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ベールを脱いだトゥヘル・ドルトムント
川崎戦から始まる香川と丸岡の新たな章

本気モードで来日

今季からドルトムントの指揮を執るトゥヘル監督
今季からドルトムントの指揮を執るトゥヘル監督【写真:ロイター/アフロ】

 2008年夏から7シーズン指揮を執ったユルゲン・クロップ監督が退任し、今季からトーマス・トゥヘル監督率いる新体制へ移行したボルシア・ドルトムント。ロベルト・レヴァンドフスキのバイエルン・ミュンヘン移籍の影響が出た昨季こそ7位という不本意な結果に終わったが、クロップが率いた7年間は10−11、11−12シーズンのブンデスリーガ2連覇、12−13シーズンのチャンピオンズリーグ準優勝など華々しい成績を残してきた。それだけにトゥヘル監督も重圧を感じるだろう。マインツ時代の先輩指導者であるクロップの築いたベースを生かしつつ、いかにして独自色を出していくのか。そこは今季のドルトムント最大の注目点と言っていい。


 その一端を垣間見る貴重なチャンスと位置づけられたのが、7日に等々力陸上競技場で行われた川崎フロンターレとのプレシーズンマッチ。彼らは7日に日本、9日にマレーシア・ジョホールバルを転戦するスケジュールで、2週間前に始動したばかりの新チームにとっては初期段階の重要な実戦の場だ。


 興業的色合いの強い欧州強豪クラブのアジアツアーの場合、主力選手が来なかったり、戦力を落としたりするケースも少なくないが、今回のドルトムントは最終ラインのマッツ・フンメルスやネヴェン・スボティッチ、中盤のイルカイ・ギュンドアンやスヴェン・ベンダー、攻撃陣のマルコ・ロイス、ヘンリク・ムヒタリアン、ピエール・エメリク・オーバメヤンといった主力級をズラリとそろえてきた。来日しなかったのは負傷中のケビン・グロスクロイツとヌリ・シャヒンくらい。それだけ本気モードだったのは間違いない。


 香川真司はこの日本遠征から合流。トゥヘル監督とは6日が初対面だった。日本代表の活動中に岡崎慎司から指揮官の話は聞いていたというが、実際のマネジメントがどうなのか興味津々だったはず。41歳の若き指揮官は長方形のピッチにこだわらず、ゴール前を狭くして得点への難易度を上げたり、つぼ型やバナナ型のエリアを使うなど、創意工夫を凝らした練習をすることで知られるが、この日も台形のエリアでの6対3+6フリーマンを実施。香川が「すごく新鮮味があって面白かった。細かいパス回しでやっていこうという意図が見えた」とうれしそうに語り、フンメルスも「新監督は練習のアイデアが多い」と前向きに話すなど、新監督のつかみは悪くないようだ。

好印象を与えた香川

前半に2得点を奪い、新指揮官に好印象を与えた香川(中央)
前半に2得点を奪い、新指揮官に好印象を与えた香川(中央)【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 迎えた7日当日。ドルトムントはアンカーを置いた4−3−3で川崎戦に挑んだ。スタメンはGKロマン・ビュルキ、DF(右から)ウカシュ・ピシュチェク、スボティッチ、ソクラティス・パパスタソプロス、エリク・ドゥルム、アンカーにユリアン・バイグル、右インサイドハーフに今季レバークーゼンから加わったゴンサロ・カストロ、左インサイドハーフに香川、右FWにレンタル先のマインツから復帰したヨナス・ホフマン、左FWに丸岡満、1トップにロイスという形。19歳のバイグルと丸岡はドルトムントIIから抜てきされた形だ。昨季の主力だったフンメルスやオーバメヤンらはベンチスタート。トゥヘル監督は新たな選手の見極めに主眼を置いたのだろう。


 シーズン中の川崎に対し、ドルトムントはオフ明けということで、コンディション面では厳しいとみられたこの試合。だが、彼らはそんな予想をはるかに上回るハードワークと高い守備意識を見せる。開始早々の5分には中央でボールを保持したロイスからホフマン、右サイドを上がったピシュチェクとつながり、その折り返しに香川が反応。ゴール前に飛び込んで珍しいヘディングシュートでいきなり先制点を挙げる。「来季のドルトムントもそうですけれど、やはり結果を残していかないと評価されない。どうやったら点を取れるかの道筋を自分なりに立てていきたい」と6月代表2連戦の時も強調していたが、新シーズン最初の練習試合で幸先の良いゴールを奪えたのは、本人にとっても大きかった。


 1点をリードした後、ドルトムントは川崎にボールを回され、守勢に回る時間帯を15〜20分ほど強いられる。トゥヘル監督も頭を抱えるしぐさを見せ、公式戦さながらの激しい指示で修正を図っていた。それをやりすごした前半37分、彼らは追加点を奪う。左CKの流れから、スボティッチが川崎からボールをインターセプトし、ロイスにパス。ロイスは左サイドを豪快に突破し、中央に折り返す。ここに再び反応したのが香川。右足ループ気味のシュートで確実にネットを揺らし、2−0で前半を折り返した。


「『香川が持っている技術や優秀なところは見れたが、それをどうするかだ』と監督には言われていた。ヘディングと(右足)ワンタッチで集中してゴールに流し込めて自信になった」と香川は手ごたえを口にしたが、新指揮官に好印象を与えたのは確かだろう。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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