笠松時代からの夢―“GIジョッキー”へ 柴山が託すアルビアーノの絶対的な速さ

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柴山が3戦無敗の牝馬アルビアーノとともにNHKマイルカップに挑む 【netkeiba.com】

 重賞初挑戦となったフラワーC(GIII)で、スピードの違いを見せつけ、終始先頭でレースを進めて後続を寄せ付けなかったアルビアーノ。これで3戦全勝。牝馬同士の桜花賞に向かわずに、牡馬相手となるNHKマイルC(GI・芝1600m)に駒を進めてきた。デビュー戦からすべての手綱を取っている柴山雄一騎手も、今年既に27勝を挙げ、全国リーディングでも9位と好調だ(2015年5月7日現在)。アルビアーノの強さの秘密、レースの見通しなどを、柴山騎手に語ってもらった。(取材・文・写真:佐々木祥恵)

本当に女の子なのかな

アルビアーノの馬体は柴山好みのムキムキした筋肉質だ 【netkeiba.com】

 デビューは年明けの1月15日、中山の芝1600mの新馬戦だった。

「確か1度新馬戦を除外されたのですが、その時のジョッキーは僕ではなかったんです。でも除外された時の騎手が空いていなくて、デビュー戦は僕に回ってきました」

 柴山はアルビアーノとコンビを組んだいきさつをこう語る。「運が良かった」と柴山は謙遜するが、ここのところの活躍と努力がその運を引き寄せたと言っても良いだろう。

「ムキムキした筋肉質の僕の好きなタイプの馬で、本当に女の子なのかなと思いました」、新馬戦のパドックを周回するアルビアーノを初めて目にした時の、柴山の感想だ。

「跨った時、雰囲気があって良いなと感じました。落ち着きがありましたし、返し馬では真面目過ぎるくらいに真面目に走ります。ただ馬体を見ただけなら、ダートの短いところかなと。返し馬の時の走りにも、まだ硬さもありましたし、ダートの方が良さそうな感じでした」

 パドック、返し馬と落ち着きはあったが、レース中はさすがに少し物見をしていた。

「でもその物見でちょうどハミが抜けて、リラックスして走れたと思います。最後は少し追うだけで、後ろを離してくれましたし強かったですね。初戦ということもあって、まだ突っ張って走るところもありましたけど、スピードはかなりありましたし、返し馬とは走りが変わりました」

 2番手から途中で先頭に立ち、直線であっさり後続を突き放しての勝利だった。

思い通りの競馬ができました

 2戦目は東京競馬場に舞台を替え、距離は1400mに短縮されたが、ここでもスピードの違いを見せつける。

「ゲートの出はさほど良くなかったのですが、二の脚が速くて初戦より2戦目の方が自らスッと出ていきました。行く馬がいないので、押し出される形でハナに立ちました。このレースで初めて腰にステッキを入れて、直線でしっかりと追ったのですが、尻尾を振ったりして嫌々をする牝馬らしいところも見せていました」

 柴山騎手の鞭が入るたびに盛んに尾を振りながらも、なお余裕の走りで2着以下を完封する強い内容だった。

 デビューから2戦、全く危なげないレースで連勝を重ね、迎えた3戦目は初めての重賞となるフラワーC。中山競馬場に再び舞台を移し、距離は前走から400m延長され1800mとなっていた。

 不安材料がないわけではなかったが、「女の子なのにカリカリしませんし、馬場に入場しても常歩ができるんです。風格のある馬ですね」と柴山の言葉通り、馬は相変わらずどっしりと落ち着いていた。

「前の週までは外差しに有利な馬場だったのですが、ちょうどレースの週から前残りが多くなってきてインが有利になっていました。なので馬の邪魔をせずに、スッと行けたら行く、他の馬が主張してくるようなら下げようと思ってレースに臨んだのですが、スタートも1番速くて何もせずにハナに行けました。1、2コーナーで少し力んだのですが、他の馬にも突つかれなかったですし、向こう正面に入ってからスッと自分のリズムで走ることができました」

 3コーナー手前あたりでは他の馬も来るだろうと、柴山は考えていた。

「後ろが来ないですし、とても楽でした。だから余計に4コーナー手前で自分から動いていきました」

 早めに動いても、十分脚は使えるという感触もあった。その目論見通り直線でもスピードは衰えず、トップでゴールに飛び込んだ時には、2着のアースライズに1馬身半差をつけていた。

「本当に思い通りの競馬ができました。メンバー的にも自信はありましたし、もう少し速いペースの競馬になっても大丈夫だと思います。
 気をつけたのは、2戦目でステッキを入れた時に尻尾を振っていたので、フラワーCでは強くは叩かずに、当たるか当たらないかくらいにしたことですね。嫌な気持ちにさせてしまうと、後々が大変ですから」

 また1戦1戦キャリアを重ねるごとに、デビュー戦で感じた体の硬さも取れ、柔らか味も出てきた。

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