JBA制裁問題、6月は部分解除の方向 第6回タスクフォース会議 報告記者会見

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タスクフォースの第6回会合に臨む(左から)バイス・コーチェアマン、川淵チェアマン、境田メンバー 【スポーツナビ】

 FIBA(国際バスケットボール連盟)による資格停止処分を受けている日本バスケットボール協会(JBA)の改革を行う「JAPAN 2024 TASKFORCE(タスクフォース)」の第6回会合が2日に都内で行われ、新リーグへの入会を希望しているチームの審査結果が承認された。

 入会申し込みを済ませているNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)、bjリーグ(ターキッシュエアラインズbjリーグ)、NBDL(ナショナル・バスケットボール・デベロップメント・リーグ)の全47チームのうち、和歌山トライアンズ(NBL)を入会保留にすると発表。また、ライジング福岡・広島ライトニング・大分ヒートデビルズ(以上bjリーグ)を条件付きで入会を認めることとした。詳細は以下の通り。

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(以下タスクフォース発表の資料より抜粋)

【入会保留クラブ】
・和歌山トライアンズ

2015年1月に前運営会社が経営破たんし、14−15シーズンの残りについては和歌山県協会および一般社団法人プロバスケットボール運営委員会預かりとして運営がなされてきた。NBLでは15−16シーズン継続の審査のための資料がそろわないことを理由に、15−16シーズン参加が見送られた。現状、チームは実質的に存在しない状況であり、将来的な3部リーグへの参入の可能性も含めて継続審議とする。

【条件付き入会クラブ】
・ライジング福岡
・広島ライトニング
・大分ヒートデビルズ
各県バスケットボール協会(福岡・広島・愛媛)からの支援文書の提出がないため。6月15日(月)を期限として提出することを条件に入会を認める。(編注:大分ヒートデビルズは新リーグ入会後のホームタウンを愛媛県として入会申請中)

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 なお、条件付き入会クラブの3チームについて川淵三郎チェアマンは「(期限を1日でも越えたら)その時点で初年度の入会は認めない」と明言。それ以外の43チームは、1〜3部のいずれかに所属することが決定した。

 さらに、タスクフォースは3部リーグの位置づけについて見解を発表。一部のチームはアマチュアからプロ化することを希望していないことや、財務面や運営体制の面で、大きな課題を抱えるクラブが複数存在することを理由に、当初1〜3部を運営・統括する予定だった一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグ(JPBL)については、1部、2部に所属するプロクラブのみで構成されることを発表した。3部に所属するクラブについては、別法人によって運営されることを検討することも併せて発表している。

制裁解除への道筋が少し変更

バイス・コーチェアマン(左)はFIBAセントラルボードの日程変更理由と、それに伴って日本への制裁解除を段階的に行うことを発表した 【スポーツナビ】

 なお先月23日(日本時間)に、FIBAがセントラルボード(中央理事会)の日程変更を発表した。当初、このセントラルボードではJBAへの制裁解除が審議される予定だったが、日程の変更を受け、今月18、19日に「FIBAエグゼクティブコミッティー」が開催されることとなった。タスクフォース会合後に行われた会見に出席したインゴ・バイス氏(FIBAセントラルボードメンバー/タスクフォース コーチェアマン)は、「(この会議で審議されるのは)全面解除ではなく部分解除」とコメント。「あくまでも全面解除は(8月に開催される)セントラルボードで最終決定する」とした上で、「8月に試合がある女子日本代表U−16とユニバーシアードの活動については、続けられるような措置をとる」と発言している。

 また、8月ごろに開催予定とされていたリオ五輪予選を兼ねた東アジア選手権への男子代表の出場可否に関しては、制裁解除が認められるという条件付きで日本の免除が検討されているとのこと。大会を運営するFIBAアジアとJBAが連絡を取り合い、アジア選手権から出場する方向で調整中のようだ。いずれにせよ、バイス・コーチェアマンの「FIBAとして(日本の五輪出場の)邪魔立てするつもりはない。制裁はあくまでも(公式戦の)コートに立つことができないということで、手続きなどは通常通りに行ってもらって構わない」というコメントにもあるように、男女共に日本代表のリオ五輪への道は制裁の影響では閉ざされないことが明らかとなった。これについては、川淵チェアマンも「まったく心配しなくていい」と何度も強調していた。

 さらに、今月の「FIBAエグゼクティブコミッティー」で部分解除が認められた場合、「海外合宿などをしていただいても全く構わない」(バイス)と、公式戦出場以外の制裁内容はこの時点で解けることも示唆した。

川淵「正しい方向を今見つけつつある」

第1回会合以来の参加となったFIBAのバウマン事務総長は3つの「喜ばしいこと」を挙げていた 【スポーツナビ】

 以下はタスクフォース会合の冒頭。

川淵 今日で第6回目のタスクフォースですが、スタートした1月末から4カ月でFIBAが求める3つの改革について、ある種の方向付けができたことは、本当に皆様のご協力の賜物と、心から熱く御礼申し上げます。

 正直に申し上げて、1月末の頃、バスケットボール界の病巣はどこにあるのか分からなかった。それをレントゲン検査やMRIなどのいろいろな検査をした結果、病巣を明確に把握できた。それに対して手術や対症療法ではなく、根本療法でやらなければバスケットボール界は変わらないということ(が分かった)。原因をはっきり見つけることができて、まだ解決までは至っていませんけれども、正しい方向を今見つけつつある段階だと思います。

 この6月の常務理事会(エグゼクティブコミッティー)で決定がされるということは、皆様方のご協力によって、解決の糸口というか、方向性が明確になったからに他ならない。皆様のご協力に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

バイス すでに私のリビングルームと化しているこの部屋にまた来ることができてうれしく思っている。川淵チェアマンをはじめとして、タスクフォースメンバーの皆さんには、この短期間で大変ご尽力いただいた。1月の段階では短期間で求めている結果が果たして出るのかと大変不安視していたのだが、皆さんの強力な協力のもと、まだ今の段階では(制裁)解除はされていないが、いいところまで来ている。マラソンに例えると、われわれはゴール直前まで来ているのではないだろうか。残りの2〜3メートルというところまで私たちは現在来ている。

 ここ数カ月ずっとドイツの友人に「お前はなんでそんなに日本に行っているんだ? 日本に愛人でもいるのか?」と言われている(笑)。その度に説明しているのは、「私は日本バスケのためにひと肌脱いでいるんだ。20年の東京五輪のために動いている。そして日本バスケのために24年という五輪の先のことを見越して活動している」と。そう説明すると、「それは協会を再構築するということですごいじゃないか」と言われる。そういう意味では川淵さんに熱くお礼を申し上げたい。川淵さんが、境田(正樹)さん、大河(正明)さんという素晴らしい人材を協会に引き入れて、さらに力強くけん引してくれている。お礼を申し上げたい。これ以上話すと、私のボスであるパトリック・バウマン(FIBA事務総長)に怒られてしまうので、以上とさせていただきたい。

バウマン 私としては最初とほぼ最終回と言えるこの6回目に参加できて、大変光栄に思う。いくつかメッセージがある。

 まずはじめに、最初のタスクフォースと同じく、(メンバーの)皆さんがこうやって集まってくださっていることに感謝したい。バスケ界を代表して、日本のバスケを変えるために、忍耐強く、またお忙しい中お時間を割いていただいていることにお礼を申し上げたい。以下3つのことが私たちにとって喜ばしいことだ。

 まず素晴らしいチェアマンを見つけられたことが大変喜ばしい。バスケットボールの試合を見に行ったときに、スタンディングオベーションで迎えてもらえるような素晴らしいチェアマンだ。これはバスケットボールにおいて例を見ないことだ。これは観客の方もチェアマンに感謝しているという一つのアクションだと思う。2つ目は、旧評議委員会の勇気だ。彼らは辞任することによって新しい理事を選任することに対し、勇気を示してくれた。感謝したい。長年、個人の利益を求めたために前進しなかった部分があったかもしれない。この場をお借りして、退陣という大きな一歩を踏み出した皆様に感謝を申し上げたい。それによって川淵会長をはじめとする、新体制の道が開けた。3つ目がメディア、そして世間一般のバスケに対する期待が膨らんでいることだ。「バスケ界に何か新しいことが起きるぞ」という期待感をひしひしと感じている。皆さんがこれまで行ってきた活動、育成や女子チームなど見ていると、本当に大きく前進している。今回出席している皆さんにお礼を申し上げたい。

 まだ数カ月作業が残っているが、総括させていただくと、バスケットボールは日本における他のスポーツ協会の良い見本になるのではないだろうか。タスクフォースメンバーの皆さんはバスケのために集まっていただいているが、第一にスポーツマンである。スポーツに関心があると思うので、20年の東京五輪。そしてその後のために、活躍されていく人材だ。

 先ほどバイスがマラソンに例えたが、私はバスケに例えたい。われわれはバスケ会場に着いたばかりのバスに乗っているチーム。チーム全員はまだバスに乗っており、主将は先頭に乗っている。そろそろロッカールームに移動する時間だ。6月のエグゼクティブコミティー、そして8月のセントラルボード後、いよいよバスを降り、ロッカールームを通ってコートに出る。その後は、こういったペーパーを用意するのではなく、実際にボールを操り、ゴールを狙っていくのが大事になる。川淵チェアマンをはじめとした皆さんがチームであり、このような素晴らしいチームを編成できたことが何よりも喜ばしい。皆さんがコートに上がる前に、このロッカールームで、実りあるチームミーティングをお祈り申し上げたい。

(以降、会合は非公開)

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