堀口恭司、UFC王者への決意「倒して勝ってチャンピオンになる」

長谷川亮

日本時間4月26日、「UFC186」で絶対王者化しつつある王者デメトリアス・ジョンソンの持つフライ級王座に挑戦する堀口 【長谷川亮】

 日本時間26日(日)にカナダ・モントリオールで開催される「UFC186」には初の日本人王者を目指し、堀口恭司が参戦する。5歳から学んだ伝統空手のステップと打撃を武器に、修斗世界王者を経てUFCに参戦した堀口は4連勝でタイトルマッチに到達。無人の野を行くがごとく5度の防衛を果たし絶対王者化の進むUFCフライ級王者デメトリアス・ジョンソンをストップし、日本格闘技界初の快挙を成し遂げるべく挑む堀口に話を聞いた。

米国強豪ジムを驚かせたタックル

――いよいよデメトリウス・ジョンソンの持つUFCフライ級王座への挑戦が迫った堀口選手ですが、開催地のモントリオールとロスを回るUFCのプロモーションツアーに参加してきたそうですね。

 モントリオールとロスは少し時差があったのでちょっと疲れましたけど、盛り上がりは感じました。モントリオールではやっぱりすごく力を入れてましたし、ロスでもデカデカと会見をやって。向こうは会見でもワーッとなる瞬間があるし、こっちと全然違いますね。会見に出席していても、いる人がワーッと盛り上がったりするから面白いんです。

――プロモーションツアーと2月末(日本時間3月1日)に試合のあった山本KID徳郁選手のセコンドを務めて、その後は強豪ジムのAKAで練習もされてきたそうですね。アメリカの元トップレスラーで現在はベラトールで活躍するショーン・バンチ選手とも練習して、タックルが得意なジョンソン対策を積んできたと聞きました。

 バンチの方がタックルは速いし、レスリング技術だったら全然ジョンソンより上だと思います。ただジョンソンはタイミングがいいっていうか、MMAの中でタックルを混ぜるのが上手いんですよね。でもバンチは速かったですけど、自分が本気でタックルに入った時は「おぉ、速いな」みたいな感じでバンチも反応してなかったです。そこは空手の踏み込みと同じだからパンと入れるんですけど、ただその後が……(苦笑)。そこに打撃とかが混ざってくればそのタイミングでタックルも取れるんですけど、練習で“レスリングだけ”ってなると相手も分かってるから入られたらすぐ切るじゃないですか。でも、自分も入れるのは入れるので、使える時があればタックルも使います。

コーミエから学んだ壁際の攻防

――AKAではダニエル・コーミエ、ルーク・ロックホールドといったUFCトップクラスの選手と練習をともにしたそうですね。

 10〜12人ぐらいでずーっとやっていました。軽量級は3、4人ぐらいでしたけど、ローカル団体のチャンピオンだったり、ベラトールに出てるような結構強い選手がいて。やっぱり強くなるための環境が整っているし、すごく刺激はもらいました。

――では、試合前の大切な時期でしたが収穫はあったと。

 コーミエに壁際のレスリングを教わってメチャクチャ良かったです。コーミエは大きいですけど力じゃないんです。テクニックっていうか足の運びだけ、全身を使って、ほとんど足で相手を持ち上げるんだよっていう教え方でした。手で持ち上げようとしても全然ダメだって。

――試合ではよく豪快に相手をリフトアップする場面も見られるコーミエなので、力任せなのかなと思いましたがそうではないと。

 あれは完璧に技術です。だからすごく良かったです。こっちじゃなかなかそういう壁際の攻防を教えてくれる人がいなくて、どうしたらいいんだろうと思っていたところをコーミエが教えてくれたので。

アメリカでは釣果なし…

――アメリカ滞在中は以前スポーツナビでも取材をさせてもらった趣味の釣りを楽しむ機会もあったそうですね。

 やったんですけどやっぱりポイントが分からないから全然釣れなくて(苦笑)。せっかくアメリカで釣りをしたのに全く釣れずに釣果なしで、ただの散歩になりました(苦笑)。場所が分かってれば釣れると思うんですけど。

――アメリカでの釣りにはリベンジが必要と(笑)。では、対戦相手のジョンソンに話を移します。最初はKID選手のセコンドとして対峙したのが初遭遇だったと思います(※KIDとジョンソンは11年2月にUFCで対戦し、ジョンソンが3−0で判定勝ちしている)。

 だからまさか対戦するとは思わないですよね(笑)。でも“人間って頑張ればここまで来られるんだな”っていうのが改めて分かったというか。4年前のその時にもAKAへ行ってアマチュアで強い選手がいたんですけど、今回行ってみたらその選手がローカル団体でチャンピオンになっていたんです。だからそういうのを見ても、“やっぱり頑張ってれば、みんななれるもんだな”っていうのを改めて思いました。

「倒して勝ってチャンピオンになる」

――当時堀口選手はデビューから1年と経っておらず修斗の新人王になったばかりでしたが、言われるように頑張って、この位置まで登りつめたと。対戦相手として見るジョンソンの印象をお願いします。

 何でもできますよね。でも、何でもできるって言っても、ジョンソンはハッキリ言ったら寝技が得意な選手じゃないですか。だから打撃じゃないので、相当自分を寝かしにくると思います。それで絶対ポイントで勝つか、極めて勝とうと思っているなずなので、ただそこはもう分かっているので。

――ジョンソンが寝かせるか、堀口選手が立ち続けるか、そういう戦いになりそうです。

 そうですね。先生(※堀口に中学時代から空手を指導し、今回の試合でもセコンドにつく二瓶弘宇先生)もジョンソンの試合を相当見てくれています。先生は空手をやっていなかったのに空手の指導ができて、その前は柔道の教室を開いていたんですけど、どうも柔道もそんなにやっていなかったみたいなんです(笑)。それにボクシングも素人で出て県大会か何かで優勝しちゃったらしくて、もう何をやっても強いし天才です。先生に会わなかったら今の自分はないですし、勝ってチャンピオンになって恩返しをしないといけないと思ってます。それが一番です。今回は倒しに行くしか自分に勝ち目はないと思うので、倒して勝ってチャンピオンになります。

ジョンソンvs.堀口のフライ級タイトルマッチ•プロモーション映像


(動画提供:Copyright by Zuffa LLC)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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