川淵「ホームアリーナは必ず設置する」 NBL/NBDL意見交換会<プロ形態>

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川淵チェアマンがNBL/NBDLのプロ形態で活動するチームと意見交換会を行った 【スポーツナビ】

 日本バスケットボールリーグ(NBL)は26日、NBL/NBDLチーム会議を実施し、日本バスケットボール協会(JBA)の改革を行う「JAPAN 2024 TASKFORCE(タスクフォース)」の川淵三郎チェアマンと新リーグ設立に向けて意見交換を行った。

 交換会の冒頭では、各チーム代表者より川淵チェアマンへの自己紹介を兼ねた現状報告の時間が設けられた。交換会に出席した川淵チェアマンは、“地方創生”における体育館・アリーナの新設や改築の重要性を力説。各チーム代表者へ、あらためて5千人規模のホームアリーナの準備をお願いした。

 各代表者から質問が集まったのは「ホームタウンの定義」と「8割のホームゲームをホームアリーナで実施」という点。各チームがそれぞれの持論を展開する中、川淵チェアマンが「広いエリアで(試合を)やればチームの発展に有利だと思うのは愚かな考え方」と一刀両断する場面も見られた。

 また、NBDLのプロ形態チームに対しては「本当にバスケットを愛していて、日本代表を強くしたくて、地域に……という気持ちが伝わってきた」と笑顔を見せるシーンも。
 本稿では、リーグの意向により「NBLプロ形態チーム」「NBDLプロ形態チーム」「NBL企業形態チーム」の3回に分けて行われた交換会の“プロ形態チーム”の意見交換会を質疑応答も含めて余すことなく紹介させていただく。

NBLチームの交換会:各代表者のあいさつ

リンク栃木はNBLで観客動員数1位を誇る。体育館設立の話も出ており、新リーグ参加に向けた準備が進んでいる。写真は田臥勇太 【写真:アフロスポーツ】

丸尾充NBL理事長 昨日(のタスクフォース説明会)に引き続きありがとうございます。昨日の場で参加要件をご説明いただきました。私が聞いた限り、まだいっぱい質問があるのではないかと思います。昨日はNBLのゲームが12チームありましたので、正直参加していないチームと、参加したけれど途中で帰ったチームもいます。昨日の議事録等を読んでいただいていることもありますけれど、もう一度、あらためて意見交換をさせていただければありがたいということで川淵チェアマンには来ていただきました。まずは、北海道の方から自己紹介をお願いします。

レバンガ北海道 ご存知の方もいるかと思いますが、北海道初のプロチーム“レラカムイ”というチームがありました。そのチームが破たんした後に、折茂(武彦選手兼代表)がなんとか北海道にプロバスケチームを残したいということでやってきたチームです。いろいろな局面を経ておりますが、北海道の自治体、地域バスケットボール協会の支援をいただいて何とかやってきている状況です。昨日も発言させていただきましたが、北海道は非常に大きなテリトリーを持っております。ただ、全道に渡ってバスケットボールが盛んな地域です。バスケは冬のスポーツですし、全道の力をうまく使って、日本全体の振興に役立てたいし、北海道の発展にも役立てたいというのがわれわれの考えです。ホームアリーナについては、1カ所ではなく、複数開催を認めていただきたいと強く思っています。

川淵 北海道に10くらいクラブを作ればいいんだよ。

北海道 将来的にその余地はあると思います。ただ、今すぐに10というのは不可能だと思うので、われわれがマーケットを作り、その後チームができるのは構わないと思っています。とりあえずは、われわれでやらせていただければと思います。

川淵 やらせてあげないなんて言ってないじゃない(笑)。

(一同笑)

つくばロボッツ 去年の年末、前の会社で運営が行き詰まり、ご迷惑をお掛けしました。リーグの皆さんの力をお借りして、新しい会社で継続を図っている状態です。私も途中からなので戦力的なことは手を付けられない中、厳しい状況が続いております。なんとか、地元の信頼、信用を回復しつつあり、観客動員も改善しつつあります。その中で、バスケットボールの可能性は無限であるし、市場を拡大することができる素晴らしい商品であると考えています。茨城県はメディアの環境など厳しい状況もありますが、つくば市には体育館の構想があり、2019年の国体を控え、20年の東京五輪も控える中で十分な可能性があると思っています。そういったどん底、47チームの中で最下位に近いランキングから、本気で1部リーグ入りを目指すところまでやっていきたい。支援者、ファンの方々の賛同を得て、参入の準備を進め臨んでまいりたいと思います。

リンク栃木ブレックス 今回の改革に携わるにあたり、こういったところにいられることをうれしく思っております。リンク栃木ブレックスは設立8年目を迎えておりまして、3年目に優勝を経験しました。その後、なかなか成績も低迷している状況でしたが、昨年はプレーオフにも4年ぶりに出場できて、今シーズンもプレーオフが決まっています。NBLの中では観客動員が1位です。bjリーグを合わせるとまだまだ及ばないところもあります。現在は行政、ファン、スポンサーと一緒になってチームを盛り上げ、栃木県を盛り上げてバスケットボールを盛り上げている状態です。環境は整いつつあると思いますので、新リーグをきっかけに観客動員をもっと増やして、体育館の設立も進んでおりますので、そこをいっぱいにできるよう、チームの人気、バスケットボールの人気というものに貢献できるようなチームであり続けたいと思っています。

川淵 田臥(勇太)選手は元気なの? いくつになった?

