シャラポワ、苦手なセリーナに17連敗 勢いある21歳・ムグルザは初の決勝進出

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 テニスのウィンブルドンは9日、女子準決勝2試合が行われ、第1シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)が第4シードのマリア・シャラポワ(ロシア)をサービスエース13本で圧倒、ウィンブルドン通算6度目の優勝に王手をかけた。それに先立つ第1試合では、初めてベスト4に進出した21歳のガルビネ・ムグルザ・ブランコ(スペイン)が第13シードのアグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)をフルセットで下している。

シャラポワ、序盤からサーブで乱れる

シャラポワはセリーナにストレート負けを喫し、決勝進出はならなかった 【Getty Images】

 シャラポワはここまでセリーナに16連敗、11年間も勝っていない。グランドスラムで6度対戦して1勝5敗、6度のうち4度の決勝対決で3度敗れ、2012年ロンドン五輪の決勝でも0−6、1−6の大敗を喫しており、トラウマになっているだろう。

 そうでなくとも不安のあるサーブが、第1セットの第1ゲームから乱れた。30−0からダブルフォルトなどで追いつかれ、デュースに入って2本連続のダブルフォルト。風もない中でのプレッシャーは、ここまでの対戦成績だけでなく、セリーナの破壊的リターンへの警戒感もあるだろう。低い弾道のリターンが、ベースライン真上の足元に飛んでくる。

 一方、セリーナは早々に1ブレークを得て、楽な展開だ。第1セットのファーストサーブの確率は52%だが、そこからのポイント確率が83%。しかも、この日のサーブは時速190キロ台の威力だけでなく、コース選択も抜群で、シャラポワは何度もセカンドサーブを見送った。

 女子の短期勝負には常に逆転の可能性が潜んでいるが、リードしたセリーナはポイントを使いながらリスクをかけて攻撃の手を広げる。サーブをさらにワイドに、リターンをさらに深く放り込み、ポイントをリードされても、強烈なサーブをたたきつけてあっと言う間に追いついてしまう。

 第2セット、セリーナは第4ゲームに15−30、第8ゲームに0−30とリードされながら、いずれもそこからウイナーを決め、ブレークポイントを与えなかった。圧巻はゲームカウント5−4から、セリーナがサーブの第10ゲーム。ダブルフォルト1本を挟んで3本のノータッチエース、マッチポイントからは、辛うじてラケットに当たっただけのサービスウイナー。ボールに1度かすっただけの幕切れだった。

若い勢いで押し切ったムグルザ

ラドワンスカを退け、初の決勝進出に喜びを爆発させたムグルザ 【Getty Images】

 もう1試合では、強気のテニスでのし上がってきたムグルザが、出だしから技巧派のラドワンスカを攻めた。第1セットの第1ゲーム、いきなりサービスブレークに成功。フォアの打ち合いから、ダウンザラインへの切り替えを何度も決め、このセットだけでウイナー12本。ブレークポイントがラドワンスカの0に対しムグルザが7、若手らしい勢いでこのセットを6−2で奪った。

 しかし、ラドワンスカは3年前に準優勝しているベテランだ。第2セットの第1ゲームをいきなりブレークされたものの、そこからペースを変えながら相手のミスを引き出した。ペースが落ちてくれば、ボールを拾うことでは天才的なテクニシャン。ボールを前後左右に散らし、第6ゲームでブレークバック、さらに第8ゲームでも柔らかな攻防戦を制してこのセットを奪った。

 ファイナルセットに入り、ラドワンスカが第1ゲームをブレークして逆転の流れをつかんだかに見えた。悔やまれるのは第2ゲームだ。第1セットで65%だったファーストサーブの確率が第2セットに86%まで上がり、このセットに入って再び58%まで落ちた。セカンドサーブを狙い打ちされてラリーの主導権を奪われ続ければ、いくら技巧派でも立て直しは難しい。すぐにブレークバックを与え、第6ゲームもセカンドサーブを狙われてブレークされた。“柔よく剛を制す”になぞらえられるラドワンスカだが、スタミナには相変わらず課題がある。グランドスラムの終盤には格別のエネルギーも求められ、今回は若い勢いに押し切られてしまった。

 セリーナとムグルザは過去3度、いずれもグランドスラムで対戦し、セリーナの2勝1敗。ただ、昨年の全仏オープン2回戦ではムグルザが勝っている。セリーナ有利は動かないだろうが、ファーストサーブの出来次第ではチャンスも出てくる。

 なお、10日には男子準決勝、ノバック・ジョコビッチ(セルビア)対リシャール・ガスケ(フランス)、アンディ・マレー(イギリス)対ロジャー・フェデラー(スイス)の2試合が行われる。

(文:武田薫)

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