JBA制裁問題、6月は部分解除の方向 第6回タスクフォース会議 報告記者会見

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川淵「下の組織をきちんと整備していくことが大切」

川淵チェアマン(右)は「会長を離れたとしてもフォローしていく」と、バスケ界への継続した支援を約束した 【スポーツナビ】

――配布された入会審査結果に関する資料の中で、JPBLは1部、2部に所属するプロクラブのみで構成し、3部は別法人による運営を検討するとある。なぜリーグを分ける必要が浮上してきたのか?

川淵 (新リーグへの参加を申請したクラブの中には)アマチュアで行きたいというクラブもあるわけですね。それが一緒のリーグで組織化していくということに関しては、運営上の問題がある。1部2部をプロとして見た場合、そこに上がりたいチームはJリーグがしているように準加盟という位置づけにして、それだけの優遇というのか、そういった立場を持つことで、3部リーグという地位に落ち着くという感じです。

 先ほどのガバナンスの問題(と一緒)ですけれど、都道府県協会とバスケットボール協会が、完全なピラミッド型になっていません。例えばバスケットをやりたい女性がいて、男性もいる。そういうチームを集めて県の中でリーグ戦を開いてという仕組みがほとんどできていないんですよ。だからbjリーグのような形で、てんでバラバラにプロに入ってしまう格好になったと僕は思うんです。

 女子のクラブチームなんか、ほとんどないと思いますよ。女子は三十何万人も登録選手がいます。地元で女子バスケの試合をして、地域社会の中で楽しもうというようなことを全国レベルでやっていったら、もっとバスケットボールが盛んになるに違いないと思いますね。でもそういう考え方を47都道府県が共有していない。

 今(都道府県協会の)法人化を進めていますけれど、協会とコミュニケーションを取りながら、「こういう方向にバスケットボール界は進んで行きましょうよ」、「こういう仕組みにしましょうよ」ということを時間をかけて考えていきたい。その案の中の一つが3部の下にそういうモノを作ることで、今度は(更に下のリーグから)3部を目指すチームが出てくるわけですね。今(のバスケット界)は完全なピラミッド型になっていないわけです。3部に入るためにどうするのか? そういう仕組みをちゃんと決めていかないと、スムーズにピラミッド型になっていきません。そういう努力をこれからしていくということの一つのステージが、3部リーグということになります。

 将来的には、3部の中にはプロを目指す(クラブがそろって)、今のJ3のような格好になっていくのではないかと思います。今のままでは、その下の組織が全国的に何もないということでしょう? アマチュアのチームがどこに行けばいいの? ということになるから。3部を作って「(上を目指す準会員チームと)アマチュアの人と一緒にやって下さいよ」ということです。言ってみれば仮の姿と言ってもいいでしょうかね。下の組織をきちんと整備していくことが、バスケットボール協会にとって大切なことになると思います。

――新リーグの方向性は見えてきたが、理事や組織はいつごろをめどに出来上がるのか?

川淵 新しいリーグの理事その他は、8月いっぱいで組織化したいと思っています。バイス・コーチェアマンは、日本の選手の実力からいっても(1部には)12チームがいっぱいいっぱいじゃないのと言っているんです。僕もいろいろなことを聞いたら、そんな感じかなと思わんでもないです。けれど、若い選手をそこ(1部)でどんどん育てていくことで全体のレベルアップを図るという意味からすると、必ずしもそんな数字にこだわらなくてもいいかなとも思うんです。

 少なくともわれわれの提示した条件をいくつのクラブがクリアできるのか? 将来に向けてクリアできそうなのか。そういったことを精査しながら、最終的に8月いっぱいで決められればいいなと思っています。

 7月いっぱいで(1部参入が確定するクラブが)10くらいとすると、あと2つになるか、4つになるか、6つになるか……。この辺が皆さんの紙面に出てくるような状況を僕は期待しています。

――2部3部の振り分けはどのようなスケジュールか?

川淵 3部は早めに決まる場合があるかもしれませんね。7月の段階で、2部3部のチームも、1部を決めるのと同じように、決定的なクラブは決めていくことになるでしょう。2部になるのか、1部になるのか、それとも3部になるのか、微妙なチームがナンボかある。そんな感じですね。すべて確定するのは8月いっぱいです。

――入会保留になった4クラブを見ると、(入会が保留された)和歌山と(県協会からの支援文書を得られず条件付き入会となった)その他3クラブには大きな差がある。来シーズンからこの4チームが参加できる可能性は、数字にするとどの程度か?

川淵 一番初めの条件として、「都道府県協会がそのクラブの新しいトップリーグ参入を認めるよ」と文書に書かない限りは(参入を)認めないと言っているわけです。都道府県協会との連係は無くてはならないことで、勝手気ままにやってもらっては困ります。そういうことがない限り、入ることはできませんね。

 手続きが遅れているのではなく、許可証をもらっていないということですよ。(3クラブは)都道府県協会から、「県のクラブとして認めますよ」という書類をもらっていない。しかし先ほども言いました通り、そういうクラブがどういうところで生きていけばという道は、これから探していかなければいけないと思います。現状では3部以内に入れないということです。

バイス この3クラブに関してだが、クラブは県協会の支援、理解があって成り立つもので、川淵さんの意見には全面的に賛成する。もし県協会の支援なくして受け入れたとすると、長期的な面でいずれトラブルを抱え込むことになる。独自で解決できないような状況に追い込まれる。だから県協会の支援は絶対に不可欠だ。

 一つの例えだが、もし県協会から支援を受けられない、その上でバスケットに興味がなく、「5千人収容のアリーナを建てる必要性がない」「興味がない」と言い切っているような県知事がいるとしたら、バスケットはもちろん、そもそもスポーツに興味はあるのか? 五輪に興味があるのか? ということです。皆さんまずそれを疑問視してください。

――支援文書の提出期限となっている6月15日を超えた場合、初年度の新リーグ参加は一切認めないという方針なのか? それともめどが立っていれば参入が許されるのか?

境田 福岡、広島、大分についてですが、われわれタスクフォースとして都道府県協会の支援が必要だと示したのは3月25日です。2カ月以上経って取れないということは、いつまでも待っていても仕方ないので、期限を区切らざるを得ないということで、6月15日という期限を設定しました。これを1日でも超えたら絶対に認めないというまでは判断していません。原則はそうですけれど、もう少し検討……

川淵 そんなの認めたらダメだよ。

境田 ダメですか。すいません(笑)。チェアマンがおっしゃっているので……。和歌山は状況が違って、都道府県協会の預かりということで、運営されています。もう一回きちっとクラブチームができて、活動ができるということなら検討の余地はあると思います。

川淵「(今までは)スケジュールの決め方がそもそも問題」

――FIFA(国際サッカー連盟)の汚職問題でFIBAも迷惑をこうむっていると思うが、この問題についてどう思うか?

バイス 今の質問に簡潔に答えさせていただくと、FIFAの問題はFIFAが独自に解決しなければいけない。FIBAがタスクフォースを立ち上げて、日本のバスケットボールの問題を解決するのと次元は同じだ。問題となっているのが国内レベルなのか国際レベルなのかということだけだ。

――3部の別法人化を検討するとのことだが、結論はいつまでに出るのか? 新リーグは3部制という認識だったが、2部制に改まるということか?

境田 われわれも全部まとまって一つの法人でという風に考えていました。ただ先ほどチェアマンがおっしゃった通り、3部にはアマチュアのチームが加わります。(新リーグは)社団法人なので、一つのクラブが一つの議決権を持つという形で運営されます。そのときにアマチュアのクラブがいくつもあって、プロリーグの方針を決めるのは合わないだろうと。ヒアリングをしていくと、「当面プロになる気がない」と言っているチームもありますので、それは切り分けざるを得ないという判断です。調査の結果として、切り分けるということにしました。8月末までに1部、2部、3部までが確定しますので、8月末までには新しい法人の形を示していく必要があると思っております。

川淵 仲間外れにされるという感じを持たれたら嫌だから、一緒にやれないかと模索をしたんですけれど、社団法人は(各クラブが)1票を持つので、それは無理があるなと。そこのところは準会員という位置づけを用意して、しっかり見ていますよという形にすればいい。(3部の別法人化という方針は)ほとんど決まっていますね。(JPBLは2部制になる?)そうですね。

――配布された「JBA強化に関する最終のご提案」という資料(※1)内にある、選手が代表に参加しない場合の罰則とはどのようなものになるのか?

