女子は久光が3連覇、男子はJTが初Vか Vリーグファイナルの注目ポイント

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リベンジを誓い、初優勝に燃えるJT

レギュラーラウンド、ファイナル6を1位で終えたJT。悲願の初優勝に向け、モチベーションは高い 【坂本清】

 男子で悲願の初優勝を目指すのがJTだ。ヴェセリン・ヴコヴィッチ監督が就任した昨シーズンは10年振りの決勝進出を果たしたが、パナソニックにフルセットの末に屈し、試合後は人目をはばからず涙を流す選手の姿があった。リベンジを誓い、今シーズンは個々のスキルアップとチーム力の底上げを目指すした。

 だが、ヴコヴィッチ監督や全日本に選出された選手、新外国人でブラジル代表のレアンドロ・ヴィソットを欠いて臨んだ長崎国体は、V・プレミアリーグのチームどころか、県の選抜チームにも敗れ、7位に終わった。

 日本一を目指すチームとしてあるまじき結果を受け、メンバーが集結するとようやくチームが奮起。サーブで攻め、ブロックでワンタッチを取ってレシーブでつなぐ。最後はヴィソット、越川優で点を取る。そんな“ブレイク”型をチームの勝ちパターンとして磨きあげ、レギュラーラウンド、ファイナル6を1位で終えた。

チームとして戦うサントリー

チームとして戦う形を作り上げたサントリー。今季のJTとの通算成績は2勝2敗のタイ 【坂本清】

 そのJTに対するのが、昨年は6位のサントリー。レギュラーラウンド開幕当初は、新外国人のエバンドロ・グエッラとの攻撃がなかなか噛み合わず、苦戦が続いた。しかし、今季から新監督に就任したジルソン・ベルナルド監督が、現役時代に共にプレーした経験を持つ山村宏太を中心に、エバンドロの攻撃力、決定力を生かすためにそれぞれが果たすべき役割を徹底した。

 山村だけでなく、ミドルブロッカーの鈴木寛史、セッターの阿部裕太など経験豊富なベテランがチームを束ね、エバンドロへとつなげるチームとしての戦い方や武器を生かすために、スタッフ陣も交え、チームとして戦う形を作り上げた結果、レギュラーラウンドの中盤には連勝街道を突っ走り、一時はJTを抑え、首位に立つなど好調を維持した(レギュラーラウンドの最終順位は2位)。

鍵を握る両セッターの組み立て

今シーズンからレギュラーセッターに定着した深津。どのように攻撃を組み立てるのか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 レギュラーラウンドはサントリーが2勝1敗と勝ち越したが、ファイナル6の直接対決はJTが3−0で完勝。今季の通算成績は2勝2敗のタイで優勝決定戦を迎える。JTは越川、ヴィソット、サントリーはエバンドロが攻撃の軸となり、チームの攻撃の大半を担う選手をそれぞれ擁するが、バレーボールは誰が何点取ったかが勝敗を決するゲームではなく、25点をいかに取るかのゲームだ。

 注目は、攻撃を組み立てる両チームのセッターだ。JTは今シーズン深津旭弘がレギュラーセッターに定着。「真ん中(ミドルからのクイック)を使えなければ自分のトスワークじゃない」と公言するように、クイックだけでなく、バックアタックも含めたセンターからの攻撃をいかに効果的に織り交ぜられるか。ヴィソット、越川を警戒される中で、より効果的な得点ができるかがカギになりそうだ。

 対する阿部は、得点力の高いオポジット(スーパーエース)にボールが集まる傾向が強いように見えるが、相手ブロッカーからすれば「トスを上げる直前まで分かりにくい」セッターであるため、時折見せる相手の裏をかいた攻撃が効果を発する。当然ながらエバンドロを警戒するであろうJTを、どう翻弄するのか。ここまでの布石がどう生かされるのか。

 阿部はファイナルラウンドの終盤に負傷し、回復具合も心配されるが、ジルソン監督も全幅の信頼を寄せるベテランが勝負のかかった場面でどんな攻撃を見せるのか。注目したい。

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