデイビッド・モイーズ(現レアル・ソシエダ)、ショーン・ダイク(現バーンリー)、サム・アラダイス(元ウエストハム)、ニール・レノン(現ボルトン)らの名が後任候補として取り沙汰されていた。一時は「オニール有力」と伝えられたが、最終的に決まったのはイタリア人のラニエリ。ドイツを含む欧州サッカー事情に長け、英国人に比べて戦術的柔軟性も持ち合わせるラニエリの就任は、岡崎にとって悪い選択肢ではないように思うが、あくまでも日本代表ストライカーの補強は「前任者による人事」。それだけに、実戦形式の初戦でエースのウジョアとともに先発メンバーに名を連ねた意味は大きかった。

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著者プロフィール

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。2001年より英国ロンドン在住。サッカー誌を中心に執筆と翻訳に精を出す。遅ればせながら、インスタグラムを開始

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