ユニバ金の大学侍ジャパンが凱旋会見 善波監督「MVPは主将と控え選手たち」
チームはこの日をもって解団となるが、8月26日に第27回WBSC U−18ワールドカップの壮行試合として、侍ジャパン高校代表と甲子園球場で対戦し、胸を貸す予定になっている。
以下は会見での監督、選手のコメント。
善波監督「力を合わせた結果」
多くの皆さまのサポートをいただき、選手が責任感と誇りを持って戦ってくれて、金メダルを獲得できました。本当に多くの支えがあり、選手、スタッフ一同力を合わせて戦うことができた結果だと思います。
――大会を通じて無失点、無失策での優勝、その要因は?
まず、選考の段階で責任感を持って戦えるメンバーを選びました。投手はそれぞれ特徴のある投手を選び、きちっと相手打線を見ながら投げてくれた結果です。また、投手陣をきちっと捕手の坂本(誠志郎/明治大)がリードしてくれて、4試合完封につながりました。
――国際試合だからこそ得られたものは?
決勝を戦ってもっと大きく感動して、それをみなさんにお届けしたかったです。その前にも雨の中で2試合を行い、準決勝はテレビで伝わる以上に湿気が高い中で柳(裕也/明治大)が投げてくれました。いろいろな環境の中でみんなが知恵を出して戦わないと、金メダルにたどりつかない、という大会でした。
――20年ぶりのユニバーシアードに挑むにあたり気をつけたことは?
どんな環境、状況でも力を出し尽くすということに気をつけました。栄養やサプリメントの面からもサポートしてもらったり、トレーナーの先生にもついていただいた。それらがこの結果につながったと思います。
――代表監督就任から3年間の集大成の大会になったが
その年、その年でベストに近い侍ジャパン、大学ジャパンを作るつもりでやってきました。昨日、最高の結果を出そうということで、選手みんながかなり強いプレッシャー、責任感の中でやってくれました。選手、スタッフみんなが一つにまとまり、心を一つにまとめることでプレッシャーを乗り越えられた素晴らしい結果だと思います。
――点数は?
100点に近い準備と結果だったと思います。田中正義(創価大)に決勝の先発で持ち味を出してもらおうと思いましたが、あの場面で投げさせてあげられなかったことが残念。あの場面での正義が見たかったし、みなさんも見たかったと思います。そこでより大きな感動を分かち合いたかったです。
――今大会のMVPは?
チームを一つにまとめてくれた坂本はその1人だと思います。レギュラーの選手だけではなく、後からゲームに出てもらっていろいろな役割を果たしてくれた控えの選手もMVPでしょう。
――坂本主将の良かったところは?
人を見る目が優れていると感じました。特に投手陣は選考の段階からスタッフに加えて、坂本の意見を聞きながら選考した部分もありました。そこで選んだ投手が試合で活躍し、通用していたので、見る目があると感じています。
――金メダルが決まった後から“ありがとう”という言葉を盛んに使っているがその理由は?
求めていた誇り、責任感の部分を普段から最後までやり通してくれた選手に対して、誇らしい気持ちになったからです。選手村では自由時間がかなりあったが、朝からトレーニングをする選手、ナイターを終えて食事の後に練習をする選手を見ていて、誇らしく思いました。それがそういった言葉につながったと思います。
――侍ジャパン高校代表戦への意気込みを。
今回は一つになって最後まで戦えました。こういうチームが強いチームだというところを高校生に伝える試合をしたいです。
坂本主将「五輪の舞台に立てるように」
――試合を経るに連れてチームの雰囲気がだんだん結束してきたように見えたが。
自分自身、善波監督が日本の監督になってから、3年連続で選んでいただいた。監督の思いも伝わって、結果を出さなければいけないという覚悟をしていました。金メダルを持って帰れたことにホッとしています。やはり最後の試合をできなかったことへの悔しさ、本当の勝負を決めたいという気持ちは少なからずあります。
もともと合宿の段階から仲の良いチームでした。戦いが進むにつれてチームの中で厳しさが出て、いい部分や悪い部分を声を出して指摘し合えました。慣れない環境で練習時間が短かったり、練習場所が確保できなかったが、メリハリをつけることを自分が言うまでもなく自覚している選手が多かったです。自分がチームをまとめることもなく、みんなの意識が良い方に向いて、先頭に自分が立っていた。自分にとってやりやすい立場にしてもらった。
――優勝という期待も高かった中でプレッシャーは?
何が起こるか分からない、というプレッシャーや1次リーグ初戦の韓国戦は完全アウェーの状態で、緊張、不安もありました。ですが、チームに対する期待も大きかったので、今までやってきたことをしっかりやれば結果はついてくると思いましたし、結果が出てうれしく思います。
――今後に生かせるものは?
日本の野球、自分たちの野球は世界に出て通用することが分かりました。その精度に磨きをかけなければいけません。金メダルを持って帰ってきたが、決勝で勝つことはできませんでした。今回のメンバーでは2年生の下石(涼太/東海大)、高橋(礼/専修大)が2年後の台湾(ユニバーシアード)で気持ちを晴らしてくれると思います。その結果が代表につながっていけば、自分たちもうれしいです。
――さらに上を目指したいとのことだが、国際大会への思いは?
まだまだ力不足は感じていますが、ユニバーシアードで結果を残せたことは自信になります。まだ決まっていないが、五輪でも野球が開催されれば、再び同じような状況、雰囲気で野球ができる自分の立場を幸せに感じています。そういった立場で野球ができるように自分に期待したいです。もっと自分を高めてそういった舞台に(立てるように)挑戦していきたいです。
――善波監督の良いところは?
どういう状況でも監督の考え、思いがブレないと強く思いました。どんな状況であっても、大学代表、侍ジャパンを背負っている責任、プライドを絶対になくさないで、そのために戦っています。その部分が変わらなかったので、やりやすくできたと思います。
――侍ジャパン高校代表戦への意気込みを
地元の大阪、兵庫に戻って、身近な人が期待してくれているのでそれに応えたいです。同じ侍ジャパンのユニホームを着る代表として、大学代表としての意地もあります。楽しみにしながら残りの1カ月、良い準備をしてしっかりと戦いたいです。