ドラフト候補右腕3人の大学選手権 大商大・岡田、真の評価は夏以降か

松倉雄太

春に投げた反動が秋に出るか?

前回はチームをベスト8に導いた仙台大・熊原だが、今大会では初戦で姿を消した(写真は前回大会のもの) 【写真は共同】

 さらにもう一つスカウトから挙がったのが、「夏以降にどうなるかを追っていかないと」という言葉である。

 チームは2年前の秋に明治神宮大会に出場したが、岡田はその時スタンドでの応援だった。3年春になってようやくリーグ戦で1試合を投げ、夏を過ぎたあたりから下半身が強化されたことによって力をつけ、ようやく戦力となって秋は6試合に登板した。イニング数も1年春と3年秋を合わせて13回、3年秋になって29回、4年春は45回と急激に増えている。つまりまだ1年間を通してやった経験がないというのが未知の部分になる。春に投げた反動が夏を越えて秋のリーグ戦でどう出てくるか。この点が秋へ向けてのチェックポイントになるだろう。

 とはいえ、現時点で「2位までには(名前が)消える」とスカウトに言わしめるように、素質の高さは誰もが認めるところだ。今後「1位指名候補に入ってくるかもしれない」という声もあり、この大学選手権での経験を経ての成長が大いに期待できる投手である。

2度目の選手権、熊原と桜井の評価は……

 岡田以外の投手では、昨春の大学選手権でチームをベスト8に導いた仙台大の熊原健人(4年・柴田)のピッチングにスカウトの注目が集まった。だが、初戦で九州産業大に敗戦。初回に最速150キロを計測したが、「張られていた」という直球を打たれて先取点を許した。その後は変化球を交えたピッチングに切り替えるも、自らのボークや守備のミスが絡んで追加点を与えてしまった。

「調子は悪くなかったが、自分に足りない所が分かった」と悔しい気持ちを話した熊原。東京ドームの照明の具合で捕手のサインが見えにくかった所も課題として浮き彫りになった。それでも、「投げっぷりがいい」「十分プロで通用するボールを投げる」「1位候補ですね」などスカウトは高評価。昨秋に21U日本代表としてプロ・アマ混成チームでワールドカップを経験したことで、昨年の大学選手権より一回り成長した印象を受けた。

 もう一人、21U日本代表に選出された投手が立命館大の桜井俊貴(4年・北須磨)。昨年に続いて2度目の大学選手権は初戦で東海大北海道に敗戦。ダブルエースの西川大地(4年・高知)が先発したため、桜井は9回の1イニングのみの登板に終わった。リリーフとして肩を作るのが難しい試合展開で、少しかわいそうな形でのマウンドとなったが、最速は146キロを記録。ただ、「ちょっと力んでいたね」というスカウトの感想のように、球が上った所をレフトスタンドへ運ばれた。

「真ん中のストレートを打たれてしまったのが今後への反省です。大事な場面で投手は抑えないといけない。制球をしっかり練習したい」と桜井は話し、後藤監督は、「出合い頭のホームランをよく打たれるので、打者との間合いや駆け引きをもっと覚えてほしい」との課題を語った。

 プロの視点では、現時点で桜井は中位くらいの指名になるのではという評価。秋へ向けてどう課題を克服していくかに注目である。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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