所英男、全米デビュー戦へ原点回帰「思いっきり所英男をやってきます」

長谷川亮

3.27ベラトールでの全米デビュー戦へ意気込みを語った所英男 【長谷川亮】

 日本時間28日(現地時間27日)に米国オクラホマ州で行われる「Bellator135」で所英男はベラトール初参戦を果たし、L.C.デイビスと対戦する。ベラトールデビューとなる一戦は大会セミファイナルという好位置に組まれた。HERO'Sでアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラを相手に金星を上げスターとなって今年で10年、新たな舞台で所は再びスターの座をつかむことができるのか。

新チームOTOKGIでさらなる成長

宇野、金原らそうそうたる国内軽量級ファイターが参加する「チームOTOKGI」での練習で成長をとげた所 【t.SAKUMA】

――ベラトールでの第1戦が近づいてきましたが、今日もだいぶ激しく練習されてきたようですね(※インタビューは3月9日収録)。

 金原(正徳)さんにボッコボコにされてかなり効かされちゃいました(苦笑)。でも、試合直前になったら技術練とかも大事ですけど、やっぱりそういった頑張る練習が大事だし、そういう練習を入れておかないとダメだと思います。これは金原さんにも言われたんですけど、疲れてから出る技が本当の技術だって。フレッシュな状態ならみんなできるし、今日も結局疲れてから出るのは同じ技術だったので、だから今度はそういう技で最初から勝負しようと思っています。

――昨年夏にベラトールとの契約が報じられ、そこから今回の試合までしばらく時間がありました。第1戦まで時間が掛かった理由というのは?

 すぐに試合が決まりそうだったんですけど、足のケガもあったので今回まで延びたんです。でも、じっくり練習できて、勉強する時間もできたのでかえってよかったです。体は今の方が状態がいいし、チームOTOKGIとか新しく行き始めたところもあって、そこでいっぱい教えて頂きました。

――国内軽量級のそうそうたるメンバーが集まり練習を積んでいるチームOTOKOGIですね。

 去年の秋から行き始めて、きっかけはやっぱり宇野(薫)さんの活躍です。宇野さんがすごく活躍されていて、何で僕より2つ上で、若くて強いアメリカ人にガンガン勝てちゃうんだろうって思った時、植松(直哉)さんがいつも付きっ切りでいて、どういうことをやっているんだろうって思ったんです。宇野さんだけでなく石渡(伸太郎)さんだったりみんな活躍していて、それでスゴいなぁと思って見ていて、僕も行きたいと思って連絡をしました。メチャクチャ勉強になってます。

――具体的にどういう部分が勉強になったのでしょうか。

 植松さんには新しいことを教えているんじゃなく、体のちょっとした使い方だけで変わるんだっていうことを言われています。それこそ、胸を張るだけの動作で全然違うっていうのはスゴいなと思いました。姿勢だとかでタックルや抑え込みも全然変わるんです。今まではそういうところを適当にやってきちゃっていたので(苦笑)、見直すところはたくさんあるし、まだまだ知りたいです。

「勝て」じゃなく「面白い試合をしてくれ」

「昔のイメージで行こうと思ってます」と原点回帰での勝利に意欲 【長谷川亮】

――アマチュアからだとキャリア15年になろうかという所選手ですが、いまも探求心旺盛なようですね。

 だからこそ楽しくやれてるんだろうって思います。毎回金原さんにぶっ飛ばされるだけだったら、もうやりたくなくなりますから(苦笑)。ほんと今でも知ることがたくさんあるし、植松さんに習い始めてそれが余計に出てきた感じです。他の方に習うことも楽しいですけど、植松さんはまた違う、新しい感じなので余計に面白いんですよね。スパーする仲間も、石渡さんだったり上田(将勝)さんだったり宇野さんだったり廣田(瑞人)さんだったり、神酒(龍一)さんもそうですし。交流が面白いし、今は楽しいです。

――キャリアが長くなってきたら、練習と気持ちのマンネリを防ぐために新しい環境に身を置くことは有効なのかもしれないですね。そういった中でベラトールへの参戦がもう目前となりました。

 こんなにキャリアを積んで勝ったり負けたりしていて、こういうチャンスはもうないと思うので、ほんとスコット・コーカー社長に感謝です。直接会った時には「練習をしっかりやって準備をしてくれ。つまらない試合をするんじゃなく、面白い試合をしてくれ」っていうことを言われました(※コーカー社長は過去にK−1のアメリカ大会や総合格闘技大会「ストライクフォース」を仕切っていた人物)。社長自身が「勝て」っていうより「面白い試合をしてくれ」っていう意見だったので、僕はもう思いっきりやるしかないし、僕の中ではHERO'Sの続きというか、HERO'Sのアメリカバージョンという感覚です。そうじゃないと、勝ったり負けたりの僕に声は掛からないですよね。社長は会った時に僕の試合でホイス・グレイシー戦が印象的だみたいに言っていました。だからほんとやってよかったなと思って、あの試合を組んでくれたことにも感謝しています。

――対戦相手のL.C.デイビスについてはどうでしょう。過去に戦極で小見川道大選手に敗れてこそいますが、28戦22勝6敗、最近7戦で6勝1敗という強敵です。

 もってこいの相手だと思います。打撃もレスリングも寝技も上手で、“きっちりきっちり戦うアメリカの選手”っていうイメージです。でも、その選手に勝てば、そこからガって行けると思うので、この1戦目に全部懸けて行きたいです。

――改めて試合への意気込みをお願いします。

 もう本当に、今まで培ってきたものを思いっきり出すだけです。誰に聞いても「昔のスタイルで行こう」って言われるし、金原さんにも「MMAをやる所英男っていうのは全然怖くない」ってはっきり言われました。だから昔のイメージで行こうと思ってます。原点に戻って、思いっきり所英男をやってきます。

――ベラトールでの戦いが所選手の集大成になるのでしょうか。

 でも、この間の試合も集大成でしたし、その前の試合も集大成で、いつ終わるか分からない状態です。ひょっとしたら40までできるかもしれないし、次の試合で終わっちゃうかもしれません。ただそうはしたくないし、宇野さんや小見川さんは40近くなっても頑張っているので、僕も負けずに頑張りたいです。田舎からこういうことをやろうとも思わないで出てきて、リングスが好きで遊びから始めて気がついたらこうなっていて、それでこうして全米デビューができて面白いし夢がありますよね。だから何とかして活躍したいです。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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