川淵 ワーキンググループの発表の中では、6カ月出場停止という案が出ています。罰則を念頭に置いて参加するということより、代表に選ばれたい、選ばれたら名誉だという気持ちを、バスケットボール選手みんなに持ってもらえるような代表、ユースの代表であるべきです。そうなるために協会としてどうするかということが第一かなと、僕は思っています。

(※1)資料内には以下の項目も明記されており、それぞれについて本日の会合で議論された。
・15歳以下でのゾーンディフェンス禁止
・高校1年生の大会・試合を増加する
・年齢に応じたトレーニングプログラムの開発
・日本代表プログラム(強化)の傘下にエリートコーチ教育課程を設立する
・審判教育を国際基準に順応させる
・タレント発掘のためにも中立なスカウトを任命し、育成する
・WJBL(バスケットボール女子日本リーグ機構)の登録規程改定および外国籍選手の承認
・男子代表強化において、ホーム&アウェーの予選期間内に強化活動を増やす

――FIBAからの指摘にU−17の世界大会と夏の高校総体がかぶって、学校が選手を出さないという件があった。インターハイの日程はJBAでどうにかできる問題ではないが、誰をどう説得するのか?

川淵 なぜダブってやるかと聞いたら、「FIBAの日程が後に決まるけれど、高校の大会は3年前に決まっているので重なってしまう」という話だった。しかしある程度の目安は当然つくはずで、そういったスケジュールの決め方がそもそも問題じゃないかと僕は思っています。そういったところの調整が効くのかどうか、それを一番初めの解決策として考えていきたい。

 うまくできないときには、世界のユース大会に出ることが日本のバスケットボールの将来にとって絶対に重要なことだから、指導者に理解してもらってその大会に出してもらう努力をしていきたい。スケジュール問題は、もっと簡単に解決できる方法があるのではないかなというのが、僕の気持ちです。

バイス 代表に選ばれるということがいかに栄誉であるか、誇りであるかを自覚できれば、みんな喜んで代表の方に行くと思う。カレンダーの重複が問題になっていたが、今回新しい協会が誕生して、まずFIBAとのコミュニケーションが取れるようになっているということだ。この問題もいずれも解決するだろうし、大きな声で議論する必要もなくなった。

――先ほど女子のアマチュアについても話をされていたけれど、女子の強化・再編も考えているのか?

川淵 女子に関しては、外国人選手が一人もいないので、最低一人採用してもらえるような働きかけをするということが一つです。若手の代表チームを作ってそれを強化してほしいと。そんな内容が、今日の強化目標(に関する議論)の中で出ていましたね。

 外国人選手の獲得は企業が話し合って止めたと聞いている。もう一度お願いして、外国人選手をぜひ一人採用してほしいと(考えている)。2人とってもいいけれど、オン・ザ・コート1ということになる。外国人選手が入ることで、日本の女子バスケが国際化するし、レベルの高い試合ができるようになると思っている。

 若手の養成に関しては特別にチームを作って、海外遠征その他をしてほしいという案があった。選ぶ前に(女子の)若い選手が試合にほとんど出られていないので、高校の延長線上で(若い代表チームの選手を)選ぶのかというと難しい問題になる。僕としては男子でも言った通り、試合の中で最低でも5分プレーさせるとか、そういうことを義務づけて、必ず二十歳以下の選手を試合に使うということで、レベルアップを図る方法がいいのではないかと思っています。

――7月30日までに1部入りが何チームか決まるとのことだが、軸になる存在が見えていれば教えてほしい。

川淵 それはあるけれど、ここでは言えないね(笑)。(そのチームに)安心してもらっても困るから。

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