可夢偉が考えるSF、マシンの技術革新 「モータースポーツの未来に疑問感じる」

田口浩次

昨季までF1ドライバーだった小林可夢偉は今季SFに参戦。そのSFで感じた可能性、さらにはモータースポーツの未来について語った 【写真提供:トヨタ】

 日本最高峰のシングルシーターフォーミュラである、スーパーフォーミュラ(SF)。2015年シーズンはすでに第2戦を消化し、7月18〜19日には第3戦が富士スピードウェイで開催される。今シーズンの注目はなんといっても、昨年までF1ドライバーを務めた小林可夢偉の参戦だ。第2戦では見事、2位表彰台を獲得し、実力を見せつけた。久しぶりの国内復帰となった小林は、そのSFをどのようなレースと感じているのだろうか。また、技術革新が進むモータースポーツについても大いに語ってもらった。自らの走りでファンを魅了し続ける、ドライバーならではの視点に耳を傾けたい。

SFはレベル高く、条件が厳しいカテゴリー

――すでに何度も聞かれている質問かと思いますが、「SFに参戦してもいいかな」と思えたきっかけは何ですか?

 そうですね、まずマシンとタイヤがワンメイクで、イコールコンディションであることですね。僕自身が、そうした(ドライバー同士の争いとなる)環境で長くレースをしていないから、マシンレベルとカテゴリーレベルが高いと言われているSFでレースを戦うことは、「自分がどこまでやれるのか」という点を自分自身で見たかった、ということです。

――F1とは違うイコールコンディションカテゴリーで実際に2戦を戦いました。日本最高峰のレースカテゴリーとしてのレベルや、マシン自体のポテンシャルなど、戦ってみての感想は?

 どういうレベルにあるか……。レースカテゴリーレベルをジャッジすることはなかなか難しいです。なぜかというと、他のカテゴリーではもっとマシンの差があったりしますよね。単純にハード面でのレースカテゴリーを評価するというのは難しいと思います。しかし、ドライバーに求められる要素、ドライバーが頑張らなければ結果が残せないレースである、というカテゴリーであることは間違いないかなと思います。それだけに、SF自体が他のレースカテゴリーと相対的に見てどういった位置にあるのか、ということを僕が評価することは難しいです。答えになっていますかね。

――では、ドライバーが頑張らなければ結果が残せないレースとのことですので、マシンフィーリングやレース中の他のドライバーたちとのバトルにおける間合いというか、お互いがどこまでギリギリで攻めていけるか、というフィーリングの部分はどういった感想を持ちましたか?

 そこは非常にレベルが高いと思います。まず経験があるドライバーがいるということで、全体のレベルが上がります。そして経験豊富なドライバーが多いにもかかわらず、練習走行などの時間は短く、レースウイークを通じて使えるタイヤ本数も少ないと言えるほど制限されている。戦うという意味においては、非常に条件が厳しいカテゴリーです。それだけに、もしF3などからステップアップしたドライバーが、SFでいきなり結果を残すようであれば、それは世界に向けてかなり可能性があることを証明できているのではないかと思います。つまり、結果次第でドライバーを、そう評価できる高いレベルにあるレースカテゴリーがSFだと思いますね。

本気でなければ命懸けのレースは伝わらない

――なるほど。今シーズンは日本に帰ってきて、久しぶりの国内レースです。日本でレースをする機会はF1の日本GPくらいでしたが、実際に国内レースに出場し、各地を回ってみて、日本ならではの楽しみはありますか?

 それは食べ物ですよね、僕に関しては(笑)。でも、レースイベントも実際はF1が特別なだけで、F1以外がどこまで観客が集まっているのかというと、シングルシーターフォーミュラで観客が集まるレースというのは、世界的に見ても少ないと思います。その点、フォーミュラではありませんが、日本のスーパーGTは本当にすごい人気があると思います。あと、F1やスーパーGTと比較されるため、盛り上がっていないように思われているSFも、本当にもうちょっと盛り上がれば、十分モータースポーツの興行として確立されていると、世界に評価される規模なのだと思います。

――では、まだSFを見たことがない人、まだレース自体を見たことがない人に向けて、どういったところに注目してほしいと思いますか?

 うーん、僕自身はそういった観点でレースを見ていないので、なかなか難しい質問ですね。それはレース好きなファンの方がきっと答えることができる質問じゃないでしょうか。僕自身は結果を残すために走っているわけで、なんと言えばいいのだろう……パフォーマンスというか、ショーを見せにサーキットに行っているのではなく、結果を残して、その本気度がファンにどこまで伝わるのか……。本気でやっているからこそ、ファンの方にすごいなって感じてもらえると思いますし、逆に本気でやっていなかったら、僕たちが命を懸けてレースをしているってことが伝わらないと思います。

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