ドラフト候補右腕3人の大学選手権 大商大・岡田、真の評価は夏以降か

松倉雄太

上位候補、大商大・岡田にスカウト陣が注目

好投手として注目された大商大・岡田だが、タイブレークに突入した準々決勝で敗れた 【撮影:高木遊】

 第64回全日本大学野球選手権大会が6月8日から開催されている。全国26連盟の代表校が、今年の大学日本一を競う。同時にプロ各球団のスカウトなど編成担当は、各地区のリーグ戦で追いかけてきた選手が全国の強豪を相手にどんなパフォーマンスを見せるのかを見極めている。

 今春のリーグ戦、関西で話題をさらったのは大阪商業大の右腕・岡田明丈(4年・大阪商業大高)だった。所属する関西六大学リーグで6勝を挙げ、防御率0.33で最優秀投手賞を受賞。各球団の編成担当は上層部も含めてリーグ戦ですでにチェック済みで、今大会では「則本(昴大/現東北楽天)みたいになれるかだね」とあるスカウトが話すように、全国の舞台でどれだけのピッチングを見せることができるかに注目が集まった。

 初戦は西日本工業大戦。先発し、8回0/3を投げて3安打1失点で7奪三振という内容。「先に点を取られてしまいましたが、楽しんで投げられました」と初の全国大会のマウンドを振り返った。ただ「緊張しました」と話すように、ベースカバーのいない二塁ベースに2回けん制を投げてしまうミスも出てしまった。それでも対戦した西日本工業大の武田啓監督は「真っすぐのキレがありましたね。要所、要所で力を入れて投げてきた。ああいうピッチャーを打てるようにならないといけませんね」と印象を語った。

 バックネット裏で視察したスカウトからは、「球の強さが長所です」「ドラフトでは2位までに(名前が)消える選手」といった声が多かった。

 続く2回戦では大阪体育大を相手に先発し、6回2/3を投げて3安打2失点。初戦と同じく先取点を与えてしまったが、富山陽一監督は「いつもあんなもんです」とそれほど気にせず、エースに全幅の信頼を置いている胸中を話した。対戦した大阪体育大の中野和彦監督も、「イニングごとに直球で押してきたり、変化球でストライクを取ってきたり、イニングでそれぞれ変えてきていて、なかなか的が絞れなかった」と岡田への対応の難しさを語った。

制球、けん制……課題はまだ山積み

 準々決勝の神奈川大戦にはリリーフで登板した。3対3の同点で迎えた7回、無死満塁という状況からのマウンドだったが、自己最速を更新する152キロを計測するなど、力強い直球を主体に絶体絶命のピンチを切り抜ける。最後は延長タイブレークで打たれたが、「神宮での3試合は楽しめました」と今大会でのピッチングを振り返った。

 3試合を視察したスカウトにこれからプロでやっていくための課題を聞くと、さまざまな答えが返ってきた。

「コントロールの精度だと思います。打たれる時は高くなっている。大学ではこの高さでも通用するかもしれませんが、プロでやっていくためにはもうちょっと低く投げてほしいですね」

「上体だけで投げる時がある。それに自分の世界に入って投げてしまうこともありますね。ベースカバーのいない所にけん制を投げてしまうのも、自分勝手な部分が出ていると言えるかもしれません。野球はチームスポーツですから、その部分は課題になると思います」

 各スカウトの言葉からは、現状では課題が山積している印象を受ける。

1/2ページ

著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント