大谷翔平の進化を示す数々のデータ 勝つために導き出した最善の方法論
被本塁打はわずか1
前半戦で10勝を挙げている大谷。その進化を示す数字の一つが中軸打者に対する対戦打率だ 【写真は共同】
列挙してきた成績を裏付けるのが、被本塁打の数だ。7月2日のオリックス戦(札幌ドーム)でT−岡田に浴びただけで、今季は両リーグの規定投球回数到達者の中では最少の1本を献上したのみだ。シンプルに考察すれば、本塁打を打てる能力を持つ打者は、打線の中で中軸に配置されることが常だ。昨季は年間で計7被本塁打だったが、そのうちの5本がクリーンアップに許したものだった。今季は、相手打線の心臓部を牛耳っていることが、白星も含めて、すべての面で向上している成績の最大の根拠と言えるだろう。
「三振へのこだわりはなし」
ここで興味深い、大谷の今季の自己分析のコメントがある。
「三振を取るタイプの投手。相手打者は、三振するのは嫌なので早いカウントで勝負をしてくる、という感じはあります。三振へのこだわりは特にないですけれど、要所で取れればというときはあります」
自分自身を知り、相手の心を含めた動きを読み取っている証明である。野球は強者が絶対ではなく、時に弱者にも勝利の女神が振り向く。よく「流れ」のスポーツとも言う。元来高かったパフォーマンスを最大限にマウンドから投下し、チームへと還元し、課せられた使命である白星を挙げることへの確率を高めている。あくまで推察ではあるが、数字が物語る。大谷が、そのための最善の方法論をきっと導き出したのだろう。