自分しか出せない強さが生み出す価値=パンクラス酒井社長×鈴木みのる第2弾

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パンクラスを世界で配信していく

酒井社長は今後の課題として、パンクラスの試合を世界で配信していくために、いい興行を打っていかに世界に映像権を買ってもらうかを挙げた 【田栗かおる】

――酒井さんは今の意見を聞いてどうですか?

酒井 まったく一緒ですね。海外を見ていれば分かるんですけど、みんな個人事業主なんですよ。個人事業主だから自分で商売をやって売り上げを上げないといけないわけですよ。そのためにPRもやるし、自分を磨いたりもする。いろいろやるわけですよ。日本にいたっては一般企業の社長さんクラスでも人前で喋るためにアナウンサー学校に通ったして、説得力のあることを言えるようにするんですよね。やっぱりそういうのって絶対必要なんですよ。お客さんからお金を取っている以上は、パンクラスとしてもいろいろやるけど、選手としても磨かないと。やはりオーラがなかったらちょっときついですよね。

みのる でも、ここ最近少しずつ変わってきましたね、パンクラスのリング上が。

――それは見てて思いますか?

みのる 思いますね。少しずつですよ。一時期、パンクラスのリングが町の道場で練習してリングに上がって戦って勝つことが、自分のお客さんに対してだけのアピールだったんですよ。今もまだそれはちょっと残っているんですけど、勝ったら親兄弟や友達の名前を言ったり……。僕にとって親兄弟、友達はお客じゃないので。オレのことをまったく見ず知らずの人が鈴木の試合を見に行こうとして、買ったもの(チケット)だけが僕の価値だと思っているので。

――そうしないと発展性がないのも事実ですよ。興行を考えると、親兄弟、友達を呼ぶと客席が埋まるじゃないですか?

みのる ようはチケットさえ売れれば、それはどんなお客であっても同じお客なんです。チケットを買ってくれるのはもちろん大事なことです。興行会社としたらぶっちゃけ誰にチケットを売れてもいいんですよ。1000席なら1000席、500席なら500席売れさえすれば、別に誰が買おうが構わないんです。1人の人が全席買ったって構わないです。全部友達が買い占めても構わないです。だって入ってくるお金は一緒ですから。興行会社はそのお金を得るためにやるので。でも選手が同じ考えだったら絶対に良くないです。自分自身が商品なので。

――自分にどうやって付加価値をつけるか、自分をどうやって売り込むかということですね。

みのる 商店街の商店から企業に変わらなければ人気は出ないですね。商店街だったら2軒隣のおっちゃんと3軒隣のおばちゃんが1日1個野菜を買ってくれる、それだけでうちは生活できるからいいやとなっちゃうじゃないですか。それで発展することはないです。それがスーパーになり、大きな農場を抱えるようなブランドになれば、入ってくるお金も変わるし、野菜自体の価値も上がります。

――その辺にパンクラスの未来が託されている気がしますが?

酒井 そうですね。やはり地上波もそうなんですけど、地上波復活は別に僕にとって特別なものではないんです。穴を埋めただけで。どちらかというと、パンクラスの試合を世界で配信していく。これが多分僕はそのアンサーかなと思います。それは商店街じゃなくて、一般企業として。今のMMAのビジネスは映像コンテンツですね。それをいかに世界に買ってもらうか。そのためにはいい興行をしなければいけないです。そこを僕はやり始めています。

鈴木さんはやっぱり生みの親

パンクラス生みの親であるみのる。「パンクラスから離れて10年以上経ちますけど、パンクラスが発展して大きくなったらうれしいですね」と素直な心情を吐露した 【田栗かおる】

――最後にお互いにメッセージを!

酒井 何か照れちゃうな(笑)。今日インタビューをやらせていただいて、やっぱり生みの親なんだなということをあらためて感じています。なので私としては今日鈴木さんから教わったことを頭に入れながら、心に染み付けながらまい進してまいります。

みのる 今日もう1人の生みの親が来ますので。まだ僕と全く違うので(笑)。だからあの時代が作れたと思っているんですけど、今となっちゃ。まったく違う人格で、考え方も全然違うので、違うもの同士がやるから新しいものが生まれたと思うので、ぜひ彼の話も聞いてみてください(笑)。

 あとは何年か前に後輩たちには、いや後輩じゃないですね、弟たちには言ったんですけど、酒井さんにすべて任せます。どうなろうと任せますので、好きにやってください。ただ、離れて10年以上経ちますけど、パンクラスが発展して大きくなったらうれしいですね。

 僕はまだまだ現役で頑張るので。今日も今から日本中揺らしますよ。今、新日本プロレスが世界規模でも業績が2位になったらしいんですけど、あんなものつぶしてやりますよ。プロレス界の歴史も何もかも塗り替えられるようにまだまだ頑張ります!!

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