審判と選手はどんな関係?=杉山愛コラム「愛’s EYE」

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「親しくしすぎない」が暗黙のルール

今回は審判と選手の関係について、杉山愛さんがお答えします! 【Getty Images】

 今回は「審判と選手の関係は?」という読者の方からのご質問にお答えします。

 テニスの主審(チェアアンパイア)や線審(ラインアンパイア)は、全部正しくできて当たり前という大変なお仕事です。選手との関係はというと、「ある程度の距離を置いています」というのが答えになります。

 選手とあまり仲良くなりすぎると、そこに情が入ってしまってフェアに判定できなくなるおそれがあります。もちろん、仮に仲が良くても実際にアンフェアなジャッジが下されることはないはずですが、疑いを持たれないという意味でも、親しくしてはならないというルールというか暗黙の了解があります。

 もちろん、審判の方々も選手と一緒にツアーを回るわけで、いつも同じようなメンバーですから、もちろん会えばあいさつを交わしたりします。そのあたりで一線を引く、というのが私たちの間柄ですね。

チャレンジ導入でしこりも薄れる

 選手から見れば、審判は完全に信頼しなくてはならない存在ですから、信頼関係はあります。ただ、そうは言っても、どうしても気が合う合わないというか、好き嫌いというのは出てきてしまいますね。もちろん、その人が好きか嫌いかというより相性の問題というか、選手の立場で運が良い悪いというくらいの話なのですが。

 実際私も、この審判は人としては好きだけど、この人の時にはなぜかあまり勝率が良くない、という方がいて、正直、その人が主審と聞くと「うわっ」ってなることもありました(笑)。

 選手からしてみると、この1ポイント、という大切な場面で、審判に「え? なぜ?」というようなジャッジをされることがあるわけです。すると、それが感情的に大きくなってしまって、あとを引くことが少なからずあります。すると、どうしても、この審判とは合わないという印象が残ってしまいます。

 ただ、今はホークアイ(チャレンジシステム)もありますから、以前に比べると判定に関する“もやもや感”というか、あとを引くような執着はなくなりました。当然、審判に対する感情的なしこりもかなり薄れていると思います。

“忠告”があることも

 審判と話すのは、試合前のコイントス前くらいでしょうか。あいさつプラスアルファくらいの会話で、天気の話だったり、他愛もない話です。あとは、例えば観客の中に酔っぱらってしまった人がいるとか、自分のパフォーマンスの妨げになることがあって、なんとかしてほしいという時に主審にお願いすることがあるくらいですね。

 審判の側からは時々、警告ではなく“忠告”をしてもらうこともあります。例えば「ポイント間は20秒」というルールがあるのですが、その選手がポイント間の準備に時間をかける人でいつも20秒ぎりぎりというような場合は、警告する前に「長めだから気をつけて。もうちょっと早くしないと警告するよ」などと、前もって一度話してくれる場合があります。サッカーやラグビーでもあることだと思うのですが、いきなり警告するのではなく声をかけて注意を促してくれるわけですね。

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