錦織、気になる左ふくらはぎの状態は?=初戦は世界55位にフルセットの辛勝

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集中力が散漫になる「ブラックホール」

ウィンブルドン初戦、錦織はフルセットの末に辛勝。左足ふくらはぎには、バンテージを巻いて戦った 【Getty Images】

 第5シードの錦織圭(日清食品)が、3時間22分、フルセットの激闘の末に、辛うじてウィンブルドン男子シングルス初戦を突破した。

 左足ふくらはぎの筋膜炎で前哨戦を途中棄権。予想はされたものの苦しい戦いだった。昨年も3回戦でフルセットを戦ったシモーネ・ボレッリ(イタリア)は、サーブ力と片手打ちバックハンドで多彩な攻めを持つ。錦織としては、気の抜けない展開が続いた。

 第1セット、第2ゲームのサービスゲームで3本のブレークポイントをしのいだのが大きい。第7ゲームでは0−40から5連続ポイントという集中力でブレーク。バックハンドのダウンザラインも鮮やかに決めて流れをつかんだかに見えたが……。

 第2セット、互いにサービスキープで進んだ中盤から動きが悪くなった。錦織が時折見せる、中盤の「ブラックホール」で集中力が散漫になり、得意のタイブレークを4−7で落としたのが痛い。2年前、同じイタリアのアンドレアス・セッピにフルセットで敗れた3回戦を思い出させたのは、ボレッリも錦織の故障明けを読み込んで長丁場での勝負を模索していた可能性があったからだ。

左ふくらはぎ治療も最終セットを逃げ切る

 左足のふくらはぎの下にバンテージが見えていた。痛みを感じるプレーではないが、違和感はあるのだろう。ボレッリもネット越しにそれを感じ取ったはずだが、錦織の精神力が上回った。

 第4セット、第4ゲームをブレークされてからの攻防に見応えがあった。すぐ第5ゲーム、錦織は30−40から4度のデュースまで追い込み、第9ゲームも30−15とプレッシャーをかけた。このセットは奪われたものの、世界ランク5位と55位の差はこうした気持ちの持続にある。

 ファイナルセットの第1ゲーム、錦織がサービスゲームで40−0からデュースに持ち込まれながら持ちこたえ、ボレッリの緊張が崩れた。第2ゲームをブレークし、次をラブゲームでキープして3−0とリードした時点でトレーナーを呼び、メディカル・タイムアウト。左のふくらはぎ全体をテーピングして逃げ切った。

次戦ヒラルドで故障の実態が見える

 これから先の問題は、ふくらはぎの状態だ。タイムアウトを取りはしたが、故障の度合いは分からない。プロフェッショナルの戦いの舞台である限り、次戦への予防措置、カモフラージュの可能性も十分にあるだろう。

「ボレッリはランキングが下でも、芝のサーフェスの位置にすればもっと上で、ちょっと油断すれば負けてしまう相手だと思っていました。ふくらはぎの故障がどこかプレーに影響があったとしても、それは言わないと思います」

 次の相手サンティアゴ・ヒラルド(コロンビア)はクレー巧者で、錦織は6勝1敗と大きく勝ち越し、負ける相手ではない。ここで故障の実態が見えてくる。

 その他の日本勢では、添田豪(GODAIテニスカレッジ)はジョン・イスナー(米国)、予選から上がった守屋宏紀(北日本物産)はマリン・チリッチ(クロアチア)と、ともにビッグサーバーにストレート負け。男子は、昨年の優勝者で第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)、第4シードで全仏オープン覇者のスタン・ワウリンカ(スイス)、若手の有望株、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)らが危なげなく勝ち進み、最後のウィンブルドンだったレイトン・ヒューイット(オーストラリア)は敗れた。

文:武田薫

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