新監督就任で変化する香川、内田らの立場 正念場を迎えるドイツのサムライたち
難しい状況が予想される乾
フェーが指揮した時期、乾の出場試合数は限られていただけに、難しい状況に立たされることが予想される 【写真:フォトレイド/アフロ】
ブルーノ・ヒュブナーSDは新聞紙上でのインタビューで、乾とは「まだ契約が残っている」ことははっきりさせている。だが同時に、乾に興味を持つクラブがあるならば、「彼を売却することもあるだろう」とも語っている。指揮官も「タカ(乾)は残るかもしれない」と態度を明確にしない。「素早くて、このチームにはあまりいないタイプの選手だ」と、乾への評価は口にしているが……。
一方の長谷部は、フランクフルトでトップのパフォーマンスを示した一人である。この日本代表主将は地元紙に「本物のヒット」と評されている。フェーにとっても、長谷部はなじみの選手だ。ボルフスブルク時代には、中盤中央の他に最終ラインの右サイドでも起用した。長谷部にとってはそれなりのシーズンだった昨季を、「ややサイドでプレーし過ぎるすぎた感もあるが、まったく問題ない」と評している。長谷部はバカンスの後、クラブの主柱になるだろう。ただし、乾はそうはなりそうもない。
酒井高徳には放出の可能性も
買い手が現れた場合、酒井には放出の可能性もある 【写真:フォトレイド/アフロ】
ただし、酒井は昨シーズンを忘れ去る必要がある。シュツットガルトでの最初の半年は酒井にとって素晴らしいものとなり、地元メディアは「第2のフィリップ・ラーム」と呼ぶほどだったが、継続性は失われた。「特に昨シーズンは明らかに物足りなかった」とボネンゲルは語る。凡ミスを繰り返す酒井は、残留争いの力になれなかった。成功体験だけを残す剪定(せんてい)作業をしなければ、収穫が約束され続けることはない。
「ゴウ」と呼ばれるこのレフトバックは足元の技術も高く、活力があり、現代のサイドバックに求められるものをすべて備えている。だが、決して手放すことができない存在ではないのだと、シュツットガルトのロビン・ドゥットSDは6月上旬に話している。フロリアン・クライン、ダニエル・シュワーブら、酒井のポジションを埋める選手はそろっている。だからもしも買い手が現れたなら、300万ユーロ(約4億円)と引き換えに酒井を放出する可能性は十分にあり得る。
期待がかかる武藤
マインツに移籍する武藤には首脳陣から大きな期待がかけられている 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
もう一つ決まっている日本人の移籍が武藤嘉紀の加入だ。彼についてはすでに加入決定時、クリスティアン・ハイデルGM(ゼネラルマネジャー)が、「われわれが探していたサイド攻撃における質を備えていると確信している」と語っている。マルティン・シュミット監督も武藤のことは理解しており、さらにはドイツ語の習得というピッチ外での期待もかけている。日本代表の新たなるプリンスが、マインツにおけるキングの座を継げるのか、ぜひ注目したいところだ。
(翻訳:杉山孝)