錦織の棄権にクルム伊達「勇気ある判断」 悔やまれる全英1回戦のフルセットマッチ
2回戦を前に練習に向かった錦織だが、その後棄権を発表した 【写真は共同】
やはり万全ではなかった錦織
やはり万全ではなかった。錦織はドイツ・ハレで行われた前哨戦ゲリー・ウェバー・オープンの準決勝に、左ふくらはぎの異常を訴えて途中棄権。その後、筋肉の断裂はないとの検査結果を受けてからウィンブルドンに移動し、大会直前のエキシビションは出場を取りやめ、故障の様子をうかがいながら練習してきた。診断は筋膜炎。十分な準備ができなかった上に、今回はドローも厳しかった。1回戦は昨年フルセットを戦ったシモーネ・ボレッリ(イタリア)。順調に勝ち進んだとしても、4回戦ではジョン・イスナー(米国)かマリン・チリッチ(クロアチア)というビッグサーバーが待ち構え、準々決勝で第1シードのジョコビッチと当たる流れだった。
そのボレッリとの1回戦、鈍い動きながらショット力の違いで乗り切りはしたが、フルセット、3時間22分の長丁場にもつれたことが響いた。一夜明けた30日の練習は感触の確認だけで切り上げていた。ウィンブルドンは、これまでグランドスラムの中で唯一ベスト8以上の成績が残せていないだけに、判断は難しかっただろう。
クルム伊達「爆弾を抱えているようなもの」
クルム伊達は自身の経験もふまえて、棄権した錦織を思いやった 【Getty Images】
「朝から痛みがあり、練習で動いたらかなり痛みがあったので、自分で棄権を判断しました。ハレの時と同じ痛みなので、数ゲームをやって止める可能性があった。こちらに来てから土、日は痛みもなかったのですが、1回戦を3セットで終わらせることができなかったのが痛かったです」
ボレッリとの試合の第3セットあたりから痛みがぶり返し、ファイナルセットはどうやって戦い切ったかも思い出せないという。故障の原因についてはこう話した。
「急に痛みが来たのでよくは分かりませんが、ヨーロッパ遠征も長く、疲れがたまっていたのだと思う。特にクレーコートでの4大会はハードで、ローマ、全仏ではメンタルでも疲れを感じていました。芝では良いプレーができていた感触があったので、残念です」
日本語の会見では「断裂ではない」としながら、英語では「大したケガではなく小さな断裂(little tear)」と答えている。肉離れの手前と推察できるだろう。
一方、“ケガのスペシャリスト”と言われるクルム伊達公子(エステティックTBC)は、この日の自身のダブルスの試合前に錦織から「難しいかもしれない」と聞いていたと言い、こう話した。
「私も筋膜炎の経験はあって、これは爆弾を抱えているようなものです。コートに立ってプレーすることはできたかもしれませんが、今の錦織君の場合、2週目のベスト8、ベスト4、もしかしたら決勝までが目標になる。2回戦、3回戦で爆弾を破裂させてしまえば、この先、下手をすると4カ月、半年間を棒に振ることになります。とても難しい判断ですが、今を我慢した、勇気ある判断だったと思います」
海外勢はジョコビッチ、セリーナらが順当勝ち
男子では第1シードのジョコビッチ、錦織と同世代で昨年ベスト4入りしたミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)らが3回戦に駒を進め、女子もセリーナ・ウィリアムズ(米国)、マリア・シャラポワ(ロシア)らが勝ち進んでいる。
(文:武田薫)
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