JBA制裁問題、6月は部分解除の方向 第6回タスクフォース会議 報告記者会見
川淵「FIBAの今回の措置に感謝する」
川淵チェアマンは会見の冒頭で「バスケットボール界を代表して厚く御礼を申し上げたい」と日本へ変革のきっかけを与えてくれたFIBAに対して感謝の意を述べた 【スポーツナビ】
登壇者:
[JAPAN 2024 TASKFORCE]
川淵三郎(チェアマン/日本バスケットボール協会 会長/日本サッカー協会 キャプテン・名誉顧問)
インゴ・バイス(コーチェアマン/国際バスケットボール連盟 セントラルボードメンバー)
境田正樹(メンバー/日本バスケットボール協会 監事/四谷番町法律事務所 弁護士)
川淵 今日で6回目のタスクフォースを迎えました。1月末にタスクフォースがスタートして、丸4カ月で最終的に国際試合の禁止処分が解除されるんじゃないかというところまで来ました。これはひとえにバイス・コーチェアマンのおかげです。今日はバウマンさんも来ておられましたけれども、そういったバックアップを受けつつ、日本のバスケットボール協会として主張するべきところは主張して、良い方向でここまで来ました。
4カ月前の状態から見ると、ここまで順調に来るとはあまり思っていませんでした。当初は一番の問題として、2つのリーグを合併することがいかに困難かという認識があり、協会のガバナンスや代表の強化はそんなに大した問題じゃないと実は思っていました。ところが一番問題だったのは協会のガバナンスです。これに関してはFIBAからの指摘がありました。協会のガバナンスを改革すべきということがなければ、日本のバスケットボール界は、2つのリーグが一つになったところで、長い目で見てあまり発展するようなことにはならなかったのではないかと思います。僕は心からFIBAの今回の措置に関して、バスケットボール界を代表して厚く御礼を申し上げたい。
方向性が決まったとはいえ、言ってみれば病巣がようやく分かった段階です。身体のどこが悪いかという検査結果は出たけれども、手術すべきなのか薬で治すべきなのか、そういったことに対してわれわれは方向性を出しても、短期間に結論を見るわけはありません。どれくらいの時間がかかるか分かりませんけれども、可及的速やかにそういった病巣を取り除く努力をして日本バスケットボール界の発展につなげる。それを短期間でいかに成し遂げるかということを、われわれは求められています。
第6回目のタスクフォースで、ある程度の国際試合禁止処分解除の見通しがつきました。バウマン事務総長は責任者ですからそういった確約はなかなかし難いところですが、バイス・コーチェアマンの方からは、ほとんど大丈夫だろうということです。安心して今度の常務理事会(エグゼクティブコミッティー)を迎えることができると思います。
本来はセントラルボードが6月中に行われるはずだったのですが、都合があって8月に伸びるということです。ただ少なくとも6月の時点でユニバーシアードやU−16、いろいろな国際試合に出てもいいという結論を出してもらえそう、という予測をしております。バウマンさんもバイスさんもそのことを断言しておられないけれども、われわれとしては確信をしています。
いずれにせよ決まった改革の道筋を、どう具現化していくかということが、今後の大きな課題です。国際試合の禁止処分が解除されたとしても、後々そういったものがどう実現されていくのか。そういうことはFIBAとしてもしっかり見ていただけるだろうと思っています。
リーグのことに関して、入会保留ということで、和歌山トライアンズ。ライジング福岡、広島ライトニング、大分ヒートデビルスは、ペンディングになっています。基本的にはこれから6月、7月にかけて、各クラブとヒアリングを行います。ここは1部の入会が大丈夫ということを7月いっぱいに発表しますけれど、その時点で全チームについてはまだ発表できないと思いますね。そこから1カ月くらいかけて、「ここを改善して見通しが立てばこうしよう」ということで、8月末までに16年からスタートする新リーグのクラブが全部決まることになります。
