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因縁の相手に快勝したラグビー日本代表
W杯に向けた「ベイビーステップ」

W杯2大会連続引き分けのカナダに勝利

日本代表がカナダに20対6で勝利。途中出場のSO廣瀬(中央)は司令塔として攻撃を組み立てた
日本代表がカナダに20対6で勝利。途中出場のSO廣瀬(中央)は司令塔として攻撃を組み立てた【斉藤健仁】

 確かな成長の跡を見せた一戦だった。


 9月にラグビーワールドカップ(W杯)を控えるラグビー日本代表(世界ランキング13位)は、7月18日(日本時間19日)、アメリカ・サンノゼにあるアバイア・スタジアムでPNC(パシフィック・ネーションズカップ)初戦となるカナダ代表(同17位)と対戦。カナダ代表と言えば、W杯で過去2大会連続引き分けた因縁の相手で、昨年の同大会ではアウェイで34対25で勝利したが、前半は9対25と苦戦。6月から、宮崎で35日間の「過酷な訓練」をしてきた日本代表の現状を計るには格好のチームだった。


 互いにベストメンバーではなかったが、カナダ代表にはともにオスプレーズ(ウェ−ルズ)でプレーするNo.8タイラー・アードロン、WTBジェフ・ハスラーら海外組6人が先発。また時差のほとんどないカナダ代表の方が有利だったと言えよう。

 日本代表にとっては2カ月ぶりの試合のため「動きが鈍いかも」とエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は危惧していた。だが今日の試合のテーマは「フィジカルと最初の20分間のハードワーク」(FB五郎丸歩ゲームキャプテン)だったように、昨年の反省を踏まえ、試合の最初から相手に体を当てて試合の主導権を握り、20対6で勝利した。

「仮想・南ア」をノートライに抑える

エディー・ジョーンズHCは「試合の入りからフィジカルに戦って、自分たちのゲームができた」と評価した
エディー・ジョーンズHCは「試合の入りからフィジカルに戦って、自分たちのゲームができた」と評価した【斉藤健仁】

 実はこのカナダ代表戦は、FWが屈強でW杯の初戦で対戦する「南アフリカ代表を想定」していた。前半途中までは、キックをタッチに蹴らず、まっすぐ蹴ってボールインプレーを増やすという狙いの下、戦っていた。だが、前半33分にCTB田村優(NEC)が危険なタックルでシンビン(10分間の退場)となり、セットプレーで優位だったこともあり、タッチに蹴りつつ、モールで時間を費やす戦略に変更。SO立川理道(クボタ)の負傷で、前半10分から出場したSO廣瀬俊朗(東芝)も「自分たちの状況に応じてタッチに出すところ、出さないところを柔軟にできた」と胸を張った。


 また「この試合はほぼほぼディフェンスでしょう」と五郎丸が言うように、ノートライで抑えたことも評価できる。特に1対1のタックルでは4月からの合宿の成果が出ていた。また、タックル後の起き上がりも早く、相手のワイドな攻撃に対して、組織で守る意識も高かった。「昨年と比べて今年は試合の入りからフィジカルに戦って、自分たちのゲームができた。一番良かったのは試合に対する心構え。ハードワークする姿勢とディフェンスが良かった。また去年から今年、どこまで成長できたかを見られた。去年は勝ててラッキーでしたが、今年は明らかに日本の方が強いチームでした」(ジョーンズHC)

鋭いランでアシストを記録した松島

切れ味鋭いランで藤田(左)のトライをアシストした松島(中央)
切れ味鋭いランで藤田(左)のトライをアシストした松島(中央)【斉藤健仁】

 またW杯を考慮すると復帰組が頼もしく見えた。「ブロードハースト、松島は間違いなく良いプレーをした。堀江も良かった」(ジョーンズHC)

 昨年は家庭の事情もあり代表活動に参加せず、一昨年11月以来の代表戦となったFLマイケル・ブロードハースト(リコー)の接点での存在感は際立っていた。「代表に戻ってくることができて良かった。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で少しミスをしたが次のゲームはもっと集中したい。今後も先発で出場したい」(FLブロードハースト)


 スーパーラグビーを断念し、首の手術をしたHO堀江翔太(パナソニック)も、公式戦は1月以来、代表戦は昨年の6月以来となったが、順調に回復していることをアピール。セットプレーをリードし、接点の激しさ、ボールキャリアとしても非凡なところを見せた。「100%ではないが、今のベストは出せました。スクラムは相手が引いたり落としたりしてきましたが、足を前に運べて、それに対応してうまく組めていた。ボールはもっと動かしたかったし、ミスやテンポが合わなかったりした部分もあったけど、このメンバーで初戦としてはいい方かな」(HO堀江)


 また前半13分のWTB藤田慶和(早稲田大4年)の先制トライは、今シーズン、初の代表戦となったCTB松島幸太朗(サントリー)のラインブレイクから生まれた。松島は、今年スーパーラグビーに挑戦した6人のうち唯一先発。フィジカルがアップしながらも、スピード、ステップはそのままで切れ味は増した。「以前より楽にプレーできるようになったかな。外側の選手が出ていたのでギャップを突きました。アウトサイドCTBにはマレ(・サウ/ヤマハ発動機)がいるので、お互いレベルアップしたい」(CTB松島)

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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