お土産にも気品 ローランギャロスの魅力=全仏OPテニス・シーンの裏側

内田暁

センス抜群の大会グッズ

ファッションの街・パリだけあり、ローランギャロスの大会グッズはセンス良いものが多いともっぱらの評判 【内田暁】

 あらゆるグランドスラムを訪れたことのあるテニスファンや関係者が、一様に口にする言葉がある。

「やっぱりローランギャロスが、大会グッズのセンスが一番良い」

 ファッションの街・パリの威光を差し引いても、やはりローランギャロスの店頭にはオシャレなグッズが並び、ついでに店員さんたちのファッションセンスが良いのも確か。土産ショップ定番のTシャツやタオルにしても、バリエーションも豊富でファンの購買意欲をそそっている。

 それら大会グッズの中でも、特に人気があるのはどの商品だろうか? ショップの店員さんに聞いてみると、「正確なデータではないけれど、私の感覚では……」との前置き付きで教えてくれた。

パリ市内は“スカーフ”が必須!?

 まずは安定した人気を誇るのが、“ローランギャロス・クレーの小瓶”。その名の通り、高さ5センチほどの小瓶にローランギャロスの赤土が詰まっているという、まさに全仏ならではの逸品。お値段は20ユーロ(約2800円)。かつて日本の観光地で定番土産だった“星の砂”をどこか彷彿(ほうふつ)させる品でもある。

 次いで人気があるというのが、“ローランギャロス3色スカーフ”。淡い紫を基調とした配色と、シンプルながらもメリハリの利いたストライプ柄がスタイリッシュ。ちなみに会場内に限らず、パリの市内では本当に多くのパリジャン/パリジェンヌたちが、スカーフを小粋に巻いている。そういえば以前、ヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)がツイッターで「パリの街には、首に何か巻かなくてはいけないとういう規則か条例があるに違いない……」とつぶやいていた。なおこちらのお値段は、35ユーロ也(約4900円)。

フランス貴族の歴史が垣間見える

美食でも名高いパリ。会場内で売られる焼き立てのクレープの魅力は絶大 【内田暁】

 グッズと並ぶローランギャロスのお楽しみが、美食の街パリならではの会場グルメ。特にスイーツは充実しており、会場内の数カ所で焼かれているクレープやベルギーワッフルの甘い香りが鼻腔(びこう)をくすぐる。お値段は4ユーロ(約560円)。正直、相場の倍ほどではあるが、やはり焼きたての魅力にはかなわない。

 ワインやシャンパンを飲めるオシャレなカフェテリアも、ローランギャロスの醍醐味(だいごみ)だろう。もともとテニスは、フランス貴族の間で広まった競技だといわれている。そして欧米には「テニスコートは、屋外の応接間」との言葉もある。つまりテニスで汗を流したあと、ワインやシャンパンを傾けながら、テニス談議に花を咲かせつつ商談をまとめる……ということを重ねた歴史が、この街にはあるのだ。

 自国の選手を熱狂的にサポートし、対戦相手に不条理なブーイングを浴びせかけるある種の残酷性と、優雅にワインをたしなみつつ、まるで観劇のようにテニスを観賞する気品。その双方がほどよくブレンドされ、香り高い雰囲気を醸成するのも、ローランギャロスならではの魅力かもしれない。
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著者プロフィール

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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