本命セリーナが大慌て!? 辛勝で乗り切る 年間グランドスラムに「ネガティブ気分」

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女子シングルスの大本命に挙げられるセリーナだが、3回戦では思わぬ苦戦を強いられた 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスのグランドスラムは「2週目から」とよく言われる。その2週目への関門になるのが3回戦で、センターコートの難しさを改めて思い知らされたのが、女子シングルスにおいて鉄板の優勝候補、第1シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)だ。

 ウィンブルドン第5日、セリーナの相手は世界59位、23歳のヘザー・ワトソン(英国)。3年前に3回戦まで進んでいるが、グランドスラムではほぼ1、2回戦までの選手だった。初対戦とはいえ、気になるのは地元英国出身ということくらい。そうであっても、ウィンブルドン出場が16回、優勝が5回で準優勝2回というセリーナの経験の前には、あまり関係がないことのように見えたが……。

立ち上がりは快調も第2セットで異変

 1回戦には硬さが見えたセリーナだったが、この日は快調な立ち上がりだった。時速190キロ台のファーストサーブが58%の確率で決まり、ショットもビシバシ、ファーストサーブからのポイント獲得率91%をはじき出して、満場のセンターコートを威圧した。

 第1セットは6−2、25分で決着。舞台裏ではこの試合後に控えるクルム伊達公子(エステティックTBC)のペアと、マルチナ・ヒンギス(スイス)のペアが、女子ダブルス2回戦のために、いつでも入れる準備をしていたほどだった。第2セットも2−2まですんなりと進み、セリーナがそこまで6度のサービスゲームで与えたポイントは6ポイントのみ。ところが第5ゲームが「蟻(あり)の一穴」になった。

 まずはセリーナのスマッシュがネットにかかり、次のポイントでワトソンのドロップショットが決まったことで、地元大観衆は期待に胸を膨らませた。30−30からのリターンエースでドーッと沸き、デュースに入って最初のブレークポイントでダブルフォルト。総立ちになって喜んだ地元ファンも、それほど大きな可能性を信じてはいなかっただろう。

最後は逆転も「女王らしからぬ試合」

 しかし、セリーナは慌てた。打ち合いのミスが目立ち始め、このセットのアンフォーストエラーは相手の3本に対し12本。ワトソンが丁寧に返してくるボールを、むきになって打ち込んで墓穴を掘り、そのたびにセンターコートはヒートアップ。第9ゲームを連続ミスでブレークされ、第10ゲームのブレークバックチャンスにバックハンドのウィナーを決められ……。よもやのファイナルセットでは、連続ダブルフォルトでいきなり連続ブレークを許して0−3。場内の興奮は高まるばかりだった。

「ウィンブルドンの会場でこんな騒ぎになったのは初めて。ポイント間だけでなく、プレー中も声が出ていたし、ブーイングなんか初めて聞いたわ」

 セリーナは3週前の全仏オープンで優勝したが、風邪で体調を崩し、7試合のうち5試合でフルセットを強いられた。体調は戻っても、自信は完全には戻っていなかったのだろう。相手の緊張を手掛かりに3−3まで取り戻すが、第9ゲーム、バタバタしたプレーが続いてラブゲームで落とし、ワトソンにあと2ポイントまで追い詰められた。

 最終的には逆転し、第11ゲームの4連続サービスウィナーはさすがだったが、マッチポイントを2本かわされ、最終セットは14本のブレークポイントを4本しか取れないという、女王らしからぬ試合ぶりだった。

次戦は姉のビーナスで憂鬱な気分

 昨年の全米オープン、今年の全豪、全仏とグランドスラム3大会で連続優勝中。年間グランドスラムなどの話題に気軽に答えてきた女王も、今回は肝を冷やした。

「これからは、(年間)グランドスラムといった質問には答えないわ。みんなが考えている以上にネガティブな気分なんだから」

 勝ちはしたが、次の4回戦の相手は姉のビーナス・ウィリアムズ(米国)。憂鬱(ゆううつ)な気分にもなるだろう。もしセリーナが崩れたら……好天の続く大会は五里霧中だ。

 そのほかの女子シングルスでは、第4シードのマリア・シャラポワ(ロシア)、第6シードのルーシー・サファロバ(チェコ)ら上位シード勢とともに、18歳のベリンダ・ベンチッチ(スイス)が好調に勝ち進んでいる。

 男子ではノバック・ジョコビッチ(セルビア)、スタン・ワウリンカ(スイス)が勝ち上がったが、第7シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は20歳のニック・キリオス(オーストラリア)に、第11シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)もリシャール・ガスケ(フランス)に敗れ、姿を消している。

(文:武田薫)
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