リンク栃木 元気です。今年35歳になります。

川淵 まだまだ大丈夫だね。

リンク栃木 体のメンテナンスも細かくやっておりますので、まだまだできると思いますし、今もパフォーマンスは非常に良い状況でやっていますので注目していただきたいと思います。

川淵 ぜひ見たいと思います。

千葉ジェッツ 千葉ジェッツはまだ4年足らずの球団で、2年前にbjリーグから(NBLに)やってきた唯一の変わった球団です。まだまだ球団も経営も未熟ですけれど、バスケットでは難しいと言われている首都圏で、何とか成功を収めたいということで気合を入れております。ようやくプレーオフ進出は決定しましたけれど、まだ何も手にしておりませんので、成功を収めるべくまい進していきたいと思います。

和歌山トライアンズ 年末からはじまり、昨シーズンの終わりからご迷惑をお掛けしております(編注:経営悪化により一時チーム解散寸前となったが、1月に新法人を設立しチームが存続した)。和歌山トライアンズです。和歌山自体は……

川淵 全部知っているよ。

和歌山 すべてにおいてバスケットボールに迷惑というか、不信感を広めてしまったのは和歌山じゃないかと思います。今回に関しましてもいろいろな問題があり、最終的には法人を立ち上げて、市民とファンのおかげで復活できるかなというところです。

川淵 和歌山県は応援してくれているの?

和歌山 はい。県自体としては補助ができないんですけれど、知事に動いていただいて、かなり補助していただきました。和歌山市からも補助をいただきました。何とか新しいリーグに向けて動いていきたいです。素人集団なのでどうなるか分からないのですが、ここでいろいろなお話を聞いて頑張っていきたいと思います。

川淵 一応県も市もやっていこうという意思表示はしてもらっているんですよね?

和歌山 はい。ぜひとも(新リーグに参加)しろということでやっています。

兵庫ストークス 兵庫ストークスはこの中で唯一かと思うのですが、当時JBL2という2部リーグを2年間経験しました。親会社を持たない地元に根ざしたチームを作るということで一つひとつ階段を上って、2年前に(NBLに)昇格しました。ちょうどリンク栃木さんも同じ形で1年目からやられていたけれど、うちは2年間2部リーグをやってからNBLに参加させてもらいました。このギャップが厳しくて、昨年は勝てず、資本力も厳しかったのが現状です。

 ちょうど今年のタイミングで、兵庫という大きなエリアをどうやっていくのか悩んでいる中で、神戸市という政令指定都市があるのですが、こういう(新リーグ設立の)話が出てきまして、各市町村といろいろな話ができる良いタイミングになりました。今後どうしていくのかを早急に詰めながら、どこにフランチャイズを置いて活動していくのかというのを懸命にやっている状況です。結論が出ましたら、報告をさせていただくという状況です。

川淵 “兵庫”という名前が変わる可能性があるという意味ですね?

兵庫 変える可能性は大だと思っています。

川淵 兵庫は大きいからね。どこのチームだ? という話になるよね。

兵庫 そこを今、前向きに検討しています。

広島ドラゴンフライズ 先月2月25日に社長に就任しました。私はバスケットをまったくやっていません。3on3の大会を立ち上げて、昨年で21回目になりました。今では500から600というチームが出場してくれます。選手だけで約2千人。観客を含めると6千〜7千名が集まってくれる素晴らしい大会です。そういうのを見ておりますと、ドラゴンフライの試合で観客が1千数百人というのは寂しいなと感じます。

 タスクフォースという特別チームができて、その対策を急ぐということで社長交代となりました。私はこれまでの経歴の中で、広島経済同友会にも幹部として長く仕事をしていたので、商工会議所の皆さんとしっかりと話をして、売り上げを増やすことが私の使命だと思っています。最大の課題である売り上げを増やす、観客を増やすことを主眼に置きながら、これから取り組んでいきたいと思っております。

熊本ヴォルターズ 熊本ヴォルターズは昨シーズンチームを立ち上げ、選手やスポンサーも何もないところで、熊本の子どもたちに夢と感動を与えたい、熊本の活性化ということを目標に立ち上げました。規模も小さく、厳しい戦績でもあるけれど、川淵さんのおっしゃられている体育館だけはそこそこの体育館があると思っています。そこで勝負していきたいというのが正直なところです(笑)。熊本県の体育館で、優先使用が認められていて、8割近く安く借りられるという支援は取り付けています。私たちは1部を目指してやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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