楽天・松井裕樹を支える2つの魔球 チェンジアップ&スライダーを本人解説

週刊ベースボールONLINE

開幕から楽天の守護神として君臨している松井 【写真=BBM】

 高卒2年目を迎えた東北楽天・松井裕樹が開幕から守護神としてセーブを積み重ねている。その躍進を支えているのは代名詞のキレ味鋭いスライダーと、プロ2年目で威力を増したチェンジアップだ。今回はこの2つの魔球を松井本人が解説。リーグ2位の18セーブを生み出す魔球の秘密を語った。(記録は6月26日現在)

理想は金子千尋のチェンジアップ

チェンジアップとスライダー、自身の持ち球について松井本人が解説してくれた 【写真=BBM】

 僕にとって理想のチェンジアップはオリックスの金子千尋さんのような変化をするボールです。本当にストレートと同じ腕の振り、同じようなスピードで、そのままホームベース付近で変化する。バッターにしてみたら本当に打ちにくいボールだと思います。

 金子さんと比べたら僕のは完成度的にはまだまだですけど、今シーズンはチェンジアップでも三振が取れるようになって、ピッチングにおいてはすごく重要なボールになっています。ゲームの中で投げる割合も多くなっていますし、勝負どころでストレートやスライダーだけでなく、「チェンジアップもあるぞ」と思わせられますから。

チェンジアップは人さし指と薬指でボールを握り、中指は添える程度に 【写真=BBM】

 良いチェンジアップを投げるポイントは「どれだけストレートのように投げられるか、リリースができるか」。その点に尽きます。同じように肘を高く上げ、思い切って腕を振ることが大前提。それを踏まえた上で握りは人さし指、薬指、親指の3本で持ちます。その際に親指は添える程度の感覚。そこでボールを無理に“ロック”し過ぎてしまうと良いチェンジアップは投げられないので。

 あとはリリースの際に「ボールを抜こう」と思わないことです。特殊な握りなので、その意識ばかりが働いてしまいますが、とにかくスッポ抜けてもいいのでストレートと同じように投げる練習を繰り返してください。また、手首を使わず、手のひらを下に向けたままボールを離すのもコツの1つです。

握りのポイントとして松井が挙げるのは、親指を添える程度にすること。“ロック”し過ぎると良いチェンジアップにはならない 【写真=BBM】

 それでも思うようにボールが変化してくれない場合のアドバイスとして、薬指と小指をくっ付けて投げてください。僕自身も高校時代(桐光学園高)に投げ始めたときに試したことがある握りですが、この方がボールに変化を与えやすいので、紹介した握りで変化しない場合はぜひ試してほしいです。

 当然のように僕もすぐに投げられるようになったわけではないですし、こういった試行錯誤を繰り返して、今の握りや投げ方にたどり着きました。皆さんも根気強くチャレンジしながら、自分に一番合った握りやリリースポイントを見つけてください。

 現在のチェンジアップの改善点を挙げるなら、左バッターに投げるときですかね。右(バッター)にはある程度狙いどおりに攻められているのですが、左(バッター)にはまだ大ざっぱに投げてしまっている感があります。そういった精度をさらに高めていければ、スライダーとの相乗効果でもっと有効なボールになってくれると思っています。

(次ページは魔球スライダーの秘密)

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