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快進撃続く29歳スプリンター藤光謙司
自己新連発で「ピークがようやく来た」

29歳で訪れた“ビッグウェーブ”

男子短距離の藤光謙司が快進撃を続けている。29歳のベテランスプリンターが成長を続けられる理由とは!?
男子短距離の藤光謙司が快進撃を続けている。29歳のベテランスプリンターが成長を続けられる理由とは!?【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 4月の織田記念陸上200メートルで、桐生祥秀(東洋大)を抑えて優勝したベテランスプリンターが快進撃を続けている。5月1日で29歳になったばかり、身長182センチのスラリとした長身が印象的な藤光謙司(ゼンリン)だ。今季は5月のセイコーゴールデングランプリ陸上(GGP陸上)200メートルで5年ぶりの自己新となる20秒33で走ると、続く東日本実業団選手権では100メートルでも10秒27と、立て続けに自己記録を更新した。


「単純に(走力の)ベースが上がっているというのもあると思いますし、『今までやってきたことは間違っていなかったな』という確認にもなりました」


 絶好調の中迎える日本選手権(26〜28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)には本職の200メートルに絞ってエントリー。昨年10月以降、8月の世界選手権(中国・北京)の参加標準記録(20秒50)を5度も突破するなど安定感も抜群で、09年のベルリン大会以来となる個人種目での世界の舞台へ視界良好だ。

織田記念陸上では桐生祥秀(右)を抑えて優勝し、注目を浴びた
織田記念陸上では桐生祥秀(右)を抑えて優勝し、注目を浴びた【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 これまでのキャリアは十分に華々しい。市立浦和高2年時の高校総体で100メートル3位、200メートル2位、日本大時代にはアジア選手権200メートルで優勝。24歳で迎えた2010年の日本選手権200メートルでは念願の日本一に輝いた。しかし今の彼の活躍は、それらの実績を凌駕しようかという勢いだ。


「ピークがようやく来たというか、今、競技人生の中で一番状態が良い時なのかなと思います。『ようやくビッグウェーブ来始めたか』みたいな(笑)。でもこれが本当にビッグウェーブなのかまだ小波なのかは、今後次第。また新たな大波がやってくるかもしれないので、今後の自分に期待していますね」

成長し続けられる理由

日本選手権に向けて練習を積む藤光。スタート練習では、撮影した映像を見てフォームなどを確認していた
日本選手権に向けて練習を積む藤光。スタート練習では、撮影した映像を見てフォームなどを確認していた【スポーツナビ】

 今でこそ自信たっぷりにそう語る藤光だが、シーズン序盤は、好調の要因をうまく説明できないでいた。5月のGGP陸上でのことだ。自己新の走りで海外勢を抑え優勝したにもかかわらず、本人は「今日、自己記録を出すつもりはなかった」と苦笑い。「本当に何が影響して、走りのどこの部分がすごく良くなっているのか、まだ少しはっきりしていないところがある」と、判然としなかった。


 思い当たる節がないわけではなかった。この冬は充実したトレーニングを積んでおり、「良い状態で今シーズンは入れているな」とは感じていた。ただ、連戦による練習不足で、力を出し切った実感もないまま、結果だけ出ている状況をのみ込めなかったのだ。


 レース漬けの5月を終え、日本選手権に向けて練習の日々に戻った藤光に、29歳になってもなお、成長し続けられる理由を尋ねてみた。彼が挙げた要因は、厳しく鍛えぬくアスリートのイメージとは異なる、藤光流の練習スタイルだった。


「今までも今後もずっとそうだと思うんですけど、詰め込み過ぎないようにトレーニングをしてきました。腹八分でやめるというか、納得したらやめるという形のトレーニングスタイルです。あまり練習量もこなさないですし、ギチギチに練習はしません。一生で走れる本数が決まっているじゃないですけれど、それを早く削ろうと思えば早く削れて、それをうまく省エネしていけば競技人生も延びると思っているんです。僕は途中までそういう意識ではやっていませんでしたが、(大学時代から指導を仰ぐ)安井年文コーチがそういう形でトレーニングを組んでくれていました。この年齢になっても自己ベストが出たり、うまく脂が乗ってきているのは、そういう要因もあるのかなと思います」

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