スピードを出しても壊れない体づくり 青山剛のランニングナビ

青山剛

壊れない体づくりは「3S」から

【撮影:真崎貴夫】

 スピードを出したり、長い距離が走れるようになる前に、先にやっておかなければならないことがあります。それはストレッチや体幹スイッチ、そしてセルフケアなどで「壊れない体づくり」をする事です。

 市民ランナーは、とにかくこれらを怠りがち。以前の連載で紹介したストレッチ、体幹スイッチなどを走る前に行い、走った後にはセルフケアを行う前提でスピード練習を導入してください。
 私が推奨している、走りが正しく上手(=速く)になる順番の「3S」。
・ストレッチ→柔軟性を増し 
・スイッチ→体幹が使えるようにして
・ストレングス=ランニング→体幹で走る!

を日ごろから徹底していれば、ケガの大半は防げます。

 私がパーソナル指導をしているランナーの中にも、この4月のスピード練習導入期でケガをする方が毎年います。その特徴は、体が硬く、体幹が上手に使えていない(=3Sをしっかりできてない)方ばかりです。従って、4月はスピード練習をいきなり頑張るのではなく、まずはこの3Sをしっかり見直してから、徐々にスピード練習の準備に入ります。

 この3Sの手順がしっかりできるようになったら、下記のプログラムを実践していきましょう。実際ほとんどの方はお忙しい社会人ばかりだと思いますので、平日1回、週末2回の「週3回練習」をベースに組んでいきます。

共通練習メニュー

【撮影:真崎貴夫】

【青山剛】

<平日>
30〜60分ジョギング 
その後、数分休んでウィンドスプリント100m×4〜8本
(その間はウォーキング100mくらい)

<週末>
土曜 60分ジョギング その後同様にウィンドスプリント
日曜 土曜と同じ内容(余裕がある場合は、クロスカントリー走などもあり)

 4月は走力に関係なく、まずはジョギングの後に、この「ウィンドスプリント」を導入します。ウィンドスプリントとは、通称「流し」と呼ばれ、イメージは「力まない軽いダッシュ」と思って下さい。

 力まないために、スキップを3回程いれて、そのリラックスした感じで「全力疾走の80%のダッシュ」を行います。流しと流しの間はウォーキングで呼吸を整えてください。一番のポイントは、力まないということです。

 流しで得られるトレーニング効果は…
・スピードを出せるダイナミックなフォームの構築
・本格的なスピード練習で行う「心肺機能向上」の下準備
になります。
 来月から本格的に行うスピード練習(インターバル走など)へスムーズに移行できるようにしましょう。走力があるランナー(例えばすでにマラソン完走タイム4時間以内)は、クロスカントリー走といって、ゴルフ場のような不整地や丘陵地帯を走る練習を入れていくのも良いでしょう。柔軟なフォームと体ができ上がりますので、スピード練習導入にはもってこいですから、時間があれば行ってみてください。

 4月は無理なくスピードを出せる体、そして出しても壊れない体を作りましょう!

(写真:Getty Images、青山剛、真崎貴夫)

※3Sメソッドが学べる「青山剛ランニングセミナー」を毎月開催。詳しくはTeamAOYAMAホームページまで!

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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