錦織圭、勝利を決めた好運のコードボール 全仏OP2回戦はクレー巧者との対戦か

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得意のバックハンドで先手を奪う

全仏オープンで2年ぶりに1回戦を突破した錦織。序盤から得意のバックハンドで先手を奪った 【写真:アフロ】

 テニスの全仏オープンは24日、男子シングルスの1回戦が行われ、第5シードの錦織圭(日清食品)が33歳のベテラン、ポール=アンリ・マチュー(フランス)をストレートで破り、2年ぶりに初戦を突破した。

 グランドスラムの初戦には独特の難しさがある。しかもこの日のコート、スザンヌ・ランランは徹底した地元びいきで知られる舞台。繰り返される「ポール」コールが沸き上がっても錦織は平然としたもので、第3ゲームを早々にブレークしてリードを奪ってからは、自分のサービスキープに専念。5−3からの第9ゲーム、得意のバックハンドを利かせて再びブレークに成功して先手を奪った。

 第2セット、第2ゲームをいきなりブレークしたのが大きい。マチューは過去に全仏で2度、4回戦まで勝ち上がった経験を持つクレー巧者とはいえ、最後に4回戦に進出したのは7年前の話。2011年に膝の手術を受けてからはチャレンジャー大会での挑戦が増え、その間に錦織の成長を観察してきたという。

「圭は本当に素晴らしい選手だ。ボールが速く、特に彼のフォアハンドにはスペインの選手とは違う攻撃力がある。この2、3年の成長を見ながら、いずれこの大会で優勝する選手だと思っていた」

 マチューは攻撃のリズムに変化をつけ、第2セットに入ってからは何とか突破口を開こうとリスキーなショットを繰り出してきた。この日の錦織のマイナス面は、ファーストサーブの確率の低さ。それもグランドスラム初戦の難しさだろうが、第1セットが41%、第2セットも44%。ゲームカウント2−0とリードしてからは集中力が途切れたか、第3、第5ゲームはいずれもダブルフォルト絡みでブレークされて、2−3と形勢を引っくり返された。

 それでも続く第6ゲーム、錦織はフォアハンドのウイナーを決めるなど、ラブゲームでブレークバックしたのが大きかった。その後、互いにサービスキープで進んだ第12ゲーム、デュースに入ってつかんだ最初のセットポイントで、好運のコードボール(ネットに当たって落ちるボール)がネットの向こう側に転がり落ちてくれた。タイブレークに入れば、相手は一か八かの勝負を賭けてきただろう。貴重な1ポイントだった。

“省エネ勝利”に安ど

ファーストサーブに課題を残したものの、初戦でストレート勝ちし胸をなでおろした 【写真:アフロ】

 ここ1、2年間、マチューはツアーでの勝ち星がほとんどない。「勝てなければ自信はどんどん下がっていく」ともらすなど、上り調子の錦織との差は隠せず、第3セットは6−1で勝負がついた。錦織はストレート勝ちの“省エネ勝利”に胸をなでおろした。

「ファーストサーブが入らなかった半面、セカンドサーブがよく跳ねてくれた。リターンも、なかなか前だけでは攻められないので、後ろからの重いボールも混ぜ、考えながら戦っていきたい」

 2回戦の相手は、第2日に戦うマリンコ・マトセビッチ(オーストラリア)とトマス・ベルーチ(ブラジル)の勝者。クレーコートで4度の優勝経験のあるベルーチが有力だ。

 その他の日本選手では、添田豪(GODAIテニスカレッジ)が第22シードのフィリップ・コールシュライバー(ドイツ)にストレート負け。女子は土居美咲(ミキハウス)がペトラ・セトコスカ(チェコ)を倒して全仏初勝利を飾り、奈良くるみ(安藤証券)はワイルカード出場の18歳、オシアン・ドジン(フランス)に逆転勝ちを収めた。

 上位勢は、男子の第2シード、ロジャー・フェデラー、第8シードのスタン・ワウリンカ(ともにスイス)、地元フランスの人気者、ジョー・ウィルフリード・ツォンガらが順当にストレート勝ちを収め、女子も第3シードのシモーナ・ハレップ(ルーマニア)、第7シードのアナ・イバノビッチ(セルビア)、第9シードのエカテリーナ・マカロワ(ロシア)らが波乱なく勝ち上がっている。

(文:武田薫)

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