世界二冠・大和哲也が凱旋試合で判定負け「おごりがあった…神様がくれた試練…」

長谷川亮

減量失敗で減点1からのスタート

WBC世界ムエタイとLion Fight世界のスーパーライト級王座の二冠の大和哲也。後楽園での凱旋試合で元ルンピニー二冠のゴーンサックに判定負けを喫した 【長谷川亮】

「NJKF 2015 3rd」が10日、東京・後楽園ホールで開催された。

 メインには昨年11月に奪取したWBCムエタイ世界スーパーライト級王座に続き、3月にアメリカでLion Fight世界同級王座も獲得した2冠王・大和哲也が凱旋出場。ルンピニースタジアムでフェザーとスーパーフェザーの2階級制覇を成し遂げたゴーンサック・P.K.セーンチャイムエタイジムと対戦した。

 しかし64キロ契約で行われたこの1戦で、大和は前日計量においてまさかの500グラムオーバー。レッドカードの提示を受け、減点1からのスタートとなる。いつものようにフットワークを使いながらローを入れ、プレッシャーを掛けていく大和だが、ゴーンサックは自らの代名詞であるサウスポーからの左ミドル、左ストレート、前蹴りと入れ大和の接近を許さない。

自慢の豪腕で追い上げるも…

4Rには世界二冠となったヒジを振るうも、決定打を入れることはできず 【長谷川亮】

 3Rには大和が自慢の剛腕を振るい、ボディに左フックをめり込ませるも、ゴーンサックはその後を前蹴りやクリンチでしのぎ追撃をしのぐ。3Rまでの途中採点で28−30、28−30、29−30(いずれも減点分を含む)と劣勢を知った大和は4Rさらに圧力を強め自身に2つの世界王座をもたらしたヒジを振って迫るが、ゴーンサックは逆にカウンターのヒジを決める巧みさを見せ、首相撲も駆使して大和の攻めを分断する。

 5Rへ入ると完全に逃げ切りモードに入ったゴーンサックを追い掛ける大和だが、ダウンに繋がるような有効打は見舞うことができないまま試合終了。判定は49−48、49−48、49−47と3−0でゴーンサックが勝利し、凱旋試合がよもやの黒星に終わった大和は、計量ミスも含め「おごりがあった、全部自分のミスです。(懐に)入らせてくれなかった。神様がくれた試練だと思って強くならないといけない」と唇を噛んだ。

大和侑也が健太から王座奪取

戦前の予想を裏切って健太からTKO勝ちを収めた大和侑也 【長谷川亮】

 セミファイナルではWBCムエタイ日本統一ウェルター級タイトルマッチが行われ、王者・健太が大和侑也を相手に初防衛戦を行った。

 8連勝の後、超強豪ゲーオ・フェアテックスに肉薄と有利が予想された健太は3Rに首相撲からのヒザを入れ、続いてヒジを決めてダウンを奪う。さらにヒジとパンチでラッシュを掛け2度目のダウンを与え、誰もが健太の勝利を疑わない展開となったが、侑也は仕留めに来た健太にカウンターの右ヒジを見舞い、これでダウンを奪い返す。さらにヒジで攻めた侑也は健太の右目上にもカットを与える。

 これで形勢逆転となった侑也は4Rにも健太の左目上をカットし、スタンディングダウンを奪取。健太は傷を狙い打ちされないよう気を払いながらの応戦となり、逆に侑也は重い音を立ててボディフックを打ち込むなど優勢をキープし、遂に最終5R健太にドクターチェックが入ると試合はストップ。昨年は3戦1勝2敗と不調に見舞われた侑也だったが、これでウェルター級トップに返り咲く大きな1勝となった。

 また、第8試合ではNJKFスーパーフェザー級王者の悠矢が、現在6連勝とRISEで次代のエースを期待される19歳の野辺広大から1Rにダウンを奪って判定勝ち。打たれ強さが一番の武器と語る悠矢は、野辺が打ち合いに来ると最終的に必ず打ち勝ち、30−29、30−28、30−27の3−0で判定勝ちを収めた。

試合結果

NJKFスーパーフェザー級王者・悠矢がRISEの成長株・野辺広大から判定勝ち 【長谷川亮】

■「NJKF 2015 3rd」
5月10日(日)東京・後楽園ホール

<メインイベント 日タイ国際戦 64kg契約 3分5R>
○ゴーンサック・P.K.セーンチャイムエタイジム (タイ/元ルンピニー フェザー&スーパーフェザー級王者)
(判定3−0)
●大和哲也 (大和/WBCムエタイ世界スーパーライト級王者&Lion Fight世界スーパーライト級王者)
※49−48、49−48、49−47
※大和は計量500gオーバーで減点1

<セミファイナル WBCムエタイ日本統一ウェルター級タイトルマッチ 3分5R>
○大和侑也 (大和/NJKFウェルター級王者/挑戦者)
(5R1分55秒 TKO)
●健太 (E.S.G/WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者)
※大和が新王者となる

<第8試合 60kg契約 3分3R ヒジ無し>
○悠矢 (大和/NJKFスーパーフェザー級王者>
(判定3−0)
●野辺広大 (1−siam gym/RISEスーパーフェザー級4位)
※30−29、30−28、30−27

<第7試合 NJKFスーパーライト級王座決定戦 3分5R>
○宮島教晋 (誠至会/NJKFスーパーライト級1位)
(判定2−0)
●嶋田裕介 (Bombo Freely/NJKFスーパーライト級2位)
※49−48、49−49、50−48
※宮島が新王者となる

<第6試合 NJKFスーパーバンタム級王座決定戦 3分5R>
○波賀宙也 (立川KBA/NJKFスーパーバンタム級1位)
(判定3−0)
●金子貴幸 (GANGA/NJKFスーパーバンタム級2位)
※50−48、50−47、50−46
※波賀が新王者となる

<第5試合 70kg契約 3分3R>
△YETI達朗 (キング/NJKFスーパーウェルター級王者)
(判定ドロー)  
△白神武央 (拳之会/NJKFスーパーウェルター級3位)
※29−29、30−29(白神)、29−29

<第4試合 ライト級 3分3R>
○智也 (VERTEX/NJKFライト級4位)
(判定2−0)
●ミシマ (G−1/NJKFライト級7位)
※30−29、29−29、30−29

<第3試合 ウェルター級 3分3R>
○山崎遼太 (OGUNI/NJKFウェルター級5位)
(1R2分38秒 KO)
●Jun Da 雷音 (E.S.G/NJKFウェルター級4位)

<第2試合 53kg契約 3分3R>
○守屋将 (新興ムエタイ/NJKFバンタム級5位>
(判定3−0)
●山下Spankey博史 (誠至会/NJKFフライ級8位)
※30−25、30−25、30−24

<第1試合 フェザー級 3分3R ※ヒジなし>
○関根 “gaia” 朝之 (OGUNI)
(判定3−0)
●hayato(FOKAI JAPAN) 
※3者30−27
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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