横綱ポルシェ、日本勢は独2強に完敗=ル・マン24時間レース総括

田口浩次

ポルシェ優勝、現役F1ドライバーの快挙

復帰2年目のポルシェは17年ぶり17度目の優勝。抜群の安定感で395周を走り切った 【田口浩次】

 現地時間14日午後3時(日本時間同10時)、24時間の激闘を終え、第83回ル・マン24時間レースは幕を下ろした。優勝は昨年から最高峰のLMP1クラスへワークス復帰を果たし、1998年以来17度目の勝利を獲得したポルシェだ。

 395周(5383.45キロ)を走行、優勝した19号車をドライブしたのは、ニコ・ヒュルケンベルグ、ニック・タンディ、アール・バンバーの3人。中でも注目はヒュルケンベルグで、彼は現役のF1ドライバーとしてフォース・インディアに所属している。ル・マン24時間レースでは、これまで数多くのF1経験者が優勝を飾っているが、現役F1ドライバーの優勝となると……マツダ787で優勝した91年のジョニー・ハーバートまでさかのぼる。実に24年ぶりの快挙だ。

 2位には394周を走行したポルシェの17号車、そして3位には393周を走行したアウディの7号車がつけた。

昨年の雪辱を期したトヨタだったが、ドイツ2大メーカーとの差は歴然。6位、8位に終わった 【写真提供:トヨタ】

 日本勢はトヨタの2号車が387周で6位、1号車が386周で8位となった。昨年優勝したアウディの走行周回数が379周だったことを考えると、今年のLMP1クラスは大きく性能向上したことが分かる。

 そして、今年LMP1クラスにワークス復帰した日産は3台中2台がリタイア。唯一生き残った22号車も、周回数は242周で24時間走行した時点で最下位。さらにレースも完走車両は、優勝車両の70%以上の走行周回が必要というレギュレーションに引っかかり、周回数が足りないとして最終結果は未完走扱いとなっている。予選時の110%ルールでの最後尾スタートに続いて、ほろ苦い結果に終わった。

 GT−Rの名前を打ち出し、前輪駆動のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両で話題を呼び、アメリカンフットボール「スーパーボール」のCMでマシンを初披露するなど、全世界的にマーケティング活動を展開したが、レースでのインパクトは残せなかった。

勝負を分けた夜間走行での安定感

アウディはル・マン6連覇ならず。夜間走行でのトラブルが響き、ポルシェに差をつけられた 【Getty Images】

 今年のル・マン24時間レースは56台が出場招待を受け、完走扱い37台で完走率66%。リタイアが15台、走行ラップ数が足りず未完走扱いが3台、そして予選時のクラッシュで決勝レース出場を諦めた1台の合計19台が涙をのんだ。

 12時間経過の中間報告後のレースを振り返ってみると、ポルシェが優勝への道筋を見いだしたのは、やはり夜間走行での順調さだった。午前3時の時点では、アウディとポルシェはほぼがっぷり四つの戦いを繰り広げていたが、その後、アウディのマシンに小さなトラブルが次々と生じ始め、細かくピット作業を強いられる時間が出てきた。一方、予選では3個か4個のバッテリー交換をしたと言われ、「速いがバッテリーの信頼性が問題」と指摘されていたポルシェはノートラブルで朝を迎えた。

 パドックでは「相手を油断させるためのガセ情報だったのでは?」なんて声も聞こえたほど、ポルシェの走りは横綱相撲だった。そして19号車が252周目でトップに立つと、そこからはアウディに譲ることなく、395周を走り切った。

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