全仏オープンのセキュリティーが問題視 危険と紙一重のファンサービス

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不戦勝で4回戦へ 幸運に恵まれる錦織

3回戦を不戦勝という形で突破した錦織。ドロー運に続き、3日間オフのアドバンテージも受けることになった 【写真:アフロ】

 全仏オープンは28日、大会5日目を迎えた。日本のテニスファンにとって、この日最大の話題は、錦織圭(日清食品)の3回戦の対戦相手、ベンヤミン・ベッカー(ドイツ)の欠場発表だろう。

 ベッカーは前日のフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)戦で、第5セットで10−8という熱戦を繰り広げ、3時間13分のフルセットの末、勝利を飾った。しかし、試合後に右肩痛での欠場を発表。その結果、錦織は一昨年以来、2度目のベスト16進出が決定し、4回戦でルーカス・ロソル(チェコ)とテイムラス・ガバシュビリ(ロシア)の勝者と対戦する。

 優勝候補のノバック・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)とは離れた組み合わせというドロー運に次いで、不戦勝による3日間のオフは、2週間の長丁場の舞台では、大きなアドバンテージとなる。錦織のグランドスラムにおける不戦勝は初めてで、4回戦の相手となるロソルとの対戦成績は1勝、ガバシュビリとは3勝1敗(今年のバルセロナ・オープンではストレート勝ちしている)と、メジャー初制覇の夢が、にわかに現実味を帯びてきた。

試合後のフェデラーにファンが近づき写真求める

男子シングルス1回戦後、フェデラーに写真を求めるファンがコートに乱入。改めて大会のセキュリティーが問題視されている 【写真:ロイター/アフロ】

 さて話は変わって、今大会の問題に挙げられる1つがセキュリティーだ。大会初日のセンターコートで警備上の失態があった。

 試合後に引き揚げようとしたロジャー・フェデラー(スイス)に男性ファンが近寄って写真撮影を求め、ガードマンがそれを制止しなかったのだ――。

 観衆と選手の距離の近さはテニスの特徴の1つ。1993年、モニカ・セレスが熱狂的なシュテフィ・グラフのファンにコート上で刺された事件の後も、ガードマンを配備するようにこそなったが、金網などの安全策は取ってこなかった。

 ファンがコートサイドでサインを求める光景は好ましいが、トップ選手にとってそうした交歓は危険と紙一重で、フェデラーの場合、大会前日の練習でも同じ事態が発生していただけに問題が大きくなった。

対ファンとの関わり方にも変化

 この事件後から、錦織の練習は半ば非公開になっている。理由は明かされていないが、ジョコビッチ、フェデラー、ナダルにガードマンの配備はできても、現時点では「錦織人気」にまでは対応できないという背景があるのかもしれない。

 テニスは21世紀に入って世界的人気スポーツとなり、スター選手の練習でも人を呼ぶようになった。昨年の全米オープンではトップ選手の練習をスタンド付きコートに入れて広報するサービスまでして話題になり、この全仏でも基本的に練習予定は公表されている。

 錦織にしても練習自体は非公開ではないが告知はされず、練習コートは敷地外にも何カ所かあるため、今のところ、いつどこで練習するかは分からない――。こうした点からも、テニスは新しい時代に移りつつあるようだ。

 この日の大会進行はほぼ順当で、男子はジョコビッチ、アンディ・マレー(英国)、ナダルが危なげなく勝ち進んだほか、18歳で初出場のボルナ・コリッチ(クロアチア)が、第18シードのトミー・ロブレド(スペイン)をフルセットの末に勝利している。

 女子は第1シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)、第4シードのペトラ・クビトバ(チェコ)がセットを落としながらも3回戦にコマを進めたが、第5シードのキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)はジュリア・ゴージェス(ドイツ)にストレートで敗れた。

 また女子ダブルス1回戦に登場した青山修子(近藤乳業)、レナタ・ボラコバ(チェコ)組は惜敗した。

(文:武田薫)

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