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タフさを手に入れ今季に臨む市川華菜
マイルリレー参加で取り戻した笑顔

世界リレー2種目出場へ

織田記念で上位入賞し、世界リレーの代表を射止めた市川。今季はマイルリレーへの意識も高い
織田記念で上位入賞し、世界リレーの代表を射止めた市川。今季はマイルリレーへの意識も高い【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 今シーズンは4×400メートルリレーでナショナルチーム入りしていた市川華菜(ミズノ)。シーズン初戦となった4月18日からの織田記念国際陸上(広島)では、100メートルと200メートルに出場して、それぞれ4位と2位になり、5月2日からバハマで開催される世界リレー選手権の4×100、4×400メートルリレーとの2種目で代表入りを果たした。


「以前の良かった時は、スピードが上がった時はフワッといく感覚があったけど、今はまだ『ウ〜ン……』という感じで。100メートルでは、自分の中で『スピードが上がった』と思うところがひとつもないし、200メートルもずっと一定で、アクセントがつけられなくてモヤモヤ感しかなくて……。でもこの冬は、距離をしっかり踏んできたので、あとは暖かくなってからスピードをつけられればいいのかなと思います」


 織田記念へ向けた直前の1週間の練習も、世界リレーでのマイル出場を意識して、長い距離を走っていた。そのために「スピードが乗り切らなかったのでは」と市川は言う。今の彼女はそれくらい、マイルリレーのメンバーであることを意識しているのだ。

ロンドン五輪で味わった敗北感

ロンドン五輪の本番では疲労感も抜け切れず、惨敗。「敗北感のようなものがあった」と振り返る
ロンドン五輪の本番では疲労感も抜け切れず、惨敗。「敗北感のようなものがあった」と振り返る【写真:ロイター/アフロ】

 元々200メートルを中心に置き、中京大2年の2010年には、世界ジュニア200メートルで8位、秋の千葉国体では400メートルにも出場して、同年日本ランキング5位の54秒15をマークしてロングスプリントの資質も見せていた。


 ショートスプリントでナショナルチーム入りした11年には、織田記念で追い風参考ながら11秒28を出し、日本選手権では100、200メートルともに福島千里(北海道ハイテクAC)に次ぐ2位と、一躍、日本代表4継チームの主力になった。


 だがそこから一気にロンドン五輪まで駆け抜けたことで、疲労感は蓄積した。

「ロンドン五輪の4継は、敗北感のようなものもかなりありましたね。1週間前にトライアルがあったから、みんなそこがピークになってしまい、終わった瞬間に気持ちが抜けていたような部分もあって……。それにずっと4走で練習をしてきたのに本番は2走になって、ロンドン入りしてから急遽練習をしました。自分ではそんなに緊張しているとかストレスを感じているとは思っていなかったけど、終わった直後には、顔や背中など全身に湿疹(しっしん)が出てきたので、相当きていたんでしょうね。だから正直、五輪の後は4継からはしばらく離れたいという気持ちもありました」

マイルリレー合宿に自費参加

ひざを痛めてしまったことで、スピード練習に恐怖感を感じていたと話す市川。その時に、瀧谷短距離部長からマイルリレーのメンバー入りを打診されたのが分岐点となった
ひざを痛めてしまったことで、スピード練習に恐怖感を感じていたと話す市川。その時に、瀧谷短距離部長からマイルリレーのメンバー入りを打診されたのが分岐点となった【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 そんな途切れた気持ちの中で、ひざを痛めてしまった。さらにその故障をかばっているうちに腰椎(ようつい)分離も発症した。

「故障した後はスピードを上げるのが怖くなってしまい、ずっと300メートルとか長い距離の練習ばかりしていたんです。それを1年間やっていたら、持久系は上がってきたけど100メートルや200メートルのスピードが出せなくなったので、種目を変えなければいけないのかなと考えるようになって……。それで400メートルをやりたいなと思いました。そこでしっかり走れるようになれば、200メートルでもタイムが出せるようになるかなとも思って」


 元々100メートルに特化した練習はやっておらず、短い距離でも150メートルの練習がメーンだった。だが、ケガをしてからはその練習さえできなくなったため、基礎からやり続けようと考えて走り込んだ。


 そんな市川に日本陸上競技連盟の瀧谷賢司女子短距離部長が、彼女の資質も見込んで「マイルリレーをやってみないか」と声をかけた。

「それで昨年の3月、陸連合宿にマイルメンバーとして自費参加したんです。それまではビデオを見るのも4継だけでマイルのことはぜんぜん知らなかったけど、初めてマイルの話を聞く機会がありました。そこで千葉麻美さんや青木沙弥佳さん(ともに東邦銀行)と同室になったらすごく優しいので、何か『この人たちと走りたい』という気持ちになったんです(笑)」

折山淑美
1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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