一応の目安としては7月いっぱいに10チーム前後を発表します。8月末には何チームになるのか分かりませんし、(追加の振り分けが決まるのは)ハードルをクリアしたクラブがどれくらい出てくるかによります。そういうところが今日の最後の議論でした。
バイス「日本の問題は国際的にも関心が高い」
川淵さんをはじめとして、周辺スタッフが新しい協会、新しいリーグに関わって活動を開始して、およそ190日間が過ぎている。私と川淵さんが1月に初めて会った段階から、「6月に向けて最大限の努力をしていこう」と話はまとまっていたし、楽観的に考えていたところはあるけれど、一方で表には出せないながら不安と焦りがあった。短期間で果たしてどこまでできるのか? これが本当に実現可能なのか? ということで、多少の不安もあった。
しかしわれわれはかなりいいところまできている。先ほど川淵チェアマンから話があったが、6月半ばにエグゼクティブボード(エグゼクティブコミッティー)が開催され、その中で女子U−16代表がアジア選手権出場をFIBAアジアに申請できるようになり、ユニバーシアードへの出場にもゴーサインが出ると考えている。6月半ばにジュネーブで行われるエグゼクティブボードにおいては(JBAの)新事務総長である大河さん、タスクフォースメンバーである境田さんからFIBAが中間報告を受けて、それに合わせて日本で川淵さんが記者会見を行うのではないかと考えている。8月のセントラルボードは7日、8日に東京で開催する予定だが、そこで川淵さんからの最終報告を受けたい。
私としては8月のFIBAセントラルボードを受けて、JBAが世界のバスケットボールファミリーから受け入れられることを期待している。個人的にはそう確信している。今まで(タスクフォースが)どういう活動をしていたか目の当たりにしているので、JBAが再び国際バスケットボールファミリーに戻ることを確信している。
なぜセントラルボードを6月から8月に移したか。今回のセントラルボードでは、19年の世界選手権の開催地が決まる予定だった。実を言うと(世界選手権の)招致活動が、われわれの期待ほど進んでいない。6月の段階では開催地の決定に至らないということが(延期の)理由だ。それ以外にFIBA内部の事情も理由に挙げられる。FIBAの組織体制が変わり、それに関わる事項を決議できる段階になかった。そのような事情を受けて、FIBAの会長、事務総長、そして財務部長である自分が活発に議論した結果、セントラルボードは延期せざるを得ないことになった。7月は他にもいろいろなイベントがある。例えばIOC(国際オリンピック委員会)の総会が7月の予定だ。われわれはセントラルボードを8月の頭に開催するしか方法がなかった。
ではなぜ東京が開催地として候補に挙がったかというと、それは私が提案した。タスクフォースの皆さんの尽力に、セントラルボードも敬意を示すべきではないかということだ。われわれから川淵新会長へのリスペクトの念を持って、東京で開催したいという気持ちがあった。また19年の世界選手権には、同じアジアの国である中国とフィリピンが立候補している。この両国をわざわざ遠いスイスに呼んでプレゼンさせるより、同じアジア圏内である東京でプレゼンをした方が妥当ではないかという気持ちもあった。そういうことで東京になった。
日本のバスケットボールの問題は、国内だけでなく国際的にも高い関心が持たれているように感じている。例えば海外の知り合いからもメディア、そしてインターネットで日本のバスケットがこのように取り上げられたというフィードバックを受けている。
あいさつが長くなり申し訳ないが、いかに(日本バスケの)関心が対外的にも高いかということで、補足を申し上げる。自分は(今)携帯を切り忘れていたのだが、ふと画面を覗いてみたら、ドイツでも有数の新聞社である『フランクフルター・アルゲマイネ』のスポーツ部門の編集責任者から、「6回目のタスクフォースはどういう風に終わったのか?」という問い合わせが来ていた。
携帯は切ったので、もう鳴らないはずだ(笑)。