不戦勝勝ち上がりで錦織「疲れはない」 勝負の「2週目」に向け心技体は万全

WOWOW

「ベスト16と言ってもまだ2試合」

3回戦を不戦勝で勝ち上がった錦織は記者会見を開き、自身の状態について語った 【写真:アフロ】

 全仏オープンは29日、大会6日目を迎えた。3回戦を不戦勝で勝ち上がる好運に恵まれた錦織圭(日清食品)は、この日の練習後、会場で記者会見を開いた。

 会見場には大勢の記者が集まったが、ほとんどが日本のメディア。英語での質問は1つもなく、日本語でのやり取りに終始した。だからといって、海外における錦織への評価が低いわけではない。優勝候補の一角に挙げる記者もおり、少なくとも第5シードの地位に疑問を抱いているテニス関係者はいない。テニス報道は勝負だけを追いかけるわけではなく、ストーリーを欲しがる。スキャンダルを歓迎するという点で、この日の会見への興味が、国の内外で違うということだろう。

 3回戦で戦うはずだったベンヤミン・ベッカー(ドイツ)欠場のニュースは、昨日の練習後に聞いたという。「不戦勝は初めてだと思うので驚きましたね。でも、喜ぶわけにもいかないので……」とは、いかにも錦織らしいリアクションだった。ただ、不戦勝はツアーレベルでは経験している。2008年10月のストックホルム大会でマリオ・アンチッチ(クロアチア)が欠場したのだが、例によって、昔の記録はよく覚えていないようだ。

「ベスト16と言ってもまだ2試合しかプレーしていないので、気持ちが抜けないかちょっと心配ですが、集中力を切らさないようにしっかり練習したい。試合勘が落ちるということはないので、その点ではあんまり心配していない」

体力面の不安が減り充実

 この日の会見では体力のことに何度か触れていたのが印象的だった。

「3日間のオフは、体力回復が100%できるという点で良かったですね。欧州に出る前にかなり追い込んできましたが、その疲れはもうありません」

 錦織はもともと、精神面での強さには定評があった。ここまでの2試合を通して余裕が感じられるのは、言葉通り体力面での不安がないからだろう。昨年も3月から5月にかけて好成績を残していたが、マイアミ・オープンでは準々決勝でロジャー・フェデラー(スイス)に勝ちながら、続くノバック・ジョコビッチ(セルビア)との準決勝を棄権、ムチュア・マドリード・オープンでは決勝まで勝ち進み、ラファエル・ナダル(スペイン)をクレーで撃破寸前まで追い込みながらも途中棄権……。

 しかし、今年はここまで、そうした故障がない。「スポーツは心技体」という常識がそのまま、いまの錦織の充実したプレーにつながっている。

「体力は短期間で作れるものではないですから、昨年、いろいろなトレーニングに取り組んできたし、そういう意味で体が強くなってきているということは感じます。同時に、大会中のケアにも気を使っていて、その両方がうまくいっているのでしょう」

 この日の第1試合でルーカス・ロソル(チェコ)とテイムラス・ガバシュビリ(ロシア)が対戦し、4回戦の対戦相手はガバシュビリに決まった。今年4月のバルセロナ・オープン・バンコ・サバデルでストレート勝ちしている相手に不安はなく、順当に行けば、その先にトマシュ・ベルディヒ(チェコ)、さらにはスタン・ワウリンカ(スイス)、フェデラーなどの実力者が待ち構えているはずだ。「グランドスラムは2週目から」と言われる。心技体は万全。楽しみだ。

(文:武田薫)

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