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ホークス工藤監督、投手目線の采配ズバリ
「明るく真剣に」そして“嫌らしく”
ここまで貯金15と新人監督ながら好成績を残す工藤監督(左から2人目)。投手出身ならではの「相手が嫌がる野球」を繰り広げている
ここまで貯金15と新人監督ながら好成績を残す工藤監督(左から2人目)。投手出身ならではの「相手が嫌がる野球」を繰り広げている【写真は共同】

 セ・パ交流戦で最高勝率を勝ち取り、リーグ戦再開直後の首位決戦・北海道日本ハム3連戦でも3連勝した福岡ソフトバンク。66試合を消化した時点(6月21日現在)で39勝24敗3分けという成績は、偶然にも日本一となった昨シーズンとまったく同じ数字となった。


 シーズン折り返しも近づいた今、あらためて工藤公康“ルーキー”監督の、開幕からここまでの采配を振り返ってみたい。

中軸固定で「相手が嫌がる野球」を

 工藤監督が開幕前から目指してきたのは「相手が嫌がる野球」だ。12球団唯一の投手出身監督ならではの目線で「相手投手に『ソフトバンクとは対戦したくない』と言わせるような戦い方をしたい」と語る。


 その1つが、強力クリーンアップによる先制攻撃である。3番から6番を柳田悠岐、内川聖一、李大浩、松田宣浩で固定するとともに、絶対的な信頼を置く。そして、その前に調子の良い選手を配することで初回から相手投手に大きなプレッシャーを与えていく。開幕当初は長谷川勇也を6番に起用したが、長谷川の離脱以降は松田の打順を繰り上げ、4月に李大浩、5月に内川がスランプに陥っても、中軸の打順を入れ替えることはせずに我慢強く復調を待ったのだ。


「4月は不安もあったが、監督・コーチの信頼があって調子を取り戻せた」


 スランプを脱出した後の5月に打率4割3分9厘、8本塁打という圧倒的な成績を残して月間MVPを獲得した李大浩がそう言えば、6月21日の日本ハム戦で決勝打を放った内川も「監督・コーチが『打っても打たなくてもそこ(4番)はいないんだ』と言ってくれる。だからこそ精神的にそこから逃げるわけにはいかない」と語る。


 さらに、交流戦の終盤からは松田の後の7番に得点圏打率の高い中村晃を配し、「李大浩や松田をホームにかえせる打者がいれば、なおさら嫌でしょ」と工藤監督。中軸を固定する以外にも、細かな部分で相手投手が嫌がるような仕掛けもあり、藤井康雄打撃コーチは「二塁に走者が行ったとき、セーフティーリードでじっとしているのが普通だけど、監督は二塁走者をもっとチョロチョロさせてくれと言うんだ。それだけでも投手は嫌がるってね。そこは野手出身の僕や大道(典良コーチ)にはない感覚だね」と新指揮官のこだわりを明かす。


 実際に足が使える選手が多いソフトバンクだけに、走者が相手投手に与えるプレッシャーは大きい。投手目線で、常に相手にプレッシャーをかけ続ける野球こそ、工藤監督が目指す野球なのだ。

伏兵たちを生すチャンスの与え方

開幕直前に支配下登録され、連続試合ホールドのリーグ新記録をマークしたセットアッパーのバリオス
開幕直前に支配下登録され、連続試合ホールドのリーグ新記録をマークしたセットアッパーのバリオス【写真は共同】

 監督交代によって、新たなチャンスをつかんだ選手も多い。その典型が、バリオスと二保旭の2投手だ。


 春季キャンプから積極的に若手の動きをチェックしてきた工藤監督は、いち早くバリオスと二保が投じる球に注目した。そして、育成選手だったバリオスを開幕直前に支配下登録し、中継ぎとして起用。バリオスはリーグ新記録の13試合連続ホールドを記録し、抜てきに見事な結果で応えた。


 同じく中継ぎで起用された二保は、5月3日のオリックス戦でプロ7年目にして念願の初勝利。その2日後には2勝目を挙げるなど、すでに中継ぎで4勝(1敗)をマーク。「僕の持ち味は、打者に向かっていく強気のピッチング。その点を監督にも理解していただいているという実感はあります。だからこそ、監督の期待に応えたいと思います」と二保。工藤監督は「バリオスも二保も、どんなときでも自分のボールをしっかり投げられる投手。気持ちの面も強い」と評価する。


 新たにチャンスを与えられたのは、投手陣だけではない。移籍2年目の川島慶三、大卒3年目の高田知季、高卒5年目の牧原大成、高卒9年目の福田秀平など、伏兵たちが1軍の試合にこれまで以上に出場し、結果を残している。それについて工藤監督は「ユーティリティーな選手を数多く使って、その中で調子の良い人を使っていく。競争することが彼らのモチベーションを上げて、良い結果に結びついているんじゃないかな」と語る。


 間もなく長期離脱していた本多雄一も1軍に復帰にする。打撃不振に悩む今宮健太を含めて、選手の競争意識はさらに高まっていくだろう。工藤監督が、それをどうコントロールしていくのかにも注目したい。

ベースボール・タイムズ
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プロ野球の“いま”を伝える野球専門誌。年4回発行の『季刊ベースボール・タイムズ』を含め、全国の番記者からプロ野球のホットな話題・情報を届ける。毎年増刊号として発行される選手名鑑『2018プロ野球プレイヤーズファイル』は2月16日発売!今年はさらに充実した内容にスケールアップ! プロ野球OBが野球について語りつくすインターネットメディア『OBTV』の運用も担当。

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