前回覇者クビトバ、まさかの3回戦敗退=ベテラン・ヤンコビッチの意地に屈する

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前回覇者クビトバ(右)は、ベテランの意地を見せたヤンコビッチの前に敗れ、3回戦敗退となった 【Getty Images】

 テニスのウィンブルドン第6日、女子シングルス3回戦では、前回覇者のペトラ・クビトバ(チェコ)が、ベテランのエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)に敗れる番狂わせがあった。

 芝に有利とされる182センチの長身で左利きのクビトバ。今回は第2シードとして大会に臨み、1回戦でキキ・バーテン(オランダ)をわずか36分、2回戦では奈良くるみ(安藤証券)を58分で簡単に退けていた。

 しかし、3回戦で戦ったヤンコビッチのベテランらしい落ち着いたプレーの前に屈する結果となった。

一方的な試合になるかと思われたが……

 第1セットの第1ゲーム、クビトバはいきなりブレークポイントを握られながら、そこをフォアのウィナー、さらに強烈なサーブからの2本のウィナーであっさり切り抜けた。

 持ち前のパワーに芝への自信がたっぷり加わり、リターンもベースライン深くに決まって、第4ゲームを早々にブレーク。ここまでの対戦成績はクビトバの4勝2敗で、今年は2度の対戦でいずれもあっさりと勝っている。

 畳み掛けるショットに付け入るスキがなく、そのまま6−3で先手を奪った。パワーヒッターは波に乗ったら手が付けられない。第2セットも、第3ゲームをブレークし、試合は一方的になるかと思われた。

 しかしそこから、ヤンコビッチがこれまでにない集中力と忍耐を見せた。

ベテランの意気込みを示した勝利

 グランドスラムの優勝こそないが、2008年には世界ランク1位に上りつめた30歳は、今年は全豪、全仏とも1回戦負けというこれまでにない屈辱を味わった。しかも、ウィンブルドンは過去4年間で3度も初戦負け。今年は、芝が苦手という思い込みを捨てて、これまでやらなかった前哨戦の2大会に出場し、準備を整えた。それはベテランの意地がそうさせたのだろう。

 第2セット中盤から、ヤンコビッチの集中力が高まってくる。第8ゲーム、相手のサービスゲームをダブルフォルト絡みでブレークチャンスをつかむと、2本目のポイントでバックハンドのリターンがベースライン深くに決まった。クビトバの武器、サーブへの自信が揺らいだところを狙いすました会心の一打だった。

 自信はわずかな疑心で揺らぐもの。クビトバのファーストサーブの確率は、第1セットから66%→55%→50%と下降し、戦術そのものが狂い出していく。

 第12ゲーム、セカンドサーブを入れにきたところをたたいてセットオール。ファイナルセットはお互いにサービスキープを繰り返しながら、第10ゲーム、ヤンコビッチが0−30から4連続ポイントを奪って逆転勝ちした。

 クビトバはここまで2試合を1時間34分で通過し、ヤンコビッチは2試合ともフルセット、計4時間41分を戦ってきた。この大会に懸けたベテランの意気込みの勝利だった。

 セリーナ・ウィリアムズ(米国)の「1強時代」を象徴するように、昨年の準優勝者ユージェニー・ブシャール(カナダ)、第3シードのシモーナ・ハレップ(ルーマニア)が早々に敗れ、トップ10シードからはセリーナ、マリア・シャラポワ(ロシア)、キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、ルーシー・サファロバ(チェコ)の4人のみがベスト16入り。今年のウィンブルドン女子は、混沌(こんとん)の様相を呈してきた。

(文:武田薫)

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