全英V最有力のジョコビッチ、追うマレー=杉山愛コラム「愛’s EYE」
安定感を増したマレー、実力者のジョコビッチ
ウィンブルドンが29日に開幕。男女シングルスの優勝候補は!? 【Getty Images】
男子で注目したいのがアンディ・マレー(イギリス)です。今年は安定感も増して、コーチのアメリ・モレスモともうまくいっているように見えます。長年一緒にやってきたトレーナーやヒッティングパートナーと別れて契約したモレスモですが、当初は結果も出なくて、「どうなんだろう」と思わされました。でも今は、チームとしてのカラーが見えてきて、特にフィットネスが充実してきたのを感じます。それが成績にも出ています。
この春には2人目のコーチとしてヨナス・ビョークマンを招きました。ビョークマンのテニス、特にグラス(芝)コートでのプレーは私の脳裏に焼き付いています。戦術面でもスマートな選手でした。彼をコーチに招いたのは、より攻撃的なテニスを目指しているからだと思います。クレーでも以前より攻撃力が上がっているのが見て取れましたが、芝ではさらに攻撃力が必要になるので、そこを強化してくるのは明らかでしょう。
地元のプレッシャーはもちろんあると思いますが、2013年に優勝したことでかなり重圧も軽くなっていると思うので、良い状態で臨めると思われます。
ノバック・ジョコビッチ(セルビア)は前年の優勝者。5月の全仏オープンは準優勝でしたが、世界ランキングが示す通り、ナンバーワンの実力者です。どのサーフェスでもできる選手ですし、ウィンブルドンでも過去2回優勝しているので、優勝候補の最有力です。
今回、前哨戦には出場しませんでした。芝に向けてのアジャストは当然必要ですが、彼は土台が確立されているので、あくまでもその中でのアジャストであり、ぶっつけ本番の心配は不要でしょう。
連続出場記録の懸かるフェデラー
このウィンブルドンで、私の持っているグランドスラム(シングルス)の連続出場記録がフェデラーに抜かれることになりそうです。今、62大会で歴代1位タイに並んでいるのです。ただ、彼はすでに四大大会のベスト8進出の連続記録などたくさんの記録を持っているわけで、私とは桁が違います(笑)。あれだけの選手ですから試合数も増えるわけで、にもかかわらず長くパフォーマンスを維持できるというのは「すごい」のひとことです。この夏には34歳になるのですが、その年齢にして、あのパフォーマンス、しかも優勝の可能性が話題になるのですから、それ自体すごいことだと思います。
女子はサファロバら伏兵にも期待
ほかに注目したいのはマリア・シャラポワ(ロシア)、ペトラ・クビトバ(チェコ)といった優勝経験のある選手たちですね。2人ともフラット気味のグラウンドストロークを武器にする超攻撃型の選手で、芝のウィンブルドンでは可能性があると思います。
さらに、今年の全仏オープン準優勝のルーシー・サファロバ(チェコ)も、フラット系でスピードのあるボールが打てることから、プレーが噛み合ったら怖い存在です。また、全仏オープンでの彼女がそうであったように、伏兵的な選手の活躍も楽しみです。
【画像提供:WOWOW】
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/column/
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