岩田の手綱に宿る二冠奪取の手応え 「勝てる位置にいるのは間違いない」

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桜花賞馬レッツゴードンキでオークスに挑む岩田、二冠奪取の手応えを語る 【netkeiba.com】

 圧巻の逃走劇から1カ月半。たった一枚しかない“二冠への切符”を手に、レッツゴードンキがオークスに挑む。はたして自在性に富む桜の女王は、東京2400mというタフな舞台でどんなパフォーマンスを見せるのか。そのカギを握っているのは、オークス連覇がかかる岩田康誠。逃走劇の舞台裏を振り返りつつ、今感じているパートナーの成長と強味、そして二冠奪取への手応えを語った。(取材・文:不破由妃子)

桜花賞は“アーッ!”から“よし!”

圧巻の逃亡劇、その舞台裏には何があった? 【netkeiba.com】

「(スタート直後)横を見たら、みんな引っ張りまくっていて。『えっ? 俺?』みたいな感じでしたね(笑)」

 1000m通過62秒5。まさにしてやったりの競馬だった。第75回桜花賞。後続はなす術もなく、直線は岩田&レッツゴードンキの独壇場となったわけだが、逃げ馬に33秒5の上がりを使われては、それもまたむべなるかな。阪神コースに外回りが新設されて以降は、以前のような“魔の桜花賞ペース”こそなくなったとはいえ、そこはマイルのGIである。前半1000m通過タイムが60秒を超えたことは一度もなく、ましてや62秒台とは……。

「当日の3Rでも逃げたんですよ(ノミネーション4着)。未勝利戦だったんですけど、それより遅かったですからね(3Rの前半1000m通過は61秒3)。逃げることになったときには“アーッ!”っていう感じでしたが、3コーナーではそれが“よし!”に変わりました。GIですからね、“こんなペースでいいんかな?”と思いつつ、自分が楽をしているのがわかっているぶん、これは差せないだろうと思ったし、直線では絶対に伸びるという確信もありましたからね」

 直線で後続を突き放すこと4馬身。大外から7番人気クルミナル、最内から8番人気コンテッサトゥーレが脚を伸ばしたが、すべては後の祭り。2番人気ココロノアイは10着、単勝1.6倍の大本命ルージュバックも見せ場すら作れず、9着に沈んだ。

結果的には指示と真逆のレースに

「逃げると決めたら、そこはもう腹をくくって」 【netkeiba.com】

 今回の勝利を「ビックリ」と振り返る岩田。が、思えば3コーナーからとはいえ、デビュー以来初めてとなる逃げを打ったのが、前走のチューリップ賞。最後の最後に甘くなり、ココロノアイとアンドリエッテにつかまったが、少なからず本番への布石という意味合いがあったのではないか。

「いえ、そうじゃないんです。チューリップ賞は外枠だったし、馬場も悪かったので、もともと逃げてもいいかなと思っていました。実際、ペースがガクンと落ちたので、流れに乗ってそのまま行かせたんです。でも、桜花賞では、(梅田)先生から『行くなよ』と(笑)。パドックで『1、2頭行かせて、その後ろから』という指示を受けたので、『はい、わかりました』と答えたんですけど、結果的に真逆のレースをしてしまって。レース後は苦笑いされてました(笑)」

 イメージ通りとはいかなかったが、GIとなればなおのこと、思った通りに事は運ばないもの。その点、今回の勝因は、イメージをとっさに描き換えた岩田の機転にあるのは間違いない。「今回は大本命馬がいましたからねぇ。1番人気では、よう逃げられへん(笑)」と笑うが、彼の手綱はいつだって迷いがないように見える。

「ゲートが開くまではいろいろと考えるんですが、いざレースが始まってしまうと、“もうええわ”と(笑)。一瞬の迷いが勝敗を分けることもありますし、なにしろレース中は自分の感覚を信じるしかありませんからね。今回のように逃げると決めたら、あとは自分のペースを守るしかない。そこはもう腹をくくって」

 そんな岩田のエスコートで、惜敗続きに圧勝というかたちでピリオドを打ったレッツゴードンキ。だが、岩田にとっても、この1勝は大きいはずだ。というのも、今年は現時点(5月16日)で全国リーディング4位(42勝)。順位もさることながら、勝ち星でトップの福永(59勝)に大きく離されているあたり、例年を思うと“らしくない”立ち位置といえる。

「まぁ、ここ数年はボチボチと……(苦笑)。上を見たらキリがありませんからね。いや、本当はね、もっと上を見たいんですけどね」

 今年から、ミルコ・デムーロとクリストフ・ルメールが、本格的にJRAに“参戦”。ますます激化するリーディング戦線において、今、岩田のなかにある思いとは──。

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