梅野源治、WBC王座戦は中止もKO勝利「海外で防衛戦をして認められたい」

長谷川亮

挑戦者がまさかの計量失敗で王座防衛

WBCムエタイ王者・梅野は相手の体重超過で王座戦こそ中止となったが、KO勝利でその強さをみせつけた 【長谷川亮】

 キックボクシング「NJKF 2015 5th」が20日、東京・後楽園ホールで開催された。
 メインイベントはWBCムエタイ世界スーパーフェザー級王者・梅野源治(PHOENIX)のタイトル初防衛戦、のはずであったが、大会前日の計量で挑戦者のペットブーンチュー・ソー・ソンマイ(タイ)が1.4kgの体重オーバーを起こす大失態。梅野は計量をパスしたことから、この時点で王座防衛。試合はノンタイトル戦(ペットブーンチューに減点1、梅野は8オンス・ペットブーンチューは10オンスのグローブハンデ戦)として行われることとなった。

三発目の右アッパーで大の字ノックアウト

長身を誇るペットブーンチューに右アッパーを突き上げノックアウト 【長谷川亮】

 180センチの梅野に劣らない長身を誇るペットブーンチューは開始から横蹴りを飛ばし、梅野を遠ざける。これに対し梅野も幾多のムエタイ強豪を沈めてきた左ローを初回から多用し攻めていく。2Rに入るとペットブーンチューは左ローを嫌がる素振りを見せ始めるが、ここで蹴り足が梅野にローブローとなってしまい、試合は一時中断となる。

 再開後、ペットブーンチューは得意とする首相撲からのヒザで梅野を攻めるが、これを振りほどいた梅野は右アッパーを突き上げダウンを奪取。さらに右アッパーを交えた連打で2度目のダウンも与えて2Rを終了する。

 右足も効かされており後のないペットブーンチューは試合を投げるかとも思われたが、3R猛然と梅野に向かうと右ヒジで梅野の左まゆをカットする。このカットで流れが変わる恐れもあったが、梅野は前に来たペットブーンチューに三度(みたび)右アッパーを突き上げ大の字に倒してノックアウト。

 思わぬ相手の失態により初防衛戦が台無しとなってしまった梅野だが、最後は強さを見せるKOで大会を締めた。

■梅野の試合後コメント
「体重を落とした選手と落としてない選手だとコンディションに差が出ちゃうんじゃないかっていう不安がありました。実際組んでも想像以上にパワーがあってヒザも重かったです。
 今後はどこでもいいので海外で防衛戦をしていきたいです。現地で認められている選手とやって圧倒すれば、認めてもらえると思います。今後もルンピニー(王者)を目指してタイ人とどんどん試合をしたいんですけど、その中で年に1、2回はアメリカやヨーロッパの選手とやっていきたいです」

MOMOTARO勝利も笹羅歩はまさかの判定負け

WBCムエタイ日本統一フェザー級王者笹羅は八神にまさかの判定負け 【長谷川亮】

 また、大会後半戦ではNJKF所属の3王者が他団体の現役&元王者を迎え撃つ3試合がマッチメイクされたが、MOMOTARO(NJKFフェザー級王者)こそヒザからヒジでダウンを奪ってTAaaaCHAN(INNOVATIONフェザー級王者)を破ったものの、強打のテヨン(WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者)は石井達也(新日本キックボクシング元ライト級王者)に追い上げられドロー、笹羅歩(WBCムエタイ日本統一フェザー級王者)は八神剣太(J−NETWORKフェザー級王者)にまさかの判定負けを喫した。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■「NJKF 2015 5th」
7月20日(土)東京・後楽園ホール

<第11試合 WBCムエタイ スーパーフェザー級 3分5R>
○梅野源治(PHOENIX/WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王者)
(3R2分13秒 KO)
●ペットプーンチュー・ソー・ソンマイ(タイ/WBCムエタイ世界同級5位、ラジャダムナンスタジアム認定同級4位)

<第10試合 64kg契約 交流戦 3分3R>
△テヨン(キング/WBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者)
(判定ドロー)
△石井達也(藤本/新日本キックボクシング協会/元日本ライト級王者)
※3者29−29

<第9試合 58垠戚鵝仝鯲戦 3分3R>
○八神剣太(レジェンド横浜/J−NETWORKフェザー級王者)
(判定3−0)
●笹羅 歩(笹羅/WBCムエタイ日本統一フェザー級王者)
※3者30−29

<第8試合 57.5垠戚鵝仝鯲戦 3分3R>
○MOMOTARO(OGUNI/NJKFフェザー級王者)
(判定3−0)
●TAaaaCHAN(PCK連闘会/INNOVATIONフェザー級王者)
※29−28、29−27、29−27

<第7試合 57.5kg契約 交流戦 3分3R>
△阿羅斗(E.S.G/NJKFフェザー級1位)
(判定ドロー)
△拳士狼(治政館/日本フェザー級4位)
※30−29(阿羅斗)、29−29、29−29

<第6試合 NEW JAPAN WARS IIスーパーライト級3分3R延長1R>
○嶋田裕介(BomboFreely/NJKFスーパーライト級1位)
(判定3−0)
●マリモー(キング/NJKFスーパーライト級2位)
※3者30−28

<第5試合 NEW JAPAN WARS II ウェルター級 3分3R延長1R>
○山崎遼太(OGUNI/NJKFウェルター級2位)
(判定3−0)
●TETSURO(GRABS/NJKFウェルター級6位)
※3者30−28

<第4試合 NEW JAPAN WARS II スーパーライト級 3分3R延長1R>
○一輝(OGUNI/NJKFスーパーライト級4位)
(延長判定3−0)
●畠山隼人(E.S.G/NJKFスーパーライト級3位)
※3者10−8
※本戦判定は29−28(畠山)、29−29、29−29でドロー

<第3試合 NEW JAPAN WARS II フライ級 3分3R延長1R>
○大槻直輝(OGUNI/NJKFフライ級3位)
(判定3−0)
●ガンジー丈(笹羅ジム/NJKFフライ級9位)
※30−27、30−26、30−26

<第2試合 NEW JAPAN WARS II フェザー級 3分3R延長1R>
○関根“gaia”朝之(OGUNI/NJKFフェザー級7位)
(判定3−0)
●弁慶崇利(VERTEX/NJKFフェザー級5位)
※30−27、30−27、30−26

<第1試合 60kg契約 交流戦 3分3R ※ヒジ無し>
○大月慎也(冶政館/新日本キックボクシング協会)
(3R1分56秒 KO)
●HIROSHI(新興ムエタイジム